"書けないはずの祖母のハガキ" 第13話
堵していた自分
曜の夜、私は祖母が眠りについたのを見届けてから、部の隅にあるさなチェストの引きしをけた。
には京へ度戻らなければならない。
祖母の着替えの予備を補充しておくためだった。
番の引きしの奥に、褪せたクッキー缶が入っていた。
蓋をけると、昔の族写真や、私が子供の頃に祖母にあげた肩たたき券と緒に、さなメモ帳が挟まれていた。
施設のロゴが入った、のひらサイズの便箋。
ページをめくると、私の息が止まった。
そこには、ミミズがったような、今にも消え入りそうな青いインクの線が並んでいた。
ではない。器用な、力の入らないで、何度も何度もを引っ掻いたような跡。
『はるか』
『あいた』
『とうきよう』
途で線が途切れ、激しい圧でが破れている箇所があった。
うまくけない苛ちと絶望が、の破れ目から々しく伝わってくる。
その破れたページのろに、何枚も何枚も、同じような震える文字が続いていた。
祖母は、諦めていなかったのだ。
伯父が代を引き受け、言葉を都よくき換えているも、祖母はで、かない体と格闘しながら、私に届かない文字をき残そうとしていたのだ。
私はメモ帳を胸に抱きしめ、暗い部のに座り込んだ。
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涙が次から次へと溢れて、止まらなかった。
私はなぜ、あのハガキの自然さにも気づかなかったのか。
がかないことなんて、し真剣に況を尋ねていれば分かったはずだ。
文字の歪み方が、以の祖母の跡と微妙に違うことだって、疑おうとえばいくらでも疑えたはずだ。
気づかなかったのではない。
気づきたくなかったのだ。
「来なくていい」
「仕事を優先しなさい」
その言葉が、どれほど私の罪悪をめてくれたか。
その言葉があったから、私は「優しいおばあちゃんいの孫」の仮面を被ったまま、野のたい介護から目を背け、京のきらびやかな活に逃げ込むことができたのだ。
伯父は、祖母の言葉を改ざんした。
だが、その偽造されたを番必としていたのは、伯父ではなく、私だった。
私は共犯者だったのだ。
祖母の声を奪い、沈黙の部に閉じ込めたのは、伯父の疲労と、母の無関と、そして何よりも――私の卑怯な堵だった。
ベッドから、祖母の寝息が聞こえる。
さく丸まった背が、暗い常夜灯ので頼りなくしていた。
私はメモ帳を握りしめ、たいので、自分の両を見つめ続けた。