"白いメットと二十二年の嘘" 第4話
浩之は湯呑みにを伸ばそうとせず、腕組みをしてを乗りした。
「お、変な探偵でも雇ったのか? それとも誰かから根も葉もない噂を聞いたのか? 紗理奈ってのは、俺のツーリングクラブの輩だよ。入ってきたばかりの歳の女の子だ。
確かにこの、野にクラブのメンバー何かでったに緒だったけど、それだけだぞ。やましいことなんて何つない」
真奈美は自分の湯呑みにをつけ、い茶を喉へと流し込んだ。よい渋みが広がる。
「そう。クラブのメンバーでったのね」
「ああ、そうだよ! 男、女だ。ヘルメットの話だってそうだ。あいつ、バイク買ったばかりでがないって言ってたから、俺が余ってたポイント使ってネットで代理購入してやっただけだ。
代だってちゃんと全額貰ってる。それがどうして浮気配偶者みたいに言われなきゃならないんだよ」
ペラペラと滑らかに言葉がてくる。浩之の悪い癖だ。嘘をつくほど、細部のディテールを無駄に盛り込み、雄弁になる。
「ヘルメット、Sサイズだったわね」
真奈美が静かに呟いた。
浩之のがピタリと止まった。
「ショウエイのZ-8。グラフィックモデルの『プロローグ』。定価で万円くするパールホワイトのヘルメット。
女性用のSサイズ。ガレージの奥、古いスタッドレスタイヤの裏に隠してあったダンボール箱、先の初めに見つけたわ」
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「そ、それは……」
「納品も入ってたわよ。宛名はあなたの名で、お届け先はこの。決済はあなたの楽カード。ポイントなんて円も使ってなかった。全額、括払い」
「あいつに頼まれて……カードのポイントを俺が貯めたかったから……」
「それから、週の連休。あなた、『名古の支に応援でく』って言って、曜の夜からかけたわよね」
真奈美はバッグからクリアファイルを取りし、テーブルのに置いた。
透なシート越しに見えるのは、カラー印刷された数枚の写真と、領収のコピーだった。
「あなたのツアラーのETC履歴。曜の夜に央の王子インターを入って、りたのは諏訪インター。
名古どころか、完全に野県内ね。曜の午はビーナスラインを抜けて、美ヶ原原。そしてそのの夜、蓼科にある泊万円の温泉ロッジ『ヒュッテ・クラルテ』にチェックイン」
浩之の顔から、再び血の気が失せていく。
「な、なんでそれを……」
「ロッジの予約サイトのアカウント、私と共通で使ってるタブレットにログインしたままだったのよ。予約完のメールがポップアップでてきたわ。『名、ツインルーム、信州牛ステーキプラン』。予約者の名はあなた。同伴者の欄には『鈴紗理奈』様。話番号もご丁寧にいてあったわ」
浩之は両で顔を覆った。
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指の隙から、荒い呼吸が漏れる。
「それだけじゃないわ」
真奈美はファイルをめくり、枚の写真を取りした。
そこには、葉が始まった樺の駐で、型ツアラーの横につ男女が写っていた。
浩之は満面の笑みで、柄な若い女性の肩を抱き寄せている。女性は品のパールホワイトのヘルメットを脇に抱え、浩之の胸に甘えるように寄り添っていた。
の薬指には、お揃いのシルバーのリングが嵌められていた。
「探偵を雇ったのか……? お、俺を尾させたのか……!?」
浩之の声に、微かなりが混じり始めた。追い詰められた特の、防のための攻撃性だ。
「雇ったわよ。あなたの料から毎貯めていた『族の予備費』から、万円使わせてもらったわ」
「ふざけるな! のを勝にそんなことに使いやがって! プライバシーの侵害だぞ! 盗撮じゃないか!」
「の?」
真奈美の眉がわずかにいた。声の温度が、氷点へと急する。
「、私が事と育児をに引き受けて、パートにて計を支えてきた労力は、すべてあなたののに消えていたってこと? 私にはその『族の』を使う権利すらないって言うの?」
「そ、それは……言葉のあやだろ! だいたい、たった度の過ちじゃないか! ちょっと魔が差して、旅に誘ったらついてきたから調子に乗っただけだ! 体の関係なんて……」