みかん小説
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"息子の捜索地図を消す男" 第21話

誰もが町をし、子どもを配し、善からいていた。 その善そのものが、野寺修というの男の歪んだプライドによって、最も残酷な目隠しとして利用されていたのだ。

公民館のあのきな図は、警察の捜査班によって壁から剥がされ、証拠品として運びされたという。 几帳面に引かれていたとりどりの斜線も、定規で引かれたような赤い文字も、すべては虚飾の記録だった。 残されたのは、い沈黙と、度と元には戻らない域の信頼の残骸だけだった。

が退院したのは、がすっかりたくなったの初めだった。

て、久しぶりに踏みしめたの空気は澄み切っていた。 駅へ続くを、私は悠を繋いでゆっくりと歩いた。 悠取りはまだし覚束なかったが、青いスニーカーをしっかりと面につけて、の青空を見げていた。

「お母さん」

「なぁに」

「あのおじいちゃん、もういないの?」

「……ええ。もう、ここにはいないわ」

野寺修は起訴され、裁判を待つとなっていた。 孫の拓くんは退学処分となり、県の親族のもとへ引き取られたと聞いている。 撥ねられた老命を取り留め、リハビリを続けているそうだ。 あの派な構えの野寺邸は、戸がすべて閉ざされ、入れをする者のいなくなった黒松が、に寂しく枝を揺らしているという。

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町を歩くと、すれ違う々が私たちに気づき、を止めた。 農協の職員も、主も、登徒たちも。 誰もが気まずそうに、あるいは痛ましそうに線を泳がせ、それでも最にはさくげて、「よかったね」「元気になってよかった」と声をかけてくれた。

その声には、以のような屈託のない親しさはなかった。 誰もがのどこかに、あのに自分たちが犯した「見落とし」の傷を抱えているようだった。 この町がかつて持っていた、無邪気で温かい共同体の空気は、もうどこにもなかった。

それでも、世界は続いていく。

通学の脇に広がる田んぼでは、稲穂が黄に実り、収穫の期を迎えていた。 くの裾には、い朝が棚引き、その向こうから柔らかな朝のが射し込んでいる。

「お母さん、が痛いよ」

さく笑った。 見ると、私が無識のうちに、息子のさなく握りしめすぎていた。

「ごめんね」

私は力をし緩め、息子のを握り直した。 さな掌から伝わってくる、確かな、温かい体温。 それはたいでも、決して消えることのなかった、かけがえのない命の温もりだった。

こうか、悠

「うん」

私たちは、朝のへと歩きした。 く伸びたつのが、並んでへとんでいく。 消えることのない傷痕を抱えながら、それでも私たちは、この町でしい常を紡ぎ直していくしかなかった。

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