みかん小説
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"廃墟旅館の双子と初恋の再会" 第17話

そして――返ってきたのは、俺の淡い期待を優しく、けれど決定に断ち切る言葉だった。

「……好きだって言ってくれて、本当に嬉しかったよ、虎次郎君」 絵里は胸元にを当て、しげに眉をげた。 「でもね……ごめんなさい。私、再婚にいいいがつもないの。……実の父の再婚で居所をなくし、自分の結婚でも酷い裏切りに遭った。だから……結菜と菜のためにも、私は、再婚はしないって、に決めているの」

絵里は真っ直ぐに俺を見つめ、静かに告げた。 「虎次郎君たちのおかげで、私のもようやく落ち着いて、結菜たちの夜泣きもすっかり収まったわ。……旅館がオープンして仕事が軌に乗ったら、私はアパートを借りて、虎次郎君のからていくね」

その夜、俺たちはバーの扉をけることなく、そのまま無言で実へと引き返した。 そして――絵里のその頑なな決は、ここから先の『』という途方もない歳の、ただの度たりとも揺らぐことはなかったのだった。

矢のように、のように、という歳が駆け抜けていった。

あの夜の告の、俺と絵里、そして両親を交えたで徹底な話しいが持たれた。 絵里の「をて自活する」という申しに対し、父と母が猛烈に説得したのだ。 『さな双子を抱えてで働くのはどれほど変か。

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この旅館の専属の仲居として働いてくれれば、まいも事も融通が利くし、子どもたちの面倒もみんなで見られる』――と。 結局、同居こそ解消して敷内のれへとまいを移したものの、絵里は実の旅館のチーフ仲居として、俺の隣で働き続けるを選んだのだった。

リノベーション作業を始してから、がの旅館『乃湯』は無事にグランドオープンを迎えた。 客数はあえて昔のままのに留め、その代わり、守の務ががけた然の温もりあふれる内装と、源泉掛け流しの貸切呂、そしてきめ細やかな族総のおもてなしを面に押しした。 「古き良き本の温もりが残る、隠れのような極の宿」として国内から絶な支持を集め、オープンからが経った今でも、週末の予約は半先まで埋まり続ける超気旅館へと成を遂げていた。 両親もまた、かつてのビジネスホテルのバイトを辞め、ききとした笑顔で帳にち続けていた。

そして――の流れは、幼かった子どもたちを驚くほど美しく、頼もしいの女性へと成させていた。

娘の千尋は歳になり、観ビジネスの専学を優秀な成績で卒業した、迷うことなくこの実の旅館へと就職してフロントを任されていた。

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になった絵里の双子の娘――結菜と菜も、放課や休になると鮮やかな作務を着て、配膳や清掃をテキパキと伝ってくれていた。

ある平の昼がり、館内のフロントでのことだった。

「あ、絵里さん! リネン業者さんから話があって、来の浴の定期メンテナンスの休館にわせて、シーツの納品スケジュールを調したいって言われたんですけど……」 カウンターで予約台帳をめくっていた卒採用の若い男性社員が、りで通りかかった絵里に伝票を差しした。 絵里はを止め、帳をきながらテキパキと指示をした。 「あ、それなら業者さんから程表をもらってるから、事務所の引き継ぎ簿のページ目に挟んでおいてくれれば丈夫よ」 「解っす! 助かります!」

男性社員は胸を撫でろし、何をったのか、フロントの奥でパソコンを叩いていた支配の俺に向かって、無邪気な笑顔で話しかけてきたのだ。

「それにしても、うちの旅館は本当に泰っすよねえ! 千尋ちゃんも板娘としてバリバリ働いてるし、の結菜ちゃんと菜ちゃんもめちゃくちゃいし……将来の若女将の継ぎ候補が姉妹も揃ってるなんて、支配はがいんじゃないっすか?」

その瞬――。 フロントの空気が、まるでマイナス度の吹が吹き荒れたかのように、ピキピキと音をてて凍りついた。

くで伝票を理していたベテランの仲居たちが、鬼のような形相で卒社員を睨みつけ、背から指で激しく『バツ印』を作って「それ以喋るな!」

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