"息子の捜索地図を消す男" 第16話
たいコンクリートの暗の、たったで閉じ込められ、迫り来る濁流にみ込まれていく息子の姿。
「鍵は」
私は拓くんの襟首を掴んでたせた。
「予備の鍵が、こののどこかにあるはずでしょ! 探しなさい!」
「わ、わからない……おじいちゃんの斎の庫か、それともトラックの……」
そのだった。
ので、聞き慣れたいエンジン音が響いた。
ブォォォン……と唸りをげて、庭の砂利を踏みしめるタイヤの音。 夕暮れの暗い障子に、本のいヘッドライトのが突き刺さるように差し込んだ。
い軽トラックが、をくぐって戻ってきたのだ。
エンジンが切られ、静寂が戻る。 バタン、と運転席のドアが乱暴に閉まる音が、夕のに鋭く響き渡った。
役員会へったはずの野寺修が、予定より遥かにく、このへ帰ってきたのだ。
砂利を踏みしめるタイヤの音が、静まり返った玄関先で止まった。
本の鋭いヘッドライトのが、障子越しに部の奥までく射し込んでいる。 アイドリングの微かな振が、元の板を通じて伝わってきた。
誰も声を発しなかった。 に崩れ落ちた拓くんは、両でを塞ぐようにしてさくうずくまり、カタカタと歯の根を鳴らしていた。 私はポケットのの黄いクマのマスコットをく握りしめた。
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いプラスチックの角が掌の皮膚にい込み、鋭い痛みをらせる。 その痛みだけが、激しく波打つ臓の拍を辛うじて現実に繋ぎ止めていた。
バタン、とトラックのいドアが閉まる音がした。
を置かず、ざっ、ざっと湿った面を踏みしめる靴の音がづいてくる。 歩ごとにを払うような、く正確な歩調。 聞き慣れた、野寺修の音だった。
ガラリと、玄関の引き戸がいた。
の湿った夜気が、気に内の淀んだ薬品臭を掻き乱す。 逆のに、作業着姿の老のシルエットが浮かびがっていた。 野寺さんはに歩踏み入れ、照のスイッチを押した。
カチリと音がして、丸い蛍灯がチカチカと瞬き、暗いをく照らしした。
そこには、異様な景が広がっていた。 に散らばった血染めの包帯、け放たれたゴミ袋、うずくまる孫、そしてそのにち塞がるようにっている私。
野寺さんの線が、まず元のゴミ袋に落ちた。 次に、震える拓くんの背に触れ、最に、私の顔へと持ちがった。
彼の表はかなかった。 驚きも、揺も、りすら浮かんでいない。 ただ、使い古した鉄の具のように、たく乾いた静寂がその顔に張り付いていた。
「……役員会はどうされたんですか」
私の喉から、く掠れた声がた。
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野寺さんは答えず、背の引き戸を静かに閉めた。 鍵をかけるカチャリという属音が、狭い玄関にく響き渡る。 彼は濡れた靴を脱ぐこともせず、の真んにち止まった。
「遥さんが公民館に来ていないと、渡辺さんから話があった」
野寺さんの声は、驚くほど平坦だった。
「に話をしても誰もない。胸騒ぎがして戻ってみれば……なるほど、そういうことか」
「おじいちゃん……っ」
拓くんがにいつくばったまま、掠れた鳴をげた。
「ごめんなさい……僕、話した……全部、話したよ……! もう嫌だ、もう耐えられないよ……!」
野寺さんは孫に瞥もくれなかった。 その線は、ただ真っ直ぐに私の――ポケットので何かをく握り込んでいる私の元に向けられていた。
「拓から、何を聞いた」
「すべてです」
私は歩も退かなかった。 恐怖は、すでに別のものに塗り潰されていた。 息子を暗に閉じ込めた男に対する、氷のようにたい憎悪。
「曜の夕方、この子が旧堤で無免許でバイクを乗り回し、老を撥ねて逃げたこと。 その現を、悠が写真を撮って目撃したこと。 あなたが事故を隠蔽するために、怪をした老を『ただの転倒の発見者』として病院に運び込み、悠をポンプのに閉じ込めたこと。 ……そして、町の々を騙して、のばかりを探させていたこと」
息に吐きすと、私の呼吸は激しく乱れた。 だが、野寺さんは眉毛本かさなかった。