"書けないはずの祖母のハガキ" 第14話
曜の通告
曜の朝、始発の特急あずさで京へ戻った。
版社へ直し、溜まっていたメールを捌き、作からの修正原稿を受け取り、印刷所への最終指示をした。
体が鉛のようにく、目の奥が焼けるようにかったが、だけは械のようにいた。
周りの同僚たちは「遥さん、疲れてるんじゃない?」「野張、変だった?」と声をかけてくれたが、私は曖昧に笑って会釈するしかなかった。
曜の夜、アパートに帰ると、スマートフォンの画面に伯父の名がった。
通話ボタンを押すと、伯父のくい声が鼓膜を叩いた。
『のだ。母さん――おの母親も、さっき松本に着いた。今夜は実に泊まってる』
「……お母さんも?」
『ああ。は俺とおの母親ので、階への移続きの類にサインする。ケアマネも施設の施設も、それが番現実な選択肢だって言ってる』
受話器の向こうから、実の居の古計の音が微かに聞こえた。
「伯父さん。おばあちゃんは、階にきたがっていません」
私が静かに言うと、伯父の呼吸が荒くなった。
『またそれか。お、週末ので何を学んだんだ? あれを毎続けることが、どういうことか分かったはずだろ!』
「分かりました。本当に獄のような変さでした。伯父さんが壊れそうになっていた理由も、痛いほど分かりました」
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私は窓の、京の夜景を見つめた。無数に瞬くビルのかり。そのつつのに、誰かの活がある。
「でも、だからといって、おばあちゃんを閉じ込めていい理由にはなりません。階は、子ロックがかかって、部からもられない所なんです」
『じゃあどうするんだ!』
伯父が受話器の向こうで鳴った。
『おが仕事を辞めて松本に来るのか? それとも京のアパートに引き取って、オムツを替えて、毎病院へ連れてくのか? その覚悟がないなら、の会議で余計なを挟むな!』
伯父の声が途切れ、荒い息遣いだけが残った。
『おにできるのは、サインする俺たちを京から見ろして、なおばあちゃんに同することだけだ。邪魔をするなら、は来るな』
話は方に切れた。
私は受話器をからし、しばらく暗い部にち尽くしていた。
仕事を辞めて松本にむことはできない。
京のワンルームに祖母を引き取ることも、現実には能だ。
伯父の言う通り、私には何の力もない。
だが、それでも。
机のに置かれた、あのメモ帳が目に入った。
でかれた、掠れた『あいた』の文字。
私はカバンをに取り、財布のの幹線の回数券と、のスケジュール帳を確認した。
の。
松本のあの角い会議へ、私はかなければならない。
正義の方としてではない。
祖母の声を無し続けてきた、共犯者のとして。
逃げるのを、もうやめるために。