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妻の葬儀で老犬が暴いた秘密

妻の葬儀で老犬が暴いた秘密

妻の葬儀から3日目の夜、元自衛隊三佐の石田隆は、老犬・小太郎の異様な行動に息をのんだ。 後飾り祭壇へ飛びかかった小太郎。その拍子に倒れたろうそくの火が白布へ燃え移り、祭壇の下に隠されていた不自然な床板が露わになる。 そこから見つかったのは、妻・幸子が大切にしていたはずの花瓶と、身に覚えのない不動産書類だった。 階段からの転落事故として片づけられた妻の死。だが、弟夫婦との金銭トラブル、土地を巡る不可解な要求、そして幸子が亡くなる直前に残していた「大丈夫」という言葉が、少しずつ別の意味を帯びていく。 妻は本当に事故で亡くなったのか。 老犬が暴いた床下の秘密をきっかけに、隆は妻が最後まで守ろうとしていた家と、葬儀の陰で隠された真実を追い始める――。
縁側の小太郎
「母さん、車に乗れないから来なくていい」――家族に捨てられた母と消えた1200万円

「母さん、車に乗れないから来なくていい」――家族に捨てられた母と消えた1200万円

正月10日、72歳の春子は息子一家と焼肉へ行くはずだった。ところが玄関で息子から「母さん、車に乗れないから来なくていい」と告げられる。5人乗りの車には、荷物をどかせば十分座れる場所があった。それでも春子は何も言わず、家族を見送る。直後、共有カレンダーに表示された翌日の予定を見て、表情が変わった。《母・施設送迎》《通帳と実印を確認。拒否したら部屋を探す》。さらに、本人の知らない老人ホームの資料、偽造された介護申請書、1860万円と査定された自分名義のマンションまで見つかる。春子は通帳、実印、権利証を鞄に詰め、その夜、新幹線の指定席12Aに座った。家族が母を“病人”に仕立てて財産を動かそうとしていた計画が、そこから崩れ始める。
悅子
その家、私のです

その家、私のです

離婚届を差し出した夜、夫は当然のように言った。 「この家には、俺と母さんが住む」 18年連れ添った妻・絵里に出て行けと言いながら、夫は家だけは手放さないつもりだった。義母もそれを当然のように受け入れ、絵里の荷物を勝手に片づけ始める。 けれど、その家は絵里が結婚前に買い、ローンを完済したものだった。 怒鳴ることも、泣きつくこともせず、絵里は静かに家を出る。そして弁護士に相談しながら、夫と義母に明渡しの準備を進めていく。 だが調停の中で、夫が家にこだわった本当の理由が少しずつ見え始める。 「母さんのため」という言葉の裏に隠されていた、もう一つの計画。 3か月後、絵里が送った一通の通知が、夫と義母の思い込みを崩していく――。
暮らしの余白
離婚した5日後、私が92億円の都心ビルを相続したと知った夫

離婚した5日後、私が92億円の都心ビルを相続したと知った夫

父の葬儀が終わった直後、由美は夫・浩司から離婚届を突きつけられた。「介護にかまけて、社長の妻として何もしてこなかった」。さらに夫のそばには、会社の広報を担当する若い女性の姿。28年間の結婚生活を否定されても、由美は泣かなかった。父が亡くなる3日前、病室で託された銀色の鍵と、「浩司君が何を選ぶか黙って見ていなさい」という言葉があったからだ。由美が迷わず離婚届に判を押すと、夫は勝ち誇ったように去っていく。その直後、父の顧問弁護士が現れ、銀色の鍵で小さな金属箱を開こうとする。そこには、父が娘にだけ残した“最後の意思”が隠されていた――。
悅子
愛人とタイへ行った夫の10日後

