「涼しくなったら長野へツーリング行こう」モスバーガーで微笑む夫に、私は静かに告げた。「紗理奈さんとどうぞ。七万円のメット、買ったんでしょ?」 二十二年間、夫の裏切りを耐えてきた真奈美。だがガレージで見つけた白いヘルメットを機に、息子の学費預金が解約され、愛人に毎月五万円が送金されていた決定的な証拠が次々と浮上する。 だが真の反撃の切り札は、十九歳の息子が無言で母へ手渡した『ある署名済みの書類』だった――。 凍りつく車内、前を向いたまま震える夫に、真奈美は静かに言い放つ。 「離婚しましょう。いいえ……離婚したいです」