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預かったままの革靴

預かったままの革靴

雨上がり 完結 0

昭和25年、戦後の面影が残る東京の駅前で、13歳の健二は靴磨きをして暮らしていた。 父は戦争から帰らず、母も亡くなり、頼れる人もいない。寒さと空腹に耐えながら、健二は毎日、通り過ぎる人々の靴を磨いていた。 そんな健二の木箱の横には、いつも一足の古い黒い革靴が置かれていた。 右のつま先には深い傷。左のかかとはすり減り、決して立派な靴ではない。それでも健二は、その靴だけは売ることも履くこともなく、何年も丁寧に磨き続けていた。 「取りに来るんだ」 そう言って、健二は持ち主を待ち続けた。 なぜ少年は、その一足を最後まで手放さなかったのか。 18年後、小さな靴修理店を開いた健二の前に、一人の老人が現れる。 古い革靴に込められていたのは、戦後を生きた人々の、名前も残らない小さな優しさだった――。

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