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"「手術は後でいい」三千万円の古希祝いに狂った夫の末路" 第10話

けれどその言は、26連れ添ってきた私のを、鋭い刃物のようにくえぐった。

彼は妻の母親の命を「病気の匂い」と呼んで忌み嫌ったのだ。

自分の完璧な写真にを塗る、邪魔な素としてしか見ていなかった。

あのさな違と、鋭い痛みの正体が、今になって全て繋がった。

孝之にとって私は妻ではなく、「献族」を演するための具に過ぎなかったのだ。

そののスマートフォンが「ブブッ」とく震えた。

画面を見ると、孝之からのしいメッセージが表示されていた。

私はゆっくりとそのメッセージをいた。

『どこをほっつき歩いているんだ。記者が妻の献なコメントが欲しいと言っている』

久美子の容態を配する言葉など、ただの文字もない。

画面をスクロールすると、さらに酷な言葉が続いていた。

『今すぐ控に戻ってこい。俺の顔にを塗るなら、おの母親の入院費、1円もさないからな』

私はその黒い文字の羅列を、じっと見つめた。

しみより先に、ひどい寒気が全を駆け抜けた。

このは、おを武器にして私を脅し、自分の見栄を完成させようとしている。

久美子の命すらも、私を従わせるための具だとしかっていないのだ。

私はく、たい息を吐きした。

涙はなかった。

ただ、私ので何かが静かに、そして完全にえ切った。

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私はスマートフォンの画面を切り替え、再びのアプリをいた。

あの80万円が引きされた共座には、まだ私たちが貯めてきた老の残りがしだけ入っている。

私がパートで働き、活費を切り詰めて必に守ってきた切なおだ。

孝之は今、祝宴と雑誌の取材にになっている。

自分の見栄のためなら、この座の残がさらに減らないと、誰が保証できるだろうか。

私は迷うことなく、振り込みの続き画面をいた。

振り込み先は、結婚するから私が個に持っていた、私名義の古い座だ。

孝之は、その座のらない。

私は残の全額を振り込み額に入力し、確認ボタンを押した。

画面に表示されたパスワード入力欄に、1つずつ数字を打ち込む。

それは、私と孝之が結婚した付だった。

指先がほんのしだけ震えた。

けれど私は、最の実ボタンをしっかりと押し込んだ。

「振り込みが完しました」

質な文字が画面に表示された瞬、私は自分のでしっかりと面にったような、確かなを覚えた。

もう、彼におで脅されることはない。

久美子の治療費も、これからの活費も、私が私ので守り抜くのだ。

きなため息をついて顔をげると、の赤いランプがまだ静かに点滅を続けていた。

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計の針は、夜の10を回ろうとしている。

宴会は今頃、最の挨拶のを迎えているはずだ。

その、再びスマートフォンが震えた。

孝之からの催促ではなかった。

画面に表示されたのは、良枝からのい返信だ。

そこにはたった言、信じられない言葉がかれていたのである。

スマートフォンの画面に表示された、良枝からのい返信。

そこにはただ言、こうかれていた。

『あなた、今すぐこのホテルのロビーへきなさい』

それはりとも焦りとも取れない、たい文字の羅列だった。

私は画面を見つめ、病院の暗い廊さく息を吐きした。

久美子のだというのに、私を呼び戻そうとするのか。

良枝はあの雑誌のインタビュー原稿を見て、私が孝之の嘘を暴こうとしていると勘違いしたのかもしれない。

あるいは、親戚ので体裁を保つために、どうしても私を連れ戻したいのだろうか。

どちらにしても、私は今ここをれるわけにはいかない。

私はキーボードをタップし、返信を打ち込もうとした。

『申し訳ありませんが、母の術が終わるまでは病院をれられません』

しかし、送信ボタンを押す直、私のに数のあの異様な祝宴の景がはっきりと蘇ってきた。

孝之のたい言葉。

「おの母親の術はまだ先でいい」

あの、私は彼を責めることもしなかった。

ただ乾杯の拍だけをして、そのれたのだ。

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