みかん小説
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"廃墟旅館の双子と初恋の再会" 第6話

(うわ、なんだこの使みたいな空……写真撮らなきゃ……!) 俺は無識のうちにポケットからスマートフォンを取りし、カメラアプリを起しかけた。

「千尋、ちょっとこっち向いて……って、違うだろ俺!!」

俺は自分のを拳でポカポカと叩き、猛烈な勢いでに返った。 静になれ。何を呑気なことを考えているんだ。 ここは、営業を止してが経つ、気も通っていない奥の廃墟旅館だ。はもうが暮れて、気温は桁くまで落ち込んでいる。

「なんで……なんでこんなところに、こんなさな子どもがいるんだ!?」

周囲を見回しても、の姿はどこにもない。 この齢の子どもが、自分のだけでを登り、たい勝の扉をけて、こんな奥の客まで入ってこられるはずがない。誰かが連れてきて、ここに置いたのだ。 (……まさか、親に置きりにされたのか……!? 育児放棄……ネグレクトの現か……!?)

最悪の推測が脳裏をよぎり、背筋にたい悪寒がった。 とにかく、こんな危険でな所に、子どもたちを放置しておくわけにはいかない。 いつ崩れるか分からない、割れたガラス、埃にまみれた空気。今すぐにここから連れし、かい実へ連れてかなければならなかった。

「千尋、よく聞いてくれ」 俺は座り込み、千尋の肩にを置いた。 「ここにずっといると、寒くて邪を引いちゃうし、井が落ちてきたら危ない。

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だから、この子たちと緒に、おに戻ろう。……パパじゃ、を同に抱っこして歩くのは元が危ないから、だけ、千尋が抱っこして運ぶの伝ってくれるかい?」

千尋はぱっと顔を輝かせ、誇らしげに胸を張った。 「えっ! 千尋、だっこしていいの!?」 「ああ。今だけだぞ。優しく、落とさないように、そーっと抱っこしてあげるんだぞ」

「うん! まかせて!」 千尋は言われた通り、慎に、壊れ物を扱うようなつきで、側にいた女の子の脇のにさなを差し入れ、よいしょ、と抱きげた。千尋自もまだ歳だ。自分として変わらないさの子どもを抱えるのは苦労のはずだが、お姉ちゃんぶって必に踏ん張っている。

だが――。

「――ッ、うぎゃあぁぁぁぁん!!」

見らぬに突然抱きげられた恐怖からか、抱っこされた女の子が、がついたように激しい鳴をげて泣き叫び始めた。 そして、その泣き声に共鳴するように、座布団に残されていたもうの女の子も、顔を真っ赤にしてをけ、けたたましい勢いで泣き始めたのだ。

「え、うわあぁぁぁん! ママー! うわーん!」

「わっ……! ちょ、ちょっと待ってくれ!」 を塞ぎたくなるような、ステレオの音量の号泣。 狭い客の壁に子どもの甲い泣き声が反響し、鼓膜がビリビリと痺れる。 俺は残されたもうを慌てて抱きげ、背をポンポンと優しく叩いた。

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「丈夫だよ、怖くないよー! おじちゃんたちはね、君たちをいじめに来たんじゃないよ! ここから助けて、あったかいご飯をべさせてあげようとしてるだけだからねー!」 千尋も必になって、抱えている女の子のを撫でながら声を張りげた。 「だいじょうぶだよー! おねえちゃんがいるからねー! こわくないよー!」

だが、歳児と代の器用な男のあやし方など、パニックに陥った幼子たちには何の効果もなかった。 はをバタバタと暴れさせ、涙とを垂らしながら、さらにボリュームをげて泣き喚き続ける。

「だ、駄目だ……! 千尋、もう泣かせたままでいいから、急いでおに戻ろう! 抱っこしたまま、パパのろをしっかりついておいで!」 俺が諦めて踵を返し、廊へ向かって歩きそうとした、その瞬だった。

ガサガサッ、ドサッ――!!

廊の暗の奥、隣の広あたりから、何かがを擦り、材を蹴り倒すような激しい物音が響いてきた。

俺のが、ピタリと止まった。 「……え? な、何の音だ……? 千尋、今の音、聞こえたか?」 千尋も抱っこしたままを止め、さな体を張らせて、こくりと頷いた。 「……うん。なんか、ガサガサって言った……」

幽霊や妖怪の類だとは、ほどもわなかった。 に考えて、真っ先に脳裏に浮かんだのは『野物』の侵入だった。

あいの温泉だ。

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