離婚を機に6歳の娘・千尋を連れ、倒産した実家の温泉旅館へ逃げ帰ってきた32歳の竹谷虎次郎。ある夕暮れ、千尋が崩壊寸前の廃墟旅館へ駆け込んでしまう。後を追った虎次郎が埃まみれの古畳の上で目にしたのは、寄り添って震える1歳半の双子の赤ん坊と、ボロボロの服をまとい幽霊のように現れた衰弱女性――12歳で姿を消した初恋の幼馴染・水野絵里だった。元夫と義母から「夜泣きを止められない母親失格の役立たず」と罵倒され、養育費も拒絶されて追いつめられた絵里。虎次郎は幼馴染の大工・守を巻き込み、無謀にも廃墟旅館の再生を決意する。しかし再起を賭けたある雪の夜、思わぬ一枚の写真が世界を揺るがし――。