「子連れじゃ駄目ですか? もう九社に断られて、ここが十社目なんです」 倒産寸前の足場屋に現れたのは、ハーバード工学部卒の女性職人・望月薫。 先代の転落死以来「脚立の3段目」すら登れなくなった社長の卓郎は、彼女の泥まみれの資格と職人技に懸け採用を決める。 だが、大手ゼネコンが誇る特許工法には、薫が家庭内で元夫に盗まれたはずの構造が、彼女自身の“ある書き間違い”まで完全に複製されていた。 証拠を握る元夫が下請けの命綱を握り潰そうとする中、卓郎の実家の仏壇の奥から、23年前の決定的な記録が見つかり――。