1990年代後半の真夏の朝、山間の小さな村で、虫かごを持った5人の子供たちが山へ向かった。 雑貨店の前でラムネを飲み、「夕方までには帰る」と笑って手を振った5人。しかし、その日を境に、彼らは二度と家へ戻らなかった。 山で迷ったのか、川へ流されたのか、それとも誰かに連れ去られたのか。村中が必死に捜索する中、誰よりも熱心に動いていたのは、消えた少年の叔父だった。 だが、1人の刑事だけは小さな違和感を捨てられずにいた。 山へ向かっていない足跡。新しく打たれたコンクリート。そこに残された、腕時計の一部らしき小さな金属片。 それでも証拠は足りず、事件は長い年月の中へ沈んでいく。 そして11年後。古い床下から見つかった5つの虫かごと、止まったままの子供用腕時計。 あの夏、子供たちは本当はどこへ向かっていたのか。 村が信じ続けた“優しい叔父”の姿が崩れた時、12年間閉ざされていた真実がようやく姿を現す。