みかん小説
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"書けないはずの祖母のハガキ" 第11話

めたとろみ茶

最初の挫折は、朝のにやってきた。

職員から渡されたのは、いプラスチックのマグカップに入ったほうじ茶だった。

末のとろみ剤が混ぜられており、めた葛湯のようにドロリとしている。

脳梗塞の遺症で嚥能が落ちた祖母は、サラサラした気をむと肺に入って誤嚥性肺炎を起こす危険があるのだ。

「おばあちゃん、お茶もうか」

ベッドを起こし、祖母の元に吸いをづけた。

祖母はさくをけたが、液体が舌のに乗った瞬、眉をきつく寄せて首を横に振った。

「……まず……い……」

「ごめんね。でもまないと脱になっちゃうから。もうだけ」

無理にませようとした途端、祖母が激しくむせ込んだ。

ゲホッ、と濁った音が喉から鳴り、吐きされた茶が私の首とシーツにび散った。

祖母の顔が苦痛で真っ赤に染まり、呼吸がゼエゼエと乱れる。

背をさすりながら、私はパニックになりそうだった。

どれくらいのペースでませればいいのか、スプーンの角度はどうすればいいのか、何つ分からない。

結局、杯のお茶をませるだけで、分のが溶けて消えた。

昼には、さらに過酷な現実が待っていた。

祖母の腰のに敷かれた防シーツから、微かな臭いが漂ってきた。

オムツの交換だった。

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ナースコールを押せば職員が伝ってくれる。

だが「自分でやる」と啖呵を切った、私はゴム袋をはめ、でち向かった。

リクライニングベッドをフラットにし、祖母の掛け布団をめくる。

麻痺して直したを浮かせ、たい腰を横に倒そうとするが、キロい脱力したの体は、驚くほどい。

私の腰に、ピシリと鋭い痛みがった。

テープを剥がすと、烈な排泄物の臭いが腔を突いた。

皮膚についた汚れを専用のウェットティッシュで拭き取る。

だが、拭いても拭いても、皮膚の皺のに汚れが残る。

「……あ……あ……」

祖母のか細い声が聞こえて、私はを止めた。

祖母はでシーツをぎゅっと握りしめ、顔を背けていた。

の先まで赤く染まり、その目から涙がボロボロと溢れしていた。

代の孫娘に、の世話をされ、かない裸を晒している。

その屈辱と恥ずかしさが、祖母の細かく震える肩から痛いほど伝わってきた。

「ごめん……ねぇ……遥……ごめん……」

掠れた声で、祖母は何度も謝り続けた。

「謝らないで、おばあちゃん。丈夫だから、すぐ終わるから」

私の声も震えていた。

臭いに対する嫌悪ではない。

かつて凛としてを切り盛りしていた祖母の尊厳が、目ので音をてて崩れていくことへの、耐えがたいしみだった。

オムツを留め直し、ズボンを履かせ終えたとき、私はベッドの脇のにへたり込んでいた。

腕の筋肉が痙攣し、腰が軋む。

計を見ると、まだ曜の午だった。

たった半で、私の精神はすり減り、指先までえ切っていた。

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