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「籍を抜いてから行け」と言われた嫁

「籍を抜いてから行け」と言われた嫁

「実家へ帰りたいなら、籍を抜いてから行きなさい」 母を亡くしてわずか1か月。初盆のため3日間だけ帰省したいと頼んだ里見に、姑は離婚を迫った。夫の浩司も妻を守らず、「少しは空気を読め」と目をそらす。 結婚して20年、家事と義父の会社の経理を無償で支えてきた里見は、静かに「分かりました」と答え、その日のうちに家を出た。 彼女が持ち出したのは、亡くなる直前の母から託された茶色い封筒だった。中には、吉沢家が暮らす家の土地が、実は母の名義であることを示す書類が入っていた。 さらに不動産会社を訪ねた里見は、母が入院していた間に、その土地を売ろうとした人物がいたことを知る。偽造された委任状には姑の筆跡。そして売却代金の入金先には、妻へ何も知らないふりをしていた夫・浩司の名前が記されていた――。
麥茶と縁側
7年間介護した私を捨てた夫――愛人を連れて帰宅すると、寝たきりの母も介護ベッドも消えていた

7年間介護した私を捨てた夫――愛人を連れて帰宅すると、寝たきりの母も介護ベッドも消えていた

52歳の高瀬由美は、26年間連れ添った夫・健二から離婚を切り出される。愛人と再婚するという健二は、由美に「離婚後も母の介護は続けろ」と言い放った。半年だけという約束で始めた介護は、すでに7年。毎晩2時13分に起き、仕事も人生も手放した由美を、健二は無料の介護要員としか見ていなかった。だが、認知機能の明瞭な義母・住江は、自ら施設へ移ることを決断する。離婚から3日後、愛人を連れて帰宅した健二が見たのは、介護ベッドの消えた部屋と、約2200万円について記された母の手紙だった。
悅子
ATMで呼ばれた「奥様」

ATMで呼ばれた「奥様」

離婚の日、夫から一枚のキャッシュカードを渡された美月。 「これで最後だ。暗証番号は0427」 それは2人が婚姻届を出した日の数字だった。夫に捨てられた悔しさから、美月は3年間、一度もカードを使えずにいた。 仕事を失い、預金が7300円になったある日、とうとうATMへカードを入れる。しかし暗証番号を押す前にエラーとなり、銀行員から「奥様、別室へどうぞ」と案内された。 離婚したことを伝えても、銀行員は「承知しております」と答えた。そして別室で差し出されたのは、元夫が預けていた一通の封筒だった。 表には、《0427を覚えていてくれた美月へ》の文字。冷たく自分を切り捨てたはずの夫は、なぜ3年後に美月が銀行へ来ることを待っていたのか。使われなかったカードには、彼女が知らない夫の決断が隠されていた――。
雨宿り珈琲
息子の婚約者の母は、20年前の女だった

息子の婚約者の母は、20年前の女だった

20年前、夫の不倫によって家を追われ、5歳の息子・健一を一人で育ててきたゆみ。昼も夜も働き続けた息子は医師となり、愛する女性との結婚を決めた。 両家の顔合わせの日、婚約者の母・恵子は、ひとり親家庭を遠回しに見下しながら、上品な笑みを浮かべていた。だが、ゆみの顔を見つめた瞬間、その表情が明らかに変わる。 恵子は、20年前にゆみの夫と関係を持ち、母子を雨の中へ追い出した張本人だった。 化粧室で2人きりになると、恵子は「子どもたちには黙っておきましょう」と口止めする。しかし、ゆみの鞄には、恵子の現在を調べた報告書が入っていた。 そこには多額の借金と不審な金銭の動き、そして「娘の婚約者が医師になった」と周囲へ話す恵子の姿が記されていた。20年前に家庭を壊した女は、今度は息子の人生まで利用しようとしているのか――。
雨あがりの台所
その家、私のです

