-
完結第16話
新婦母の席札
娘の結婚式を一ヶ月後に控え、義母から「新婦母の席は私が座る。綾子さんは末席でお酌でもしていなさい」と告げられた。二十五年間、波風を立てないよう耐え続けてきた私が反射的に笑って頷こうとした瞬間、いつも傍観者だった夫が「母さんは式に来るな」と箸を叩きつける。親戚中から非難を浴び、耐えかねて謝罪へ向かおうとする私を、玄関で娘が引き留めた。「お母さんは、誰のために謝るの?」親族の圧力に揺らぎ始める夫と、孫娘を手懐けようとする義母。結婚式まであと十数日、家族の偽りの平穏が音を立てて崩れ始める。嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.9万字5 495 -
完結第16話
作文の余白に書かれた秘密
中学二年の秋、国語担任の森下先生が突然休職した。だが一週間後、オンライン提出した作文に先生の筆跡で赤ペンの添削が届く。『昨日、お弁当箱を返せたでしょう』文章に書いていない家庭の秘密まで知る言葉に教室は騒然となるが、校方は先生のアカウントが休職初日から凍結されていると断言した。アクセス元は校内の複数端末。代課の教師が「悪質な悪戯」と断じ、三十日後の保護者会での担任解任を告げる中、先生の言葉を騙る添削は、同級生たちが必死に隠していた家庭の傷口へ容赦なく踏み込み始めていた。ミステリー|孤獨|親子関係2.1万字5 163 -
完結第16話
「実の親じゃない」と夫に言われた日
再婚して六年。高校進学を控えた三者面談の直前、夫から「実の母親じゃないお前は来るな」と告げられた。私は争わず、学校からの連絡書類をすべて夫の机に回した。三ヶ月後、娘が親に内緒で出願したのは、遠く離れた全寮制高校だった。激怒する夫に「この家に一秒もいたくない」と冷たく言い放った娘。だが彼女のスマホには、私が六年間作り続けた手料理のレシピと、調味料の配合がびっしりと書き留められていた。夫婦|親子関係|修羅場2.7万字5 326 -
完結第20話
私の弁当に、店長の娘の名前
スーパーの惣菜部で十二年働くパートの私は、現場の経験を注ぎ込んで一人暮らし向けの出汁煮弁当を開発した。テスト販売で完売が続き全国展開が決まるが、提出された企画書の責任者欄には店長の娘の名前が印刷されていた。「君は45歳だ、あの子には将来がある」と店長に口止めされ、同僚の手前沈黙を選んだ私だったが、全国発売を決定づける最終確認書の署名を求められた瞬間、私は手渡されたペンを机に置いた。職場逆転|因果応報|人生逆転|裡切られた|怒り3.0万字5 1571 -
完結第15話
失踪した兄へ父が送り続けた金
父が亡くなり実家の遺品を整理していた私は、机の奥から古い振込用紙の束を見つけた。十五年前に家族を捨てて失踪した兄の誕生日の翌日に、毎年三十万円が送られていた。摘要欄には「生活」の二文字。ずっと兄を捜していたはずの父は、北の工場の口座へ密かに金を送り続けていたのだ。私がその紙を弟に見せた瞬間、弟の顔から一気に血の気が引いた。弟は私の手から用紙を乱暴に奪い取ると、震える手でシュレッダーへ突っ込もうとした。兄弟姉妹|相続|行方不明|親子関係|金銭問題2.3万字5 2544 -
完結第20話
追い出した妻の味を食べる夫
娘の葬儀直後、「もう維持する理由はない」と夫に鍵を変えられ、所持金六百五十円で放り出された私。拾われた小さな唐揚げ屋で必死に働き五年が過ぎた頃、店に一日四十食の社内弁当の注文が入った。発注元は元夫が経営する外食企業の本社。断ることもできたが、私は社長室宛ての弁当を引き受けた。一週間後、回収された空の容器の底には、「今日の生姜焼きの味、昔食べたことがある」と書かれた元夫の付箋が残されていた。因果応報|裡切られた|夫婦|第二の人生3.1万字5 4659 -
完結第22話
父の葬儀で離婚を迫った夫
