昭和53年、東京郊外の古い商店街で、歳末福引が始まった。 一等は自転車。誰もが楽しみにする年末の小さな行事だったが、そこで一人の女性が3年続けて一等を引き当てる。 夫を亡くし、息子と二人で暮らす小林千代。 あまりの偶然に、商店街では「福引は最初から決まっていたのではないか」という噂が広がり始める。 そして翌年、八百屋の若主人が福引の準備中に見てしまったのは、会長がこっそり隠していた金色の玉だった。 本当に不正だったのか。 なぜ千代だけが、毎年一等を引いていたのか。 その裏には、商店街の人々が長年黙って守り続けた、ある亡き男への恩と、一人の女性の静かな選択が隠されていた――。