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完結第14話
三輪山に消えた家族
1992年、奈良県桜井市で、一家4人が忽然と姿を消した。 食卓には湯呑みが残され、台所には切りかけのネギ。争った跡もなく、外部から侵入した形跡もない。村人たちは、その不可解な失踪を「三輪山の神隠し」と呼び、やがて誰も真相を語らなくなった。 それから25年後。 解体前の古い家を訪れた遠縁の裕二は、物置の奥から1つの桐箱を見つける。中に入っていたのは、色褪せた家族写真と、母・千代子が残した謎めいた手紙だった。 「巳の日に、あの場所へ」 「柿の葉に、真実を包む」 意味不明な言葉、写真の端に映り込んだ黒い影、口を閉ざす村人たち。 神隠しと呼ばれた一家失踪の裏には、誰にも語れなかった母の覚悟と、25年間守られ続けた秘密が隠されていた――。ミステリー|行方不明2.1萬字5 1215 -
完結第13話
マカオに消えた花嫁
2010年4月、マカオへ新婚旅行に訪れた日本人夫婦・田中浩司と山田愛子は、ホテルに荷物を残したまま忽然と姿を消した。 最後に確認されたのは、観光地の監視カメラに映った2人の姿。部屋に争った形跡はなく、財布も荷物もそのまま。誘拐か、事故か、それとも自ら消えたのか――事件は真相不明のまま、12年という歳月に埋もれていった。 しかし2022年、1人の女子大生がSNSで見つけた写真が、凍りついた時間を動かす。 マカオの街で中国人女性と寄り添う中年男性。その顔は、12年前に失踪したはずの夫・田中浩司に酷似していた。 では、彼と一緒に消えた妻・愛子はどこへ行ったのか。 幸せな新婚旅行の裏で、あの夜、本当は何が起きていたのか。 SNSに映った“夫の顔”が、12年間隠されてきた衝撃の真実を暴き出す。ミステリー|真実|行方不明2.0萬字5 538 -
完結第4話
社員旅行中に自分だけ置き去り… その後、社員 26 名全員死亡
社員旅行の SA でパワハラ上司たちに置き去りにされた俺。 その 3 時間後、乗っていたバスは崖から転落し、乗員 26 人全員死亡。 だが俺が降りたはずで、事故時は 25 人のはずだった。 最後に残された身元不明の死者は、俺の歯形と一致していた。遺體発見|行方不明6.2千字5 3661 -
完結第8話
消えた女性巡査
2003年春、群馬県の伊香保温泉街で、24歳の女性巡査・田中美咲が勤務中に忽然と姿を消した。 最後の無線は「これより署に戻ります」という、ごく普通の報告だった。だがその後、美咲は警察署へ戻ることなく、携帯もつながらず、温泉街から完全に姿を消してしまう。 家族、同僚、地域の人々が必死に捜索を続けたが、手がかりは見つからない。観光客で賑わう石段街、防犯カメラの少ない時代、廃業した旅館、そして誰にも気づかれなかった空白の時間――。 事件は未解決のまま、16年の歳月が流れた。 しかし2019年、古い防犯映像の再解析によって、美咲が最後に向かった可能性のある場所が浮かび上がる。 それは、温泉街の奥にひっそりと残された廃旅館「松風荘」だった。 朽ちた建物の地下室で見つかったのは、錆びついた手錠と小さな鍵。そして壁に刻まれていた、ある名前。 16年間、湯けむりの中に隠されていた真実が、ようやく動き出す。ミステリー|行方不明1.2萬字5 4687 -
完結第6話
春雨に消えた妻
1992年春、港北ニュータウンに暮らす42歳の主婦・鈴木順子は、高校卒業20周年の同窓会へ出かけた。 家事と義母の世話に追われる毎日の中で、久しぶりに見せた明るい笑顔。夫の高幸は、そんな妻を玄関で見送った。だがそれが、彼が見た最後の姿となる。 同窓会の夜、順子は店を出たあと忽然と姿を消した。通帳も衣類も家に残されたまま。家出の準備など何ひとつなかったにもかかわらず、警察は早々に「自ら姿を消した可能性」として処理してしまう。 それから31年。 妻を待ち続けた高幸の時間は、あの日の春で止まったままだった。一方で、同窓会に出席していた同級生・高橋健二は、事業を広げ、家庭を持ち、何事もなかったかのように人生を進めていた。 しかし2023年秋、古い住宅の取り壊し工事中、庭の祠の下から女性の遺骨が発見される。 31年間、土の中に隠されていた真実。 妻の髪を大切に残し続けた夫の執念が、ついに“友人の顔をした男”の醜い罪を暴き出す――。ミステリー|行方不明9.0千字5 2092 -
完結第7話
樹海の白いマスク
2007年夏、東京の病院で働く看護師・月島有沙は、心身を休めるため、1人で青木ヶ原周辺の森へ向かった。 登山届を出し、装備も整え、数日後には戻るはずだった有沙。しかし、予定日を過ぎても彼女は帰らなかった。警察と