父の葬儀の最中、義母から離婚届を顔面に叩きつけられ、夫は臨月の部下を連れて現れた。子供ができないことを罵られ、雨のアスファルトへ放り出された私は、父の遺品が残る古いアパートで完全に縁を切る覚悟を決めた。だが七日後、あの夫が一人でドアを叩いた。目の下に隈を浮かべた夫は、下駄箱の上に分厚い現金の封筒を置き、埃っぽい土間に膝をついて「あと三ヶ月だけ妻でいてくれ」と頭を下げた。嫁姑|夫婦|修羅場|不倫3.2万字5 1180 -
完結第20話
廃墟旅館の双子と初恋の再会
離婚を機に6歳の娘・千尋を連れ、倒産した実家の温泉旅館へ逃げ帰ってきた32歳の竹谷虎次郎。ある夕暮れ、千尋が崩壊寸前の廃墟旅館へ駆け込んでしまう。後を追った虎次郎が埃まみれの古畳の上で目にしたのは、寄り添って震える1歳半の双子の赤ん坊と、ボロボロの服をまとい幽霊のように現れた衰弱女性――12歳で姿を消した初恋の幼馴染・水野絵里だった。元夫と義母から「夜泣きを止められない母親失格の役立たず」と罵倒され、養育費も拒絶されて追いつめられた絵里。虎次郎は幼馴染の大工・守を巻き込み、無謀にも廃墟旅館の再生を決意する。しかし再起を賭けたある雪の夜、思わぬ一枚の写真が世界を揺るがし――。兄弟姉妹|親子関係3.0万字5 392 -
完結第21話
二年間買い続けた夫の浮気相手
子宮全摘出手術の直後、夫から「子供も産めない女と暮らす意味はない」と離婚を告げられた私。夫は社内の若い部下と不倫しており、私は一人で小さなアクセサリー店を始めた。開店六日目、売れずに苦しむ私から最初に商品を買ってくれた匿名の客は、二年間毎月欠かさず注文をくれた。だが、二周年イベントの日に現れたその常連客は、夫を奪った浮気相手その人だった。逃げ出した彼女が残した控えには、「許してほしくて来たのではありません」と震える文字が記されていた。裡切られた|夫婦|第二の人生|修羅場|不倫3.2万字5 464 -
完結第24話
学費120万円をくれた伯父と、土地を狙う伯父
「大学なんて無理していく必要あるのか?」――父を亡くし、入学金78万円を前に途方に暮れる私・みさに、裕福な正尾おじさんは援助を拒んだ。 母にこれ以上頭を下げさせたくない私は、自分で制度を調べ、働いて進学への道を探す。そんな時、泥だらけの作業着で現れた公平おじさんが、養豚の豚を手放して作った120万円を「まず行け」と差し出してくれた。私はその恩を胸に大学を卒業し、10年かけて同じ120万円を貯め、返すため故郷へ戻る。ところが待っていたのは、床に倒れた公平おじさんと、彼の土地を安く手に入れようとする正尾おじさんの会社だった。もう誰かに人生を決めさせない。私は恩人の意思と暮らしを守るため立ち上がる。だが古い封筒から見つかった一枚の便箋が、10年間「借り」だと思っていた120万円の意味を根底から覆していく――。親子関係3.6万字5 78 -
完結第21話
母がナイフで砕いた自分の名前
母の七十歳の祝いで、私は家族に尽くし続けた母に自分の人生を取り戻してほしい一心から、ケーキのプレートに書かれた夫の姓を削り落とし、母の旧姓を書き直した。これで母は喜んでくれるはずだった。しかし母は青ざめ、「誰が戻りたいなんて言ったの」と私を睨みつけると、ナイフを掴んで自分の名前を何度も突き刺し粉々に叩き割った。家族全員から責め立てられた私は、母の部屋で底面を無残に削り取られた大量の人形を見つける。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係|修羅場3.1万字5 151 -
完結第23話
義母が突然、結婚指輪をくれた
