「お前の母親の手術はまだ先でいい」――義母・良枝の古希祝いに3000万円を注ぎ込む夫・孝之は、私・直子の母が緊急手術を受けると知っても、祝宴を優先しろと言い放った。26年間、話せば分かり合えると信じてきた私の心は、その瞬間に完全に冷え切る。母の命より夫の見栄を選ぶことなどできない。私は宴会場を黙って抜け出し、病院で自ら手術同意書に署名する。さらに調べるうち、孝之が「親孝行」を利用して高額な雑誌記事まで買い、自分を“立派な長男”として売り込もうとしていた事実を知る。私は証拠を保存し、大切な資金を守り、良枝へ真実を送信。やがて義母から届いたのは「孝之のことは私に任せなさい」という一言だった。だが、3000万円の虚栄の裏には、私の母の命さえ利用しようとする、さらに残酷な思惑が隠されていた――。