小学二年生の息子が下校途中に姿を消した。身寄りのない私を支え、町中を巻き込んで連日捜索を指揮してくれたのは、誰からも信頼される自治会長だった。だが三日目の夕暮れ、下校中の中学生から『息子の赤い靴を旧河堤で見た』と告げられる。公民館の記録を開くと、その区域だけが初日から会長一人の手で『異常なし』と赤線で消されていた。全住民を北の山へ遠ざける男を前に、私は震える指を隠し「誰も見ていませんでした」と笑って見せた。
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