夫が亡くなった日、義母は「もう家族じゃない」と私と娘を雨の中に追い出した。それから二年、一度の連絡もなかった義母が娘の小学校入学を控えた夕暮れ、四十年間外さなかった結婚指輪を私の指に無理やり嵌めて頭を下げた。翌日、親族が集まる祝いの席で和解を受け入れようとした私の前で、義母は冷たい笑みを浮かべ、夫が生前に娘の氏の変更書類を用意していたのではないかと問い詰めてきた。私の手の中で箸が止まった。裡切られた|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|修羅場3.5万字5 8530 -
完結第27話
元妻の弟に渡した6万円と12年前の手紙
「見なかったことにしてください」――冷たい雨の夜、私・なつみが駅裏で出会ったのは、12年前に自分を捨てた元妻・さおりの弟、てつやだった。かつて姉に頼り、私たちの共同預金も彼ら家族のために消えたと信じていた彼は、今や空き缶を集めて生きていた。 私は理由も聞かず6万円を渡し、その場を去る。ところが3日後、届いた封筒には4万円の返金と、黄ばんだ一通の手紙が入っていた。差出人は、もう二度と会うつもりのなかったさおり。しかも弟は「姉ちゃんは2年前に亡くなりました」と告げる。 12年間、私は“家族を選ばれて捨てられた”と信じて生きてきた。だが、彼女が死の間際まで隠し続けた手紙には、離婚も消えた共同預金も、私が知っていた真実とはまるで違う理由が記されていた――。夫婦|金銭問題4.0万字5 5707 -
完結第11話
元義母の仕送り要求と元夫の嘘泣き目薬
大手都市銀行の法人営業部で最年少課長を務めるゆかりは、劣等感からモラハラを繰り返す元夫・憲吾と一ヶ月前に離婚した。しかし、心穏やかな生活を取り戻しかけた矢先、赤の他人となった元義母・かず子から「毎月二十万じゃ足りない。今月から三十万仕送りして」と信じがたい増額要求の電話が入る。 離婚を理由に要求を一蹴するゆかりだったが、元義母は「憲吾がうつ病で休職中」と泣き落としにかかる。さらに数日後、自宅を突き止め実家へ怒鳴り込んできた元夫と元義母。玄関前で土下座し「助けてくれ」と涙を流す憲吾だったが、そのポケットから転がり落ちたのは一本の「市販の目薬」だった。暴かれた元夫の横領と解雇の真相、そして逆恨みから仕掛けられたSNSの炎上工作に対し、銀行員としての矜持を胸にゆかりの鉄槌が下る。嫁姑|夫婦1.7万字5 902 -
完結第28話
500万円で結婚した配達員の夫と古い銀行カード
一夜で実家が破産し、父は心筋梗塞で倒れた。手術費500万円を求め、ゆり香が最後にすがったのは、来月結婚するはずだった幼馴染の婚約者・拓也。だが彼は婚約指輪を泥水へ投げ捨て、ゆり香の親友・さやかを「新しい妻」として抱き寄せた――。家も金も、愛する人への信頼さえ失い、絶望の底へ突き落とされたゆり香。 父を救うためなら何でもすると覚悟した彼女は、偶然出会った貧しい配達員・孝太から500万円と引き換えに結婚を持ちかけられ、その妻となる。愛も未来もない取引のはずだった。ところが、孝太から渡されたボロボロの銀行カードが、ゆり香の運命を一変させる。 やがて浮かび上がる柴田家破産の不審な影。そして、なおも自分を嘲笑う拓也とさやか。もう泣いているだけでは終われない。ゆり香は孝太の手を取り、自ら奪われたものを取り戻す反撃を決意する。 しかし――貧しい配達員にしか見えない夫は、一体何者なのか。復讐の幕が上がる時、すべての力関係が覆り始める。夫婦4.2万字5 2205 -
完結第19話
青い痣と一冊の手帳
元公認会計士の専業主婦・東山美咲は、モラハラを繰り返す夫・雪人と身勝手な姑・行江に家政婦のように酷使される日々を送っていた。高校生の息子・和雪も反抗期で心を閉ざし、孤立無援のまま耐え忍ぶ美咲。そんなある早朝、激痛に襲われ倒れ伏す美咲を見下ろし、夫は「演技だろ、仕事の邪魔をするな」と冷酷に吐き捨てる。だが、救急隊員が目にしたのは、病気による苦悶だけではなかった。露わになった無数の傷痕に、現場は一変する。一方、冷淡だったはずの息子がポケットに隠し持っていたのは、ボイスレコーダーと、父の暴行を克明に記録し続けた一冊のメモ帳だった――。裡の顔|真相2.9万字5 983 -
