"作業着の夫を笑った同級生と、80万円の偽鑑定書" 第6話
「数に値がりするというのは、誰の判断なの?」
美恵子は全く悪びれる様子もなく、即座に答えた。
「もちろん専」
私はし語気をめ、さらに美恵子に問いかけた。
「値がりする能性はないの?」
美恵子は器の蓋にを添えたまま、首を横に振った。
「ないわ。これは普通の古品じゃないの」
美恵子は漆器を指差し、自信に満ちた声で言い切った。
「由緒ある本物だもの」
代は美恵子の言葉を聞いて、したように表を緩めた。
代はふみ子の方を見て、美恵子をかばうように言った。
「美恵子が言うなら違いないわよ。昔からいい加減なことを言うじゃなかったもの」
美恵子は代の言葉に満そうに頷き、さらに説を続けた。
「この漆器を修理したは、博物館やお寺の仕事もしているの」
美恵子は私たち全員を見渡し、力く言った。
「そこが保証しているのよ」
美恵子は自分のバッグからい封筒を何枚か取りした。
そして、その封筒を私たちへ1通ずつ渡していった。
私も渡された封筒を受け取り、をゆっくりと取りした。
には漆器の写真、販売価格、振り込み先がかれたが入っていた。
そして、それらと緒に「鑑定」とかれた枚のが同封されていた。
代は鑑定をまじまじと見つめ、声をげた。
「ほら、きちんと押印してあるでしょ」
広告
ふみ子も自分の元にある鑑定を覗き込み、頷いた。
「本当ね」
ふみ子は鑑定にかれている名を声にして読んだ。
「文化財修理。名からして派そう」
美恵子はし顎をげ、得げに説を加えた。
「関係者のでは名よ。ここが修復して本物だと確認した品なの」
私は鑑定から顔をげ、美恵子へ線を向けた。
「の担当者の名は?」
美恵子はし怪訝な顔をして、私の質問をかわそうとした。
「そういう細かいことは類を見れば分かるでしょ」
私は元の類をもう度確認し、美恵子を見つめた。
「ここには名しかかれていないわ」
美恵子はし苛ったようにを振り、私を遮った。
「責任者には私が直接会っているから問題ないの」
美恵子は代とふみ子の方へ向き直り、笑顔を作った。
「あなたたちは私を信用してくれればいいのよ」
美恵子は自分の胸にを当て、し声を張った。
「50の友達だもの。らない業者から買うのとは違うわ」
美恵子は自分の言葉に満したように、く頷いた。
代はしそうに美恵子を見つめ、質問をした。
「もし将来売りたくなったら、どこへ持っていけばいいの?」
美恵子はすぐに代のを打ち消すように答えた。
「販売業者が買い取ってくれるわ。値がりした分もきちんと乗せしてね」
広告
私は美恵子の説を聞いて、さらに疑問をぶつけた。
「その買い取りについて、面の約束はあるの?」
美恵子は私から線をし、面倒くさそうに息を吐いた。
「恵は本当に細かいわね」
美恵子は私ではなく、の友たちへ向かって説を続けた。
「信頼のある業者だから、そんな配はいらないの」
代はし興奮した様子で、美恵子に尋ねた。
「この器と同じものがにもあるの?」
美恵子はさく頷き、指をててみせた。
「同じ旧からた漆器が、あと5つある。そうよ。私の友だから優先してもらったの」
代は迷わず元の類を引き寄せ、はっきりとした声で言った。
「それなら私は買うわ」
ふみ子は驚いて代を見つめ、声をげた。
「もう決めるの?」
代が頷くと、美恵子はすぐに自分のペンを差しした。
美恵子はふみ子の方へも向き直り、購入を勧めた。
「ふみ子も買ったら?1暮らしなら蓄えはい方がでしょ」
ふみ子はし困ったように眉をひそめ、首を傾げた。
「でも、80万円はすぎるわ」
美恵子はふみ子をく説得するようにを乗りした。
「だからこそ価値があるの。いものを買ってもおは増えないでしょう」
ふみ子は美恵子の勢いに押され、迷いながら封筒から申し込みを取りした。
私は元の鑑定をじっと見つめ、美恵子へ声をかけた。
「美恵子、この鑑定をもうし詳しく見せてもらえる?」
美恵子はし驚いたように私を見つめ返した。