愛人とタイへ行った夫の10日後

夫の浩司は「タイ出張」と言い残し、10日間家を空けた。 その間、寝たきりの義母の介護を任された由美は、いつものように暴言と呼び鈴に追われる日々を送るはずだった。だが、夫のスマートフォンに残された一通のメッセージから、出張が嘘だったことを知ってしまう。 浩司は若い愛人と海外旅行へ行き、しかも由美の父が残した遺産まで使い込んでいた。 さらに書斎の奥から見つかったのは、すでに署名された離婚届と、愛人からのピンク色の便箋。そこには、由美を介護要員として使い捨てる計画が書かれていた。 28年間、妻として嫁として耐え続けてきた由美は、その日初めて家を出る。 そして10日後。 何も知らずに帰国した浩司を待っていたのは、由美が静かに整えた反撃の場だった――。
春待ちの台所
墓前の偽息子

墓前の偽息子

夫の命日、文子は一人息子の誠と並んで墓前に手を合わせていた。 その時、文子の携帯に「誠」から電話がかかってくる。 しかし、本物の誠は今、すぐ隣で父の墓に手を合わせていた。 電話口の男は、息子のふりをして言った。 「母さん、仏間の金庫の暗証番号を教えてくれないか」 相手は、文子の家に金庫があることも、最近暗証番号を変えたことも知っていた。さらに電話の向こうから聞こえてきたのは、誠の妻・和子の声だった。 これはただの詐欺なのか。 それとも、家族の中に裏切り者がいるのか。 亡き夫が残した言葉を胸に、文子は慌てず、静かに確かめることを選ぶ。 そして家へ戻った母子が見たのは、想像もしなかった妻の本性だった――。
桜坂ふみ

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足柄サービスエリア失踪事件

足柄サービスエリア失踪事件

1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
秋田 悠真
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
止まったカードと空の家

止まったカードと空の家

夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
舞の新居ノート
愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
美和の湯気日記
義母ATM、ハワイへ消ゆ

義母ATM、ハワイへ消ゆ

67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
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午前三時の逃走

午前三時の逃走

深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
梅庭せつこ

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1800円の御膳が1万8000円になった日――覆面社長が見つけたホテルの嘘

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全国18店舗を経営するホテル会社の社長・高瀬直人は、相次ぐ不審な苦情を確かめるため、一般客を装って地方店を訪れた。注文した1800円の炊き込みご飯御膳に提示された会計は、10倍の1万8000円。さらに72歳の女性も、3000円の料理代として3万円を脅し取られてしまう。直人が録音と2枚の領収書を確保すると、削除された503件の苦情、36件の架空請求、そして支配人が差し出した500万円の封筒が浮かび上がる。服装で客を選び、ホテルを金を奪う罠へ変えたのは誰なのか。
悅子
離婚したら140万円の請求が来た

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結婚して7年。待ち望んだ妊娠が分かったさやかは、夫の勇気へ知らせるため、体調の悪さをこらえながら豪華な夕食を用意した。 ところが、義姉から「夫のお金を浪費している」と責められても、勇気は妻をかばおうとしなかった。それどころか、さやかが「自分のお金で買った」と反論しただけで、彼はあっさり告げる。 「そんなことを言い続けるなら、離婚しよう」 さやかは離婚を承諾し、初めて妊娠を伝えたうえで、その日のうちに実家へ戻った。すると3日後、これまで彼女が負担してきた義姉の息子の塾代、約140万円の請求書が勇気のもとへ届く。 慌てて支払いを求める夫に、さやかは静かに告げた。「もう私とは関係ありません」。しかし彼らはまだ知らなかった。さやかが3年前から、義姉への送金記録と、家族の会話を記録した音声を残していたことを――。
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一枚のタダ券から始まった家族