完結第27話
義母の古希に愛人を連れてきた夫と5000万円の借金
「俺の新しい嫁だ。お前みたいな子供も産めない女は用済みだ」――義母トシコの古希祝いの席で、夫タカシは妊娠した愛人ユリを連れ込み、私・カナに離婚届を突きつけた。結婚5年、子供に恵まれない自分を責め、不妊治療にも耐え続けてきた私を、親戚の前で“石女”と嘲笑う二人。だが、ずっと沈黙していた義母だけは冷静だった。「その女を妊娠させることなど、絶対にあり得ません」――彼女の一言を境に、タカシが隠していた5000万円の借金、会社資金の横領、そして私名義の連帯保証まで次々と露見していく。しかも、ただの茶道の師匠だと思われていた義母にも、誰も知らない顔があった。見下され続けた嫁と、息子を誰より知る母。古希祝いの宴席はやがて、夫と愛人が自ら積み上げた嘘を暴かれる逃げ場のない“法廷”へと変わっていく――。嫁姑4.0万字5 2189 -
完結第22話
妻の避妊薬
結婚して二年、待望の子供が一向に授からないことに悩む夫・ひろし。自分に原因があるのではないかと案じ、病院での検査を提案するが、妻は「自然に任せたい」と頑なに拒絶する。 そんなある日、ひろしは街中で見知らぬ男と親密に寄り添う妻の姿を目撃してしまう。耳に入ってきたのは、「ピルで避妊してるから子供なんてできるわけない」「夫は本当にバカ」という残酷な嘲笑だった。 愛する妻の正体は、自分を欺き、逢瀬に溺れる裏切り者だったのだ。激しい怒りを押し殺し、ひろしは水面下で興信所に調査を依頼。自宅では「優しい夫」の仮面を被り続けながら、着実に証拠を固めていく。 やがて突きつけられる分厚い調査報告書と、床に叩きつけられた避妊薬のシート。家庭を弄び、夫を侮辱し続けた妻と相手の男に、逃げ場のない冷徹な社会的制裁の鉄槌が下されようとしていた――。夫婦|不倫3.4万字5 997 -
完結第11話
200万円のハワイ旅行と偽装妊娠の不倫相手
「今、空港なんだけど、家族旅行の代金を振り込みなさいよ!」――離婚からわずか1週間、元義母・静から届いた要求に、私・さやかは耳を疑った。元夫・浩司は職場の部下・ゆいと不倫し、彼女の妊娠を理由に私を捨てたばかり。それでも静は、私が用意していた200万円超のハワイ旅行を当然のように使えると思い込み、「子供も産めない石女は金を出すしか価値がない」と罵る。だが彼らが空港で家族カードを差し出した瞬間、決済は拒否。さらに浩司の会社の人事部長と大口取引先の豪田社長まで現れる。実は私は離婚前、浩司が下請けと結託して架空請求を行い、会社の金を裏口座へ流していた証拠を掴んでいたのだ。追い詰められた浩司は、今度は「横領はさやかが仕組んだ」と私を犯罪者に仕立てようとする。だがその場で、彼らが15年間知らなかった私の本当の立場と、逃げ道を塞ぐ決定的な記録が明かされ始める――。嫁姑1.7万字5 7860 -
完結第12話
「和裁しかできない」嫁と20億円の着物
「必死で介護して、最後には着物1枚だけ?かわいそうに」――和裁職人の佐藤雪は、末期癌の姑・和枝を毎日看病し続けた一方、弟嫁の恵子と彩子から「和裁しかできない人」と陰で嘲笑されていた。和枝の財産が福祉団体へ寄付されると知ると、弟夫婦たちは見舞いにも来なくなり、葬儀の後まで「何も残らなかった」と雪を笑う。そんな雪に和枝が最期に託したのは、若草色の着物ただ一枚。「あなたは私の本当の娘」と告げられたその言葉だけを胸に、雪は工房を守り続ける。ところが3年後、孫の結婚式にその着物を着ようと襟を確かめた瞬間、見事に縫い込まれた隠しポケットから古い封筒が落ちる。中に眠っていたのは、現在の価値で約20億円に達する大量の株券――金だけを見て姑を見捨てた者たちは、和枝が最後に誰を“本当の家族”として選んだのか、まだ知らない――。嫁姑1.8万字5 1625