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"息子の捜索地図を消す男" 第20話

事件ですか、事故ですか』

受話器の向こうから聞こえてくる静な声に、私は震える息を吸い込み、はっきりと答えた。

になっていた、息子の浦悠を保護しました。……旧堤の、古いポンプです。救急配してください。それから――」

私は座り込んでいる野寺修瞥した。 彼は両だらけの膝のに置き、を垂れていた。 言い訳も、抵抗も、懇願すらにすることはなかった。

「……被疑者も、ここにいます」

通話を終えると、くの県の方向から、かすかにサイレンの音が聞こえ始めた。 つ、つ。 赤灯のが、くの夜空を微かに赤く染めげながら、この旧堤を目指してづいてくる。

私は濡れたジャンパーで悠をしっかりと包み込み、ぬかるんだ歩、の方へと歩き始めた。 背で、座り込んだままの野寺さんが、絞りすような声で何かを呟いた。 だが、その言葉がにかき消され、私のに届くことは度となかった。

町が本当の混乱に包まれたのは、夜がけてからのことだった。

利事務所の予告通り、旧堤の流にある斉に放された。 茶く濁った激流が、ぶりに干がっていたへと崩れ込み、轟音をてて旧ポンプ元を洗った。 観測の鉄ハッチの隙から流れ込み、拓くんの言った通り、わずか分ほどで井までを満たした。

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もし、昨夜のうちに悠を救いせていなければ。 もし、あのまま野寺の言葉を信じて、自宅で話を待っていたら。

搬送された病院の児病棟のベッド脇で、私は点滴を受ける悠さなを握りしめながら、止まらない悪寒に震えていた。

度の脱症状と、急性気管支炎によるしていたが、幸いにも命に別状はなかった。 医師によれば、あと発見が遅れていれば、脱から腎全を起こしていた危険があったという。 抱きかかえていたトイカメラのフィルムは、警察の鑑識によって現像された。 そこには、暗がりので怯える拓くんの顔と、倒れたバイクのナンバープレート、そして斜面のに倒れていた老の姿が、はっきりと記録されていた。

そのの午、病のテレビが、臨ニュースを告げた。

『島根県警は本の男児を旧排施設のに監禁したとして、この町の自治会野寺修容疑者(歳)を監禁および犯蔵匿の疑いで逮捕しました。また、同容疑者の孫で県に通う男子徒(歳)についても、無免許過失運転致傷および交通法違反(ひき逃げ)の非事実で児童相談所に通告、柄を確保しました』

画面には、ブルーシートで囲まれたあの旧ポンプと、野寺修の自宅々とげる警察官たちの姿が映しされていた。

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夕方、病のドアが控えめにノックされた。 入ってきたのは、婦会の渡辺さんと、副会の荒さんだった。 の顔からは血の気が引いており、やつれ果てていた。 渡辺さんのには、所の々から集められたという見いの果物籠が握られていたが、そのは微かに震えていた。

「……遥さん」

さんが、掠れた声で言った。 いつも威勢の良かった代の男が、私ので背を丸め、消え入りそうな声をしていた。

「何と言ってお詫びしたらいいか……。わしらは、あの男の言うことを鵜呑みにして……おさんを止めて、川へかせまいとして……」

「荒さんたちのせいじゃありません」

私は静かに言った。

「誰も、らなかったんですから」

「でもね、遥さん」

渡辺さんが涙を溢れさせながら、私のを取った。

「公民館の黒板……あんなに綺麗にかれていた捜索図がね、全部嘘だったのよ。警察が来て、会の机から偽の巡回記録を押収していって……みんな、何も言えなくなっちゃってね。、あのを信じて、町の誇りだとって従ってきたのに……私たちは、体何を見ていたんだろうねぇ……」

渡辺さんはハンカチで元を押さえ、肩を震わせて泣いた。

私はかける言葉が見つからなかった。 悪があったわけではない。

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