みかん小説
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"三度目の金色の玉" 第8話

それまで使っていた自転が古くなっていたこと。

「それで、あげたのか」

「はい」

森田はしばらく何も言わなかった。

「せっかく千代さんにとって用したのに」

困ったように笑う。

千代も笑った。

「だから今は、私が次のに渡しました」

その言葉を聞いた森田は、カウンターへ線を落とした。

自分たちは、千代がを受け取らないから、福引という形を考えた。

だが千代は、ただ受け取ったのではなかった。

受け取ることで、渡す側の気持ちも守った。

そのうえで、自分の暮らしに必でないものは、別の誰かへ渡した。

「来は本当にやめろって?」

「はい」

等がテレビでも?」

「だめです」

蔵庫でも?」

「だめです」

森田は笑った。

千代もつられて笑った。

を置いて、千代が言った。

「主だったら、たぶん同じことをしたといます」

森田の笑顔が止まった。

写真のの信夫がに浮かんだ。

事のへ入ったも、あの男は自分が英雄になるなどとは考えていなかった。

困っているがいた。

だからいた。

ただそれだけだった。

信夫がきていて、この自転の話を聞いたらどうしただろう。

おそらく千代が言う通りだった。

「そうだな」

森田は静かに答えた。

「信夫なら、そうしたかもしれんな」

千代はカウンターの福引券を指で軽く押した。

「これは返します」

「1回くらい普通に引いていけよ」

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「普通にですか?」

「ああ。今度こそ本当に普通に」

千代はし考えたあと、首を横に振った。

「今はいいです」

「どうして」

「運は3分使いましたから」

森田が吹きした。

千代はげ、ようとした。

度振り返った。

「会さん」

「うん?」

「ありがとうございました」

森田は答えようとした。

だが千代はそのままていった。

残された森田は、カウンターのに置かれた1枚の福引券をしばらく見つめていた。

俊夫が福引の秘密をすべてったのは、そのだった。

森田は寄りいで、隠していたことを話した。

信夫の事。

千代が援助を切受け取らなかったこと。

福引なら本の誇りを傷つけずに渡せると考えたこと。

そして千代が2目には、すでに仕掛けへ気づいていたこと。

俊夫は黙って聞いた。

最初に森田を問い詰めた、自分は正義からいているつもりだった。

舗がを負担している福引を、会が勝に操作している。

それを止めるのは当然だとった。

その考えそのものが違っていたとは、今でもわない。

しかし自分は、千代のことを疑っていた。

3続けて等を引く女。

何か会と話をつけているのではないか。

特別扱いされていることをりながら、黙って景品を受け取っているのではないか。

そんな目で見ていた。

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数週、福引所での玉が落ちたに聞こえた声をした。

「あの、また?」

「さすがにおかしくない?」

自分も、さないだけで同じことをっていた。

だが千代は、からすべてっていた。

それでもストーブを受け取った。

息子が受験を控え、古いストーブが故障寸だったからだ。

初めてを受け入れた。

そして3目。

自転を受け取った千代は、それを自分より必としているへ渡した。

俊夫は、聞配達の品の自転る姿をした。

あのは、福引の仕掛けなどらない。

千代のき夫のことも、おそらく詳しくはらない。

ただ「福引で当たったから使いなさい」と言われ、自転を受け取った。

それだけだった。

森田たちが信夫から受け取ったものが、千代へ渡った。

千代が受け取ったものが、さらにへ渡った。

誰も「恩返し」といたを添えてはいなかった。

誰も返してもらおうとはしていない。

俊夫は寄りいが終わったも、1で残っていた。

壁には例の古い写真が掛け直されている。

若い父親の姿もあった。

その隣に、信夫がいる。

俊夫は子どもの頃、この写真を何度も見ていた。

だが、そこに写る同士がどのようにつながっていたのかなど考えたこともなかった。

まれ育った俊夫にとって、はただだった。

は野菜を売る。

は魚を売る。

は肉を売る。

乾物は昆布や鰹節を売る。

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