みかん小説
本棚
みかん小説 / 祖父母と孫 / 書けないはずの祖母のハガキ
書けないはずの祖母のハガキ

書けないはずの祖母のハガキ

日曜の切手 完結 0

東京の出版社で働く私は、長野の施設にいる祖母から毎週届く「仕事優先で来なくていい」というハガキに甘え、訪問を先延ばしにしていた。だがある日、驚かせようと訪ねた施設で看護師から「文子さんは三年前の脳梗塞で右手が麻痺し、ペンなど握れません」と告げられる。面会した祖母は私の手を握り「ようやく来たね」と涙をこぼした。毎週届く手紙は、介護を一手に背負う伯父が勝手に書いていたのだ。問い詰める私に、伯父は「だいたい合っている」と冷たく言い放ち、祖母を内側から施錠される重介護フロアへ移す同意書を取り出した。

今すぐ読む