「忙しいなら、今年のお盆は来なくていいのよ」 義母の優しい言葉を信じた紗都子を待っていたのは、山積みの汚皿と「お前が来ないから母さんが倒れた」という夫の非情な罵倒だった。七年間、召使いのように使役されてきた台所の片隅で、紗都子は偶然、一冊の黒革の手帳と三千二百万円の請求書を見つけ出す。そこには、四千万円の実家資産を隠蔽し、紗都子を無給の介護奴隷に仕立て上げる冷酷な計画が記されていた。すべてを録音したスマホを握りしめ、紗都子は笑い声の響く座敷の襖を静かに開け放つ――。
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