"息子の捜索地図を消す男" 第3話
のが真っになった。
旧堤。 町の端を流れる古い分嶺で、数にしい放ができてからは、ほとんど入れもされていない荒だ。 背丈ほどの雑がい茂り、錆びたと、打ち捨てられたコンクリート造りのポンプがつあるだけの所。
「曜の……半?」
「うん。違いないよ。スマホで見たから。そのあとがパラついてきたし」
宮くんは議そうに首を傾げた。
「でも、公民館のがあそこはもう探したって言ってたからさ。僕が見たのは見違いだったのかなってって、誰にも言ってなかったんだけど」
「公民館のが……あそこを探した?」
「うん。曜の朝、学で先が『自治会が旧堤の周辺は捜索済みで異常なしと確認したから、徒は危険だから寄らないように』って言ってたよ」
喉の奥がカラカラに乾いていた。 声がうまくない。
「……誰が、それを言ったの?」
「え? 先が言ってたのは、自治会の野寺さんから学に連絡があったって」
宮くんの言葉が、たいのように私の背筋を流れ落ちていった。
野寺さんが。 捜索済みだと。
「……ありがとう、宮くん。教えてくれて、本当にありがとう」
私はをげると、返事も待たずに自転にび乗った。
のを、無数の疑問が濁流のように渦巻いていた。
悠がなぜ、自宅と正反対のにある旧堤にいたのか。
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あそこは子どものでも分以かかる所だ。普段の通学からも、遊びからも完全にれている。
そして、なぜ野寺さんは、そこを「捜索済み」にしたのか。
曜の朝といえば、悠がいなくなってまだ半しか経っていないだ。 警察の本格な捜索が始まったのも、そのの午からだったはずだ。そんない段階で、誰が、いつ、あの広な旧堤の藪を捜索したというのか。
ペダルを漕ぐがもつれそうになる。 息が切れ、肺が痛い。 私は県を逆戻りし、公民館へと乱に自転をらせた。
公民館の駐には、野寺さんの乗る軽トラックがまっていた。 荷台にはのついた靴と、プラスチックのスコップ、そして折りたたまれたパイプ子が積まれている。
私は自転を倒すようにして止め、公民館の玄関へ駆け込んだ。
「野寺さん!」
引き戸を勢いよくけたが、広には誰もいなかった。 湯沸かしの換気扇だけが、く唸りをげている。 壁掛け計の針は、分を指していた。のボランティアの々は、没の最終確認のためにまだにているようだった。
「野寺さん……?」
奥の事務のドアは閉ざされていた。 からの気配はしない。おそらく、消防団の詰所にでも顔をしているのだろう。
がらんとした広の正面に、あのきな宅図が掛けられていた。
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町内が細かく分けされた図。 赤、青、黄。 それぞれの区域に、付と担当者の苗字が几帳面な字でき込まれている。
私は靴を脱ぐのももどかしく、板張りのを靴のまま駆け寄った。
図の最端。 町の境界線に沿って引かれた、の太い線。 「旧川敷・排」とかれたその区域には、初の付である「」の文字とともに、太い赤ペンできく斜線が引かれていた。
その横に、黒いマジックでかれたさな文字がある。
『捜索完 異常なし』
そして、そのに添えられた、見慣れたサイン。
『野寺』
私は壁の横にある事務机のに目を落とした。 そこには、このの捜索活を記録した分いバインダーが何冊も積みげられていた。
野寺さんは元役所勤めだけあって、類の管理が極めて几帳面だった。 誰が、何に、どのルートを歩き、何を確認したか。 ボランティアが集まるたびに、必ず受付で氏名と巡回ルートを用に記入させていた。
私の指先は、たく湿っていた。 バインダーの具をく音が、静まり返った広に異様なほどきく響く。
枚目。 初、の捜索記録表。
午の部。 「ルートA(林) 担当:佐藤、渡辺、」 「ルートB(学周辺) 担当:、伊藤」 「ルートC(駅商) 担当:浦、野寺」
ページをめくる。 午の部。
夜の部。
目。。