息子の結婚式の日、新郎の両親であるはずの東道夫婦には、なぜか席が用意されていなかった。 受付で立ち尽くす二人に向けられたのは、花嫁側の家族からの冷たい視線と、「場違いだから帰ってほしい」という言葉。さらに息子までもが、地方で暮らす両親を恥ずかしい存在として扱い、晴れの日の会場から追い出そうとする。 けれど、夫婦は怒鳴らなかった。 ただ静かにロビーへ退き、一本の電話をかける。 その直後、華やかだった披露宴会場は一変する。 見下していた“地方の両親”の正体。誰が本当の費用を支払っていたのか。そして、この式場の本当の持ち主は誰なのか。 息子が捨てようとしたものの重さを知った時、完璧なはずの結婚式は、静かに崩れ始める――。