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完結第16話
もう来るな
「夜6時を過ぎたら案内するな」――店長の忠告を破り、江口は夜8時の内見を引き受けた。塗り直しても浮かぶ血文字、消してもつく照明、夢に現れる赤い服の男。そして、初めて来たはずなのに、家の中を妙に知っている女性客。「もう来るな」と追い払われながら、江口は、この家がいつまでも売れない本当の理由に近づいていく。日常ホラー1.3万字5 41 -
完結第19話
歩けるようになった夫が、最初に捨てたのは私だった
下半身麻痺の夫を支え、仕事を辞めて介護に捧げた三年間。自力歩行を取り戻した夫を祝う夜、差し出されたのは単身用アパートの契約書だった。「お前の顔が拷問なんだ」と吐き捨てる夫。さらに病院には、夫が独断で提出した「配偶者関与の除外申請書」まで存在していた。献身という名の呪縛に気づいた妻は、崩壊した日常の中で、自分自身の足で立ち上がる選択を迫られる。夫婦|介護2.8万字5 4095 -
完結第19話
5年ぶりに帰宅した夫と、もう父親を必要としない家族
5年の単身赴任を終えて帰宅した夫が、夕食の席で突然「来月名古屋へ引っ越す」と告げた。高3の娘の大学受験も、私が努力して掴んだ副店長の席も「暇つぶし」と切り捨てる夫は、すでに会社へ家族帯同を確約していた。だが、父の不在中に自立した生活を築いてきた妻と娘は、もはや昔の従順な家族ではない。男の見栄のために日常を解体されようとした時、妻はある書類を手に立ち向かう。夫婦|親子関係2.8万字5 5541 -
完結第18話
「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族
義妹の出産日、義母に命じられ迎えに行った五歳の甥。電車の中で「ママに捨てられたの?」と泣き出す甥に驚き帰宅すると、私の大切な部屋には勝手に子どもの布団が敷かれ、夫の字で偽造された長期養育の書類が置かれていた。「子どもがいないんだから」と押し付ける義家族の身勝手さに、私は世話の引き受けを一切拒否。すると、甥が保育園で描いた一枚の異様な絵をきっかけに、家族の歪みが暴かれ始める。嫁姑|夫婦2.7万字5 427 -
完結第14話
息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」
四歳から十六年間、無我夢中で育ててきた息子の成人式。全額前払いした写真館で、夫は私を枠外へ追いやった。「この人は実母じゃないから」。現れたのは十六年前に姿を消した元妻だった。物分かりのいい母親を演じることをやめ、夫への家事を一切放棄した私。凍りついた家の中で、息子の部屋の奥から夫の隠していた「ある筆跡」が見つかり――。裡切られた|親子関係2.1万字5 204 -
完結第15話
清掃員の母を消した息子の結婚式
二十年間、病院清掃のパートで息子を育て上げた。だが息子の結婚式直前、「式で仕事のことは周りに言わないでくれ」と釘を刺される。納得のいかないまま迎えた翌朝、息子の婚約者から「本当に式を欠席されるんですか?」と一本の電話が入る。急ぎ式場サロンへ向かった私の目に飛び込んできたのは、赤ペンで無残に消された新郎母の席次表と、隠されていた息子の嘘だった。親不孝|親子関係2.2万字5 1583 -
完結第16話
少女を救った川の底に、私の元妻がいる
川で溺れていた少女を救った高瀬直人。だが、救助隊に川底を捜されるわけにはいかなかった。そこには、行方不明になった元妻がいる。やがて彼を訪ねてきた女性警察官は、10年前、直人が同じ川で救った少女だった。家に残された車椅子と呼吸器。そして、元妻が「今は見ないで」と託した記録。直人は何を隠し、誰との約束を守ろうとしているのか。日常ホラー2.1万字5 261 -
完結第15話
19歳で相続した呪われた屋敷
