卒業50周年の同窓会で、住恵は旧友たちから「70歳まで町工場で働くなんて、貧乏な旦那さんでかわいそう」と夫・高志の仕事を笑われる。だが、その席で幹事の美恵子が「数年後には何倍にもなる」と1個80万円の漆器を勧め始めた。保証元として示されたのは、文化財を扱う「北山文化財修理工房」の鑑定書。住恵は印影の不自然さに気づき、美恵子が「責任者に直接確認した」と断言する会話を密かに録音する。友人が送金寸前となった時、住恵は契約を止め、夫へ書類の写真を送った。 やがて青い作業着姿の高志が会場に到着。胸には、まさにその工房名が刺繍されていた。実は彼こそ北山文化財修理工房の修理責任者だったのだ。高志が鑑定書を見た瞬間、「この書類を私たちの工房が発行した事実はありません」と告げる。 先ほどまで夫婦を嘲笑していた美恵子の顔から血の気が引き、80万円の漆器に隠された本当の狙いが暴かれ始める――。