"12年目の虫かご" 第7話
「の境界標識をかしていました」
夫は両を組み直した。
「兄貴にられないうちに、しでも自分の取り分を増やしたかった」
相続が正式に決まれば、自分にはほとんど残らない。
借がある。
さえに入れば何とかなる。
そんなことばかり考えていたという。
「翔太が標識のにしゃがんでいました」
夫の声がさらにくなった。
「あいつは何度もに来ていたから、位置がおかしいと気づいたのかもしれない」
の4も緒に見ていた。
翔太が父親へ話せば、終わる。
その瞬、夫はそうった。
「ラムネに薬を入れました」
刑事の目がわずかに細くなった。
「何のためですか?」
「し眠らせるだけのつもりでした」
「5全員を?」
夫は答えなかった。
「薬をませた、どうしましたか」
「倒れました」
「それから?」
い沈黙。
「型枠がありました」
「いつから?」
「数から」
「何のための型枠ですか?」
「倉庫の基礎です。本当です」
刑事は何も言わなかった。
夫は額に汗を浮かべた。
「気づいたら……もう戻れないとった」
そのの言葉は途切れ途切れだった。
5を運んだこと。
コンクリートを流したこと。
持ち物を回収したこと。
虫かごと計をに隠したこと。
そして、その夜から自分で捜索隊の先にったこと。
刑事は最に尋ねた。
「どうして川を探させたんですか?」
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夫は俯いた。
「作業からざけたかった」
「義姉さんには『必ず見つける』と言いましたね」
夫のが止まった。
「……言いました」
「毎、5を偲ぶ集まりまでいた」
返事はなかった。
「その、遺留品を自宅のに隠していた」
夫の肩が震えた。
刑事はゆっくり帳を閉じた。
11、何度もいてきた帳だった。
最初のページにいた、さな跡。
属片。
疑問符。
それらがようやく1つの答えになった。
「夫さん」
刑事は真正面から男を見た。
「5の子供に対する事件について、正式に逮捕します」
夫は顔をげなかった。
錠がかけられる音だけが、取調にさく響いた。
再捜査の結果がへ伝わった、最初は誰も信じなかった。
「夫さんが?」
「そんなはずがない」
「番探していたじゃないか」
そう言う者もいた。
しかし、次々にらかになる事実をに、たちは言葉を失っていった。
11。
夫は族のすぐそばにいた。
翔太の母親が泣けば慰めた。
悟が病に倒れればを預かった。
毎、慰霊の席を設けた。
その全てを続けながら、真実をっていた。
翔太の母親は、警察から説を受けた、しばらく何も話せなかったという。
戻ってきた腕計を両で包み込んだ。
文字盤は止まり、傷だらけになっていた。
それでも、違いなく息子があのつけていた計だった。
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「夫さんが……」
母親は度だけ名をにした。
その、い泣いた。
裁判が始まったのは、事件発から12目を迎えただった。
方裁判所のには朝からくの報関係者が集まり、傍聴席を求める々が列を作った。
法廷の列には、5の遺族が並んだ。
翔太の母親。
親友だったの両親。
そして、この12で庭が崩れ、1で裁判所へ来た母親もいた。
それぞれの膝のには、子供の写真が置かれていた。
扉がいた。
夫が入廷した。
髪が増え、顔には病気の遺症が残っていた。
かつての力者として振るっていた姿はなかった。
夫は傍聴席を見なかった。
検察側は、事件が偶発なものではないと主張した。
相続を巡る正。
事件から準備されていたコンクリートの型枠。
麻酔薬。
持ち物の隠蔽。
そして事件の捜索誘導。
方、弁護側は、当の夫が巨額の借との劣等によるい理圧迫にあったと訴えた。
「子供たちをに眠らせる目で薬を使用し、量を誤った結果、取り返しのつかない事態になった」
そう主張した。
傍聴席から、さな泣き声が漏れた。
翔太の母親だった。
裁判は数かにわたった。
法廷では、腕計の鑑定結果、薬品の購入履歴、虫かご、作業の状況、文が残した証言などが順番に示された。
そして証として、翔太の母親も法廷へった。
母親はさな腕計を持っていた。
12。
「ってきます」と言ってていった息子がつけていた計。
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