"作業着の夫を笑った同級生と、80万円の偽鑑定書" 第12話
志は類から再び顔をげ、静かに皆を制した。
「に確認します。しお待ちください」
志は自分のスマートフォンを取りし、画面を操作し始めた。
先ほどまで私たちを貧しいと笑っていた美恵子たちは、今は何も言えずにち尽くしていた。
彼女たちは元の鑑定を握り締めたまま、ガクガクと震えていた。
志はスマートフォンをに当てながら、偽造された鑑定の審な点を指摘し始めた。
「まず、文化財ではこの形式の鑑定は発していません」
代は信じられないという顔で、類のを指差した。
「でも、の印が押してあるわ」
志は代の指先を見つめ、静に答えた。
「似せてありますが、うちの印ではありません」
代は志の顔を見つめ、すがるように尋ねた。
「そんなことが分かるんですか?」
志は元の類を指で軽く叩き、確に説した。
「印の文字の隔が違います。それに、この番号の付け方も、で使っているものとは違う」
志はさらに、鑑定の文章そのものを指で示した。
「私たちが作るのは修理報告です。修理の状態、使った材料、作業の内容などを記録します」
代はし混乱したように、志の言葉を繰り返した。
「本物かどうかは……?」
志は代の目を見つめ、ゆっくりと首を横に振った。
「修理に必な調査はします。
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しかし、私たちのが将来の販売価格を保証することはありません」
ふみ子は自分の鑑定を持ちげ、震える声で言った。
「ここには数の価値まで保証するといてあるわ」
志はふみ子の目を見つめ、はっきりと断言した。
「だから、この類はうちがしたものではないんです」
美恵子は志の言葉を遮るように、必の形相で叫んだ。
「類が違うだけかもしれないでしょ。その物は本物よ」
志は美恵子の顔を瞥し、元のスマートフォンへ識を向けた。
通話が繋がり、志は職のスタッフへ静かに話しかけた。
「の修理記録を確認します。……はい、文化財修理です。私だ」
志は元の偽の鑑定を見つめながら、確に指示をした。
「修理台帳を確認してほしい。類にある番号と漆器の写真を今から送る」
志はしを置いて、スタッフの返事を聞き入れた。
「……承しました」
志は通話を保留にし、元のスマートフォンのカメラで類と漆器の写真を撮した。
写真を送信し終えると、志は再びスマートフォンをに当てた。
数分も経たないうちに、から折り返しの報告が来た。
志は無言のまま、スタッフの報告をじっと聞いていた。
やがて志はさく頷き、静かな声で報告内容を復唱した。
「該当する番号はありません。
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写真の漆器についても、受け入れ記録、調査記録、修理記録のいずれも確認できません」
志のその言葉が会に響くと、代とふみ子はく息を吐きし、そのにへたり込んだ。
志はスタッフへ向かって、最の指示をした。
「分かった。ありがとう。類の画像も保しておいてくれ」
志は話を切り、スマートフォンをポケットにしまった。
そして、志は真っ直ぐに美恵子の方へ向き直った。
志は美恵子の目から線を逸らさず、はっきりと告げた。
「この漆器を私たちので扱った事実はありません。この類も偽物です」
美恵子は力なく首を横に振り、ずさりをした。
「違う……」
代は美恵子を鋭く睨みつけ、声を荒げた。
「何が違うの?私は販売業者に騙されたのよ」と美恵子は必に言い訳をした。
代は美恵子に詰め寄り、彼女の嘘を突きつけた。
「でも、の責任者に直接見てもらったって言ったでしょ」
美恵子は顔を覆い、狂ったように首を振り続けた。
「そんなこと言ってないわ」
私は静かに美恵子のにみた。
そして、はっきりとした声で告げた。
「言ったわ」
私は自分のポケットからスマートフォンを取りし、画面を操作した。
そして、先ほど保した録音データを、皆ので再した。
『ええ、責任者に見てもらったわ。だから絶対に丈夫』
自分の声が会に流れると、美恵子は弾かれたように子からちがった。
美恵子は顔を真っ赤にして、私に鳴り散らした。