「新しい命を授かった。子供を産めない君は出て行け」 目の前には一枚の離婚届。二十五年もの間、家事と介護に身を捧げてきた恵子は、若い愛人の妊娠に歓喜する義母と夫から、不用品として切り捨てられた。「石女」と罵られ、身一つで追い出された恵子だったが、取り乱すことなく静かに判を押す。なぜなら彼女の手元には、十五年前に夫自身が闇に葬った大学病院の「ある診断書」が眠っていたからだ。 数週間後、勝ち誇って愛人の妊婦健診に付き添った夫。だが、診察室で医師が冷淡に告げた胎児の推定週数に、夫の顔から血の気が引いていく――。 「……先生、どうしてその計算になるんですか?」