"作業着の夫を笑った同級生と、80万円の偽鑑定書" 第11話
代も驚いてを乗りし、ふみ子の持つ鑑定を覗き込んだ。
「本当だ。文化財修理」
の同級たちも慌てて、自分に配られた鑑定をいて確認し始めた。
にかれた名と志の胸元の刺繍を見比べるたび、会から笑い声が1つずつ消えていった。
私は静まり返った友たちに向かって、志を紹介した。
「紹介するわ。夫の志です」
代は信じられないという顔で、私と志を交互に見つめた。
「ご主がこので働いているの?」
私は代の目を見つめ、はっきりとした声で答えた。
「ええ、文化財修理で修理責任者をしています」
美恵子はその言葉を聞いた瞬、喉の渇きを潤すようにグラスを持ちげようとした。
だが、彼女の指先は激しく震えていた。
グラスは美恵子のから滑り落ち、鈍い音をててい絨毯のに倒れた。
絨毯のおかげでグラスは割れなかったが、のが美恵子の元へと静かに広がっていった。
志は周囲の線を浴びながら、落ち着いた声で自分の仕事について説し始めた。
「修理責任者として、彫りや漆品をに、博物館や寺から預かった文化財の修理をしています」
代はし戸惑いながら、志に質問した。
「文化財って、仏像とか?」
志は代の方へ向き直り、静かに頷いた。
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「仏像や、漆塗りの芸品などです。状態を調べ、必な処置をして次の世代へ残せるようにします」
代は自分が先ほどまで馬鹿にしていた相の仕事内容をり、しずさりした。
「それじゃ、普通の町じゃ……」
私は代の顔を見つめ、静かに言葉を継いだ。
「私はだとは言ってないわ。修理関係の仕事をしていると答えただけよ」
代はを半きにしたまま、何も言葉を返せなくなった。
代は志の作業着をもう度見つめ、さく呟いた。
「でも、あなたが責任者だなんて」
志は美恵子の方へ静かに向き直り、問いかけた。
「私をごですか?」
美恵子は激しく首を横に振り、線を泳がせた。
「らないわ。らないけど……」
美恵子は自分の元にある鑑定へ目を落とし、両で固く握り締めた。
私はバッグから、美恵子に渡された鑑定のコピーを取りした。
そして、そのコピーを志のへと静かに差しした。
「志に見せたいものというのは、これよ」
私は志の顔を見つめ、はっきりとした声で伝えた。
「この漆器を、あなたので修理したといてあるの」
志は私から類を受け取り、そこにかれた文字へゆっくりと目を通し始めた。
美恵子は子に座ったまま、まるで逃げを探すように周囲へ線をかしていた。
私は美恵子の様子を観察しながら、皆に聞こえるように言った。
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「美恵子は、の責任者に直接確認したと言っていたわ」
代は美恵子を問い詰めるように、鋭い線を向けた。
「その責任者が、恵のご主なの?」
志は類から顔をげ、代と美恵子を交互に見つめた。
志ははっきりとした声で、静かに宣言した。
「なくとも、この類を私たちのが発した事実はありません」
代は志の言葉を聞き、パニックになったように声を荒げた。
「じゃあ、私たちが買おうとしていたものは何なの?」
ふみ子も青ざめた顔で、元の封筒をく握り締めた。
「私、80万円を払うところだったのよ」
美恵子は突然子からちがり、切り声をげた。
「まだ偽物だと決まったわけじゃないでしょう!」
突然響いた美恵子の叫び声に、全員がビクッと肩を震わせた。
だが、そので最も激しく震えていたのは、叫んだ美恵子自だった。
代たちは自分の持つ鑑定と美恵子の顔を、そうに交互に見つめた。
先ほどまで美恵子の顔にあった余裕の笑みは、もうどこにも見当たらなかった。
代はし引きつった顔で、美恵子に問いかけた。
「ねえ、美恵子、どうしてそんなに慌ててるの?」
美恵子は自分のを必に隠そうとしながら、語気をめた。
「慌ててなんかいないわ」
代は美恵子の元を指差し、さらに問い詰めた。
「が震えてるじゃない」
美恵子は言葉に詰まり、言い訳を探すように目を泳がせた。
「それは……」