一枚のタダ券から始まった家族

夫を亡くし、家賃も食費も尽きかけていた早苗は、5歳の娘・歩美を連れ、冷たい雨の町をさまよっていた。 道端で拾った「唐揚げ1個サービス」の券を握り、閉店間際の《川村食堂》を訪れた早苗。ところが店主の健一は、券の使い方を間違えている彼女を追い返さず、母娘の前に大盛りの唐揚げ定食を置いた。 さらに健一夫婦は、行く場所のない2人を食堂の2階へ住まわせることにする。しかし案内された部屋には、色鉛筆や子ども服、若い夫婦と少女が写った古い家族写真が、暮らしていた当時のまま残されていた。 写真の裏に書かれていた少女の名前は、早苗の娘と同じ「歩美」。しかもその部屋は、健一夫婦が10年間、誰にも使わせずに守り続けてきた場所だった。 なぜ君子は初対面の少女を見た瞬間、「歩美ちゃん」と呼んだのか。雨に濡れた一枚の券から始まった母娘との出会いが、帰らない家族を待ち続ける老夫婦の止まった時間を動かしていく――。
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夫の実家は空き家だった

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結婚して半年。32歳の若菜は、穏やかで誠実な夫・裕介と、静かな新婚生活を送っていた。 裕介の両親は長く海外で暮らしており、日本へ戻ったばかりだと聞かされていた。正月、仕事になった夫の代わりにお年賀を届けようと、若菜は以前教えられた義実家を一人で訪ねる。 しかし、家は人が暮らしているとは思えないほど荒れていた。隣人へ尋ねると、返ってきたのは信じられない言葉だった。 「そこは5年前から空き家ですよ」 混乱した若菜が住所を尋ねても、裕介は決して教えようとせず、贈り物の蟹も自分で届けると言い張った。ところが数日後、見知らぬ男女が突然マンションを訪れ、若菜へ笑顔で告げる。 「この前は高級な蟹、ありがとうね」 5年前から誰も住んでいない「夫の実家」と、若菜の名前を知る謎の男女。裕介はなぜ家族の存在を隠し、他人の家を自分の実家だと偽ったのか――。
夕暮れアルバム
夜逃げ社長に捨てられた4人

夜逃げ社長に捨てられた4人

社長が突然姿を消し、3か月分の給料を受け取れないまま職場を失った38歳の看板職人・沢村光一。 一緒に取り残されたのは、営業担当の真希、経理担当の春奈、そして住む部屋まで失いかけていた23歳のデザイナー・凛だった。「どこか泊めてください」と頭を下げる凛を前に、光一はほかの2人も見渡し、「うちに来い。全員だ」と告げる。 築古の一軒家で始まった、1日500円の食費による4人の共同生活。再就職先さえ見つからない中、彼らはそれぞれの技術を持ち寄り、自宅の1階で小さな看板屋を始めることを決意する。 ところが開業準備中、春奈がインターネット上で奇妙な会社を発見した。そこには4人が以前制作した看板が実績として掲載され、代表者には消えた社長・黒田剛の名前が記されていた。 しかも、その会社が設立されたのは、黒田が夜逃げしたわずか4日後だった。給料も社員も捨てた男は、最初から自分だけ再出発する準備をしていたのか。すべてを失った4人の小さな挑戦が、黒田の隠していた計画と再び交差していく――。
木屑とコーヒー
焼け残った家を壊せと言われた

焼け残った家を壊せと言われた

昭和23年、戦争の傷跡が残る東京の下町で、信一は父とともに、空襲を奇跡的に免れた小さな豆腐屋を守っていた。 ところがある日、役所の職員が店先に白い杭を打ち、「この場所には、もう家を建て直せません」と告げる。新しい道路の予定地になったため、焼け残った家も取り壊さなければならないというのだ。 駅近くの換地へ移れば、商売を大きくできる。そう考える信一に対し、父の清吉は頑として立ち退きを拒み、母まで「この家を離れられない」と言い出した。 なぜ両親は、暮らしやすい新天地より、焼け跡に残った古い家にこだわるのか。 やがて母が仏壇の引き出しから取り出した一冊の帳面によって、信一は、この家に戦後から守られてきた「ある記憶」があることを知る――。
路地裏の湯気

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元嫁の15枚返し

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離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
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止まったカードと空の家

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愛人旅行の代償

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定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
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義母ATM、ハワイへ消ゆ

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午前三時の逃走

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