その家、私のです

離婚届を差し出した夜、夫は当然のように言った。 「この家には、俺と母さんが住む」 18年連れ添った妻・絵里に出て行けと言いながら、夫は家だけは手放さないつもりだった。義母もそれを当然のように受け入れ、絵里の荷物を勝手に片づけ始める。 けれど、その家は絵里が結婚前に買い、ローンを完済したものだった。 怒鳴ることも、泣きつくこともせず、絵里は静かに家を出る。そして弁護士に相談しながら、夫と義母に明渡しの準備を進めていく。 だが調停の中で、夫が家にこだわった本当の理由が少しずつ見え始める。 「母さんのため」という言葉の裏に隠されていた、もう一つの計画。 3か月後、絵里が送った一通の通知が、夫と義母の思い込みを崩していく――。
暮らしの余白
夫の実家は空き家だった

夫の実家は空き家だった

結婚して半年。32歳の若菜は、穏やかで誠実な夫・裕介と、静かな新婚生活を送っていた。 裕介の両親は長く海外で暮らしており、日本へ戻ったばかりだと聞かされていた。正月、仕事になった夫の代わりにお年賀を届けようと、若菜は以前教えられた義実家を一人で訪ねる。 しかし、家は人が暮らしているとは思えないほど荒れていた。隣人へ尋ねると、返ってきたのは信じられない言葉だった。 「そこは5年前から空き家ですよ」 混乱した若菜が住所を尋ねても、裕介は決して教えようとせず、贈り物の蟹も自分で届けると言い張った。ところが数日後、見知らぬ男女が突然マンションを訪れ、若菜へ笑顔で告げる。 「この前は高級な蟹、ありがとうね」 5年前から誰も住んでいない「夫の実家」と、若菜の名前を知る謎の男女。裕介はなぜ家族の存在を隠し、他人の家を自分の実家だと偽ったのか――。
夕暮れアルバム

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足柄サービスエリア失踪事件

足柄サービスエリア失踪事件

1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
秋田 悠真
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
止まったカードと空の家

止まったカードと空の家

夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
舞の新居ノート
愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
美和の湯気日記
義母ATM、ハワイへ消ゆ

義母ATM、ハワイへ消ゆ

67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
みち子の湯のみ
午前三時の逃走

午前三時の逃走

深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
梅庭せつこ

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「忘れ物」で夫の嘘がばれた日

「忘れ物」で夫の嘘がばれた日

「あなた、健一さんから何も聞いてないの?」 母が「薬を忘れた」と言い、空港へ向かうタクシーを引き返した。 ところが自宅へ戻っても、母は何も探さない。 代わりに差し出したのは、私名義の土地と家を売るための査定書だった。 現地確認は今日の午後3時――私たちがハワイにいるはずの時間だ。 夫は「結婚25周年のプレゼント」として、1週間の母娘旅行を用意してくれた。 だが書斎からは、私の通帳、身に覚えのない委任状、さらに偽造された離婚届まで見つかった。 午前10時23分、玄関の鍵が開く。 帰宅した夫は、見知らぬ女と笑いながら言った。 「1週間もハワイに追いやるなんて、よく考えたわよね」 「家を売るための必要経費だと思えば安いもんだ」 襖の陰で録音を続ける私たちに、夫はまだ気づいていない。 そして午後3時、この家には不動産会社だけでなく、私の弁護士もやって来る――。
青いマグカップ
「貧乏人」と笑われた男

「貧乏人」と笑われた男

「片親育ちで施設出身って……普通に無理なんだけど」 合コンの席で、頭取令嬢の玲奈は俺を見て笑った。 父は幼い頃に家を出て、母は俺が5歳の時に亡くなった。その後、俺は児童養護施設で育った。 会社名も資産も明かさず、「決済関係の仕事です」とだけ答えると、彼女は俺を貧しい会社員だと思い込んだ。 「人間の価値は、家柄と学歴と収入で決まるでしょ」 俺は静かに、父親が頭取を務める銀行から預金を移すと告げた。 「どうぞ。100万でも500万でも、好きにすれば?」 翌朝、俺は自社の財務責任者へ取引銀行の見直しを指示した。 復讐ではなく、600人の社員と会社の資金を預ける相手として、本当に信頼できるのかを再検討した結果だった。 そして銀行へ届いた資金移管の通知には、法人と個人を合わせて100億円を超える数字が記されていた。 3日後、俺が古いリュックを背負って銀行本店へ入ると、頭取本人が応接室で待っていた――。
ひまわりの窓辺
月8万円の町工場社長

