骨折で入院した七十九歳の母の茶箪笥から、夫の町工場が発行した八年分の源泉徴収票が見つかった。毎月七万円の給与。生活費の援助かと思いきや、工場では若い事務員が母の手書き台帳なしでは仕事が回らないと泣きついてきた。「あんたに知られたら辞めさせられる」と病室で冷たく言い放つ母。母が頑なに隠し続けたのは、かつて私が親孝行のつもりで奪ってしまった居場所だった。だが、母の衰えを隠すため、夫もまた裏である嘘を重ねていて――。
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