父を亡くし、天涯孤独となった19歳のしずが相続したのは、村人から「呪われた隠れ屋敷」と恐れられる山奥の古い家だった。莫大な借金まで背負う土地を手放さず、たった1人で暮らし始めた彼女は、囲炉裏のそばで不自然に響く3枚の床板を見つける。 床下の石段の先に隠されていたのは、色褪せたショール、壊れた懐中時計、子供の靴、そして父が残した手紙。そこには、過去に4人の旅人が命を奪われ、最木家が長年その秘密を背負わされてきた事実が記されていた。 さらに帳簿と古文書を辿るうち、事件の陰に村を支配してきた黒崎家の存在が浮かび上がる。 夜には灯油まで持ち込まれ、屋敷ごと証拠を消そうとする者まで現れる。それでもしずは逃げなかった。「明日、床板を全て剥がす」――父と一族の汚名を晴らすため、彼女は村全体を巻き込む告発を決意する。相続|金銭問題2.2万字5 141 -
完結第11話
愛人の妊娠と封印されたカルテ
「新しい命を授かった。子供を産めない君は出て行け」 目の前には一枚の離婚届。二十五年もの間、家事と介護に身を捧げてきた恵子は、若い愛人の妊娠に歓喜する義母と夫から、不用品として切り捨てられた。「石女」と罵られ、身一つで追い出された恵子だったが、取り乱すことなく静かに判を押す。なぜなら彼女の手元には、十五年前に夫自身が闇に葬った大学病院の「ある診断書」が眠っていたからだ。 数週間後、勝ち誇って愛人の妊婦健診に付き添った夫。だが、診察室で医師が冷淡に告げた胎児の推定週数に、夫の顔から血の気が引いていく――。 「……先生、どうしてその計算になるんですか?」夫婦|真相1.6万字5 1448 -
完結第12話
昨日の私を着る女
事務職の理沙は、中途入社の同僚・真由が常に「前日の自分の服装」を寸分違わず再現して出勤してくることに気づく。偶然を装う彼女の執着を試すべく、学生時代の古いデニムを着た翌朝、真由は酷似した色落ちの上着で現れた。そして彼女の鞄には、理沙が社内で誰にも見せていないはずの鍵のキーホルダーが揺れていた。自分の輪郭が他人に侵食されていく底知れぬ戦慄と、オフィスで静かに狂い始める日常の記録。日常ホラー1.7万字5 137 -
完結第14話
「ここは新妻の家」と笑う義母へ突きつけた、青い契約書
卵巣腫瘍の手術当日、夫は緊急出張と偽り、義家族と臨月の愛人を連れてハワイへ飛び立った。「新妻のために家を空けろ」と宣告され、退院した部屋で待っていたのは、私の部屋着を着た愛人と義母。だが、男が「自分の城」と自慢していたその部屋の正体を突きつけた瞬間、愛人は震え出し、義母の目論みは音を立てて崩れ去る。15年間の献身を土足で踏みにじった夫に下される、冷徹な現実の鉄槌。夫婦|不倫2.1万字5 789 -
完結第18話
「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔
「妹の新婚旅行代50万を出せ」と義母にカードを奪われ、夫も「家族の祝いだ」と放置した。経理として働く私は翌朝即座にカードを停止。3日後、羽田空港から義妹の悲痛な悲鳴が入る。旅行代は未払いで全キャンセル、しかも妹夫婦はすでに夫へ祝儀40万円を手渡していたという。私から金を奪おうとした夫の、消えた40万と隠された二重生活の清算が始まる。ATM扱い|金銭問題2.7万字5 1009 -
完結第19話
「中絶して逃げた」元妻が連れていた、七歳の双子
「妻は中絶して消えた」という母の言葉を信じて七年。病院の小児科で再会した元妻の傍らには、私に瓜二つの七歳の双子がいた。狼狽した母が放った「街を出ろと言ったはずよ」の一言から、隠蔽されていた手紙と妻の孤独な出産が露わになる。償いを求め認知と養育費を申し出る私に、元妻は冷たく告げた。「私たちの人生に、今さら土足で入ってこないで」と。親子関係|修羅場2.9万字5 474 -
完結第15話
リフォーム代二百万を払った実家に、他人が住んでいた
父の四十九日を終えた直後、兄は「長男が実家を継ぐ」と一方的に宣言し、妻の母を同居させるための全面リフォームを勝手に計画した。母の明確な拒絶すら「ボケた年寄りの戯言」と無視し、二百万円もの準備金を工務店へ支払った兄。だが盂蘭盆の日、得意顔で実家を訪れた兄を待っていたのは、回らない合鍵と、見知らぬ男性の表札だった。相続|親不孝2.2万字5 253 -