月8万円の町工場社長

俺は34歳の町工場社長。 肩書だけなら立派だが、役員報酬は月8万円。工場を守るために作った800万円の借金まで抱えていた。 そんな俺に、大手機械メーカー・白石精機の社長令嬢との見合い話が舞い込んだ。断られるつもりで貯金もないと正直に話したのに、琴子さんは微笑んだ。 「三浦さん。あなた、合格です」 ところが数日後、白石精機の幹部が工場へ現れた。琴子さんとの関係を断てば、年間数千万円の仕事を回すという。 工場には、治療を続ける妻を持つ職人も、子どもの学費を抱える社員もいる。断れば皆の生活に影響する条件だった。 さらに白石精機から、他社がすべて断った緊急部品の依頼が届く。材料は15本、必要数は12個。しかし6本を加工した時点で、合格品は一つもなかった。 残り9本では、どう計算しても足りない。 追い詰められた俺が開いたのは、亡き父の黒いノートだった。その中には22年前、まったく同じ部品を削った記録が残されていた――。
町角の旋盤
卒業3か月前に消えた娘

卒業3か月前に消えた娘

1995年11月、卒業まであと3か月だった富山大学4年生・大山蓮子が、突然消息を絶った。 家には財布も読みかけの本も残されていた。ところが、半年以上かけて集めた卒業論文の取材資料だけが、すべて消えていた。 蓮子は都市開発で土地を手放した住民たちを訪ね、補償金の記録を調べていた。失踪前、友人には「土地のお金を調べていたら、生きている人たちの話が出てきた」と漏らしている。 下宿に残された地図には、土地買収が行われた3つの地域を示す赤い丸。そして古い行政資料から浮かんだ担当者の名前は、失踪前夜に蓮子と口論していた叔父・達夫だった。 達夫には完璧なアリバイがあり、捜査はやがて縮小される。しかし6年後、赤い丸がつけられた土地の工事現場から、二重の袋で守られた2枚の書類が見つかった。 余白には蓮子の筆跡で、こう記されていた。 《単価に不自然な変更あり》 そして最後に――《担当者 大山達夫》。
秋風しおり
夫が書いた私の退職届

夫が書いた私の退職届

「母さんの介護のため、明日これを会社へ出してくれ」 夫が食卓へ置いたのは、56歳の私の名前が印字された退職届だった。定年まであと4年。けれど夫は、骨折した姑を自宅へ迎え、私が仕事を辞めて世話をすることを一人で決めていた。 私は退職を拒み、姑本人の希望を聞くよう求めた。しかし夫は「家族なら本音を分かってやるものだ」と言い、和室を介護部屋へ変える準備まで始める。 その夜、病院から一本の電話がかかってきた。姑が家族会議へ必ず私を呼び、先に確認してほしい書類があるという。 翌日、その書類から姑の口座より30万円が夫名義へ移されていたことが判明する。さらに和室の改修申込書には、姑の署名と280万円という金額が記されていた。 そして病院の家族会議で、夫が「妻は退職予定です」と説明した瞬間、姑は私を見ずに言った。 「私は、この家には帰らない」――その手には、息子がまだ知らない一枚の契約書が握られていた。
午後三時の紅茶
母親ではないと言われた日

母親ではないと言われた日

「あの人は本当の母親ではありません」 小学5年生の授業参観で、姑・光江は教室中に聞こえる声で、継母の佳奈恵を否定した。 理子が5歳で実母を亡くしてから、佳奈恵は6年間、食事や通院、学校生活を支えてきた。それでも夫の俊一は「母さんに悪気はない」と繰り返すだけだった。 翌朝、佳奈恵は学校から一本の電話を受ける。理子の緊急連絡先が佳奈恵から光江へ変更され、その書類には俊一の署名まであった。 さらに姑は、英語教室や私立校への転校まで、本人に黙って決めようとしていた。 家族会議の日、11歳の理子は青いノートを抱えて現れた。表紙には《勝手に決められたこと》――そこには、祖母だけでなく父が娘へ強いてきた「我慢」が、2年分の日付とともに記されていた。
青いノートの栞

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1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
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元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
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止まったカードと空の家

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愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
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義母ATM、ハワイへ消ゆ

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67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
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