"「手術は後でいい」三千万円の古希祝いに狂った夫の末路" 第9話
企画のタイトルはこうだ。
『元企業のリーダーたち:親孝で示す族の絆』
私はその文字から、目をせなくなった。
孝之は80万円という額な協賛を支払い、自分のインタビュー記事を雑誌に掲載させる契約を裏で結んでいたのだ。
添付されていた原稿の確認用データには、プロのカメラマンが実ので撮した、孝之の誇らしげな写真が載っていた。
私はその写真の横に添えられたインタビューの文章を、声をさずに読んだ。
『妻の親の介護など、庭の苦労もあります。しかし私は男として、自分の母を最も切にすべきだというい信を持っています。今回の3000万円をかけた親孝も、その信の形です。』
胸の奥が、たいで満たされていくような覚だった。
孝之は良枝をからばせたかったわけではない。
久美子の命をただ軽く見ていたわけでもない。
彼は自分の名声と、「派な経営者」という虚像を買うために、2の母親を利用していたのだ。
良枝の老いを、自分のPRのための美しい具として使い。
久美子の命の危を、「それでも自分の親を優先した」という美談のスパイスとして消費しようとしていたのだ。
私は子のたいすりを、爪がくなるほどく握りしめた。
これまで私が孝之にねてきた説は、全て無だった。
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彼には最初から、私の言葉など届いていなかったのだ。
の痛みをじないに、いくら言葉を尽くしてもに響くはずがない。
私はスマートフォンの画面に映る、その残酷なインタビュー原稿を静かにスクリーンショットで保した。
「カシャ」という画像が保されたことを示すさな音が、廊に響く。
私は迷うことなく、その画像をメールに添付した。
宛先はたった1。
孝之が番恐れ、そして番「盾」として利用していた物だ。
私はあの華やかな宴会にいる良枝に向けて、その画像を無言のまま送信した。
「送信完」の文字が表示された、私ので術の赤いランプが静かに点滅を続けていた。
「送信完」の文字が表示されたスマートフォンの画面を、私は暗い廊でじっと見つめていた。
良枝に宛てて送った、あの雑誌のインタビュー原稿のスクリーンショット。
それは、孝之が自分の見栄のために、2の母親を具として利用しているかぬ証拠だ。
私はたい子にく腰をろし、ゆっくりと目を閉じた。
消毒液の匂いが漂う病院の空気ので、数の来事が突然、はっきりとした輪郭を持ち始めた。
祝宴が始まる1のことだ。
私たち親族は、ホテルの2階にある豪華な専用控に集まっていた。
親戚たちがやかに談笑する、部の隅には見慣れないスーツ姿の若い男性が1っていた。
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私は最初、い親戚の誰かだろうとっていた。
誰も彼に話しかけず、彼もまた部の様子を静かに観察しているだけだったからだ。
しかし、孝之だけが彼に親しげに歩み寄り、内ポケットから分いい封筒を渡していた。
「今はよろしくお願いします。必ず良い記事にしてくださいね」
孝之はそう言って、相の肩を軽く叩きながら満げに笑っていた。
男性はくお辞儀をして、きなカメラのレンズを磨き始めた。
彼が、あの雑誌の記者だったのだ。
その、私は久美子の病院から最初の連絡を受けた。
術の程が倒しになるかもしれないという、切迫したらせだった。
私は急いで孝之のそばにき、彼のスーツの袖を軽く引いた。
「お母さんの術がまるかもしれないの。で病院にきたいんだけど」
私が周囲に聞こえないよう、さな声で伝えた瞬だった。
孝之は私の首を、虫でも払うようにく払い除けたのだ。
「今、そんな話をするな」
彼は忌々しそうに舌打ちをした。
「おのその暗い顔、写真に映ったらどうするんだ?」
彼のたい目が、私をからまで値踏みするように見ろした。
「記者がいるんだ。せっかくの俺のれ台に、病気の匂いを持ち込むなよ」
それは本当にい言だった。
親戚たちには聞こえないような、い声で吐き捨てられた言葉。