"「手術は後でいい」三千万円の古希祝いに狂った夫の末路" 第20話
これはらかな虚偽申告です」
担当者の声には、確なりと軽蔑が混ざっていた。
「今、当庫での切のお取引をお断りいたします。失礼します」
方に話が切られた。
「ツー」という無質な音だけが、部のに虚しく響き渡った。
誰も言も発することができない。
親族たちの線が斉に孝之に突き刺さった。
先ほどまで彼をかばっていた叔父の顔は、りで真っ赤に染まっている。
孝之はテーブルののスマートフォンを震えるで掴もうとしたが、指がうまくかないようだった。
「孝之、お、会社を格になっていたのか」
叔父のい声が部の空気を震わせた。
「その事実を隠して、3000万円もの祝いをいたというのか。挙句に妻の親のを騙し取ろうとしたのか」
孝之は首を横に振りながらずさりした。
「ち、違うんだおじさん。これは何かの違いで……俺はまだ会社で必とされていて……」
言い訳をすればするほど、彼の惨めさは浮き彫りになっていった。
私はバッグのの格通から、静かにをした。
私がをすまでもなかった。
彼の築きげた3000万円の虚栄は、自ら見栄を張って押したスピーカーボタンによって、完全に打ち砕かれたのだ。
部の隅で黙っていた良枝が、ゆっくりとちがった。
そして信じられないほどたい目で、自分の息子を見ろしたのだ。
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部の隅からゆっくりとちがった良枝の姿に、居の空気はさらにえ込んだ。
良枝は畳のを音もなく歩き、孝之の目ので静かにち止まった。
見ろすその瞳には、母親としての温かさも、昨までの見栄も完全に消え失せていた。
あるのは、1のとしての底れぬりといしみだけだ。
「孝之、あなたはこの期に及んでまだ嘘をつくのね」
良枝の静かな声が、凍りついた部に響いた。
孝之はすがるような目で良枝を見げた。
額にはじっとりと汗が浮かび、目は焦りで泳いでいる。
「ち、違うんだ、母さん。俺はただにて替えてもらおうとしただけで、俺は男として、母さんの古希を誰よりも盛に祝ってやりたくて……」
「私のせいにするのはやめなさい」
良枝の鋭いが、孝之の言い訳を断ち切った。
親族たちが息をんで良枝を見つめている。
いつもは親族ので歩がって控えめにしていた良枝が、これほど声を荒げるのを、誰も見たことがなかった。
「私がいつ、の命を担保にしてまで祝ってくれと頼んだの。自分の見栄のためにのの財産を奪ってまで、私をホテルに座らせろと誰が言ったの」
その言葉に、座に座っていた叔父がいぶかしげな顔をした。
「の命を担保にするとは、どういうことだ、良枝さん」
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良枝は叔父に向き直り、昨夜ホテルの暗い裏廊で聞いてしまったあの恐ろしい話の内容を、全て話し始めた。
孝之が久美子の命がくないと見越して、実のを売却する計算をしていたこと。
そのおで自分の借と見栄の代償を払おうとしていたこと。
さらには久美子のお葬式すらも、自分が親族からの評価をげるための台にしようと企んでいたこと。
つつの事実が語られるたびに、居の温度が急激にがっていくようだった。
叔父の顔からりの赤みが引き、代わりに血の気の失せた蒼なへと変わっていった。
の親族たちも、信じられないものを見るような目で孝之から静かに距を置いた。
「お……」
叔父の声はりを通り越し、い嫌悪に震えていた。
叔父は、孝之に男としての振るいを番く求めてきた物だ。
しかし、自分の言葉がこれほどまでに見苦しくねじ曲げられ、のをに換算するような怪物を作りしていたとはにもっていなかったのだろう。
「自分の見栄のために、妻の親のを待ち望んでいたというのか。としてそこまで腐り果てていたのか」
「おじさん、違うんです!あれはただの冗談で、酒の席のそのしのぎの嘘で……」
孝之は畳に両をつき、必に言い訳を並べてた。
しかし、その言葉を信じる者はもうこの部には1もいない。
先ほどスピーカー越しに暴かれた格と減という事実が、彼の言葉の信用を完全に奪いっていた。