"地上二メートルから見上げる逆転の空" 第24話
篠原の顔から、完全に血の気が失せていた。
卓郎は、この男がなぜ現で度もその具を疑えなかったのか、その理由を完全に理解した。
構造を疑うためには、その数字が持つ力学なを、自分のとで理解していなければならないのだ。の分からない記号をただ引き写しただけの男に、狂いを見抜くことなどできるはずがなかった。
卓郎は膝のにを置き、そこで初めてをいた。
「……部さん。うちの会社は、その違った数字が読めなかったから、『技術を持ちした棒会社だ』と罵られ、仕事を断られました」
卓郎は篠原を指差すことなく、まっすぐに部を見据えた。
「正しい数字が読める本物のは――今、ここに座っています」
そのの続きは、わずか度の協議で完全に決着がついた。
彩テクノ建設は、特許庁への願を正式に取りげ、法の正当な考案者が望薫であることを公に認めた。会社は改めて薫とので正規の技術ライセンス契約を締結し、正当な実施料と対価が支払われることとなった。
篠原はなコンプライアンス違反により懲戒解雇処分を受け、社内調査委員会の対象となった。滞納されていた向の養育費は、退職の差し押さえによって全額が括で回収された。
謝罪の席で、務部は浦組の同に向かって何度も何度も々とをげ続けた。
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篠原だけは、最まで度も、薫と目をわせることはなかった。
彩テクノ建設の本社ビルを、卓郎が再び訪れたのは、それからのことだった。
今度は呼びされたのではない。
卓郎が自ら、分い見積と全管理計画の束を抱え、受付のカウンターにったのだ。
応接に現れた務部は、恐縮しきった様子でをげた。
「浦社……先の件につきましては、会社を代表して、改めてよりお詫びを――」
「そのお話をしに来たのではありません」
卓郎は持参した分い封筒を、テーブルの央へドンと置いた。
「駅再発、第期事の事です。……もう度、浦組に見積もりをさせてください」
部の眉がピクリといた。
「率直に申しげますが……御社の法研修は、篠原氏がった、まだ度も成功していないはずです」
卓郎は、男の名をあえてにはさなかった。
「で平らに組んでから引き起こす法は、部材の量バランスと具の精度を極限まで見極めなければ、しの歪みで枠が噛み込みます。枠が噛み込んだ、現のどこを疑い、どのボルトを微調すればいいのか、図面から瞬に読み取れる職がいなければ、この法は現で使えません。……御社が抱える社の協力会社のに、今、それができる会社がつでもありますか?」
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部は沈黙した。
「うちは、県内で番さなです。職はしかいません。……ですが、あの法を完璧に施できる、唯の会社になれます」
い沈黙が流れた。
やがて、部は卓郎の目をじっと見据えた、内線話の受話器を静かに取りげた。
浦組に正式な発注内示が届いたのは、その週の曜の夕方だった。
そこには、つの特別な条件が付帯されていた。
『次請け協力会社社を集めた、法施講習会の主任講師を、限会社浦組が務めること』。
講習会の当。薫は社から集まった歴戦のベテラン鳶職たちが注する、作業着の袖をまくり、の央にった。
で平らに組みげられた巨なフレーム。薫の笛の図とともに、ウインチのワイヤーが巻き取られ、枠がゆっくりと青空へ向かって持ちがっていく。
角度が度を超えた瞬――見守っていた誰かが、ハッと息を呑む音が聞こえた。
具は、切噛みわなかった。
センチのクリアランスを保ったヒンジが、滑らかな油の音をててスライドし、巨なフレームは何の抵抗もなく、静かに、そして垂直に青空へとちがった。
ワッと沸き起こった万の拍の、卓郎の隣にっていた久保田が、甲の袖で乱暴にをすすっていた。
そのを境に、浦組の事務所の話は、鳴り止むことがなくなった。