完結第11話
結婚記念日に渡された電車の片道切符
結婚15周年の記念日、羽田空港で夫から電車の切符を渡され「一人で帰れ」と置き去りにされた。夫は若い部下と搭乗口へ消えていく。自宅で調べたカード明細には女との豪遊の記録、そして旅行自体が最初から女のために予約されていた事実が残されていた。私の口座を財布にしていた夫へ、私は家族カードの利用停止を申し込む。3日後の深夜、旅先の夫から17回目の着信が入った。嫁姑|ATM扱い|不倫1.6万字5 291 -
完結第15話
意識のない母の家を売る夫、その時病室のベルが鳴った
脳出血で倒れた母の病室前で、義母と夫が「意識のないうちにあの家を早く売ろう」と話し合っていた。その直後、病室のナースコールが鳴り響く。目を覚ました母は、夫たちを前に「私の家は絶対に売らない」と言い切った。だが、夫は安堵するどころか青ざめて立ち尽くす。そこへ現れた見知らぬ男が、夫の前に一枚の領収証を叩きつけた。「手付金の500万円、契約できないなら全額返してもらいましょう」嫁姑|夫婦2.2万字5 485 -
完結第15話
妹に7年分の髪を切られ、婚約者は200円を賭けた
中秋節の夜、林知は妹・妙妙に、7年間大切に伸ばしてきた髪を突然根元から切り落とされた。ところが両親は妹を庇い、婚約者・修辞まで「何分で泣くか」を妙妙と賭けて笑っていた。 さらに修辞は、林知が最も嫌がることを自ら妹に教え、過去の悪質な悪戯にも関わっていたと判明する。 長年「家族だから」「7年付き合った恋人だから」と耐え続けてきた林知だったが、その夜、給料2倍の広州支社責任者への異動を承諾し、年末の婚約式も密かにキャンセル。 家族が次の“ドッキリ”を準備して帰宅を待つ頃、彼女はすでに広州行きの列車へ乗っていた。 そして妹が投稿した嘲笑動画は10万再生を超え、今度は家族自身へ批判が殺到し始める――。兄弟姉妹|修羅場|不倫2.3万字5 1082 -
完結第20話
義母の葬儀で消えた妻と百八十万
「忘れ物したから帰るわよ」義母の葬儀の最中、妻は親族の冷視を浴びながら俺を無理やり連れ出した。 母の介護を押し付け、月五万円の出金を繰り返し、精進落としの席で遺産を貪ろうとする商社マンの義兄夫婦。彼らの見下しに耐え忍んできた妻と、十年前のある挫折で公認会計士の資格を封印したしがない経理マンの俺。 だが自宅の仏壇の奥、真鍮の古鍵で開いた金庫には、亡き義母が遺した録音テープと三十六ヶ月分の通帳、そして極秘の遺言書が眠っていた。 翌朝、胸ポケットのレコーダーを起動し、俺は追い詰められた義兄を見据える。 「正人さん、そろそろ数字の話をしましょうか」夫婦|真相2.9万字5 469 -
完結第14話
断髪の夜に消えた七年目の花嫁
切りすぎちゃった!」妹が掲げた裁ちバサミの下、七年伸ばした私の黒髪が無惨に床へ散らばった。母は「美容院代が浮いた」と笑い、婚約者の修平はスマホを見つめ「俺の負けだ、美結ちゃんは一分で泣くに賭けてたのに」と二百円を送金した。 家族の娯楽として尊厳を切り売りされる日々。だが彼らは知らなかった。私が今夜十二時を期限に関西支社への栄転を受け入れ、年末の婚約式を違約金ごと解約したことを。 翌朝、緑のスプレー缶を構えて嘲笑う家族の前から私は完全に姿を消す。残された生活ノートの秘密と、炎上する動画が彼らを破滅へ導くとも知らずに。 「ねえ修平、私がいつまでも許すと本当に思ってた?夫婦|行方不明2.1万字5 393 -
完結第12話
あの道は、学校へ続いていなかった
父の施設入所に伴い実家の整理に帰郷した三十九歳の貴志は、六年間通った通学路の解体現場で、そこが昔から学校へ抜けていない私有地だと告げられる。困惑する貴志に対し、父は青ざめた顔で毎朝七時四十分という通過時刻と二階の窓にいた女の記憶を問い詰める。三十年前の冷え切った朝、閉ざされた窓ガラスの向こうから少年に掲げられていた手書きの白い紙と、毎朝何者かによって開け放たれていた錆びた潜り戸の沈黙。日常ホラー1.8万字5 113