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5kmで3万円、客は元タクシー運転手だった

5kmで3万円、客は元タクシー運転手だった

笠井 由紀 完結 38

夫の月命日、64歳の笠原は雨の中タクシーで霊園へ向かった。ところが運転手・蛭田はメーターを使わず遠回りし、わずか5kmほどの道のりで「3万円」と法外な料金を要求する。 「年寄りは何も分からない」と見下されながらも、笠原は逆らわず3万円を支払った。しかし彼女は40年間ハンドルを握ってきた元プロドライバー。車内ではすでに録音を開始し、車のナンバー、運転者証、時刻、走行経路まで全て記録していた。 さらに業界関係者へ相談すると、その会社には以前から高齢者へのぼったくり被害が複数寄せられていたことが判明する。 会社側まで「年寄りの記憶違い」と揉み消そうとする中、笠原は録音とドライブレコーダーという逃れられない証拠を手に、長年守ってきた運転手の誇りを懸けて静かに立ち上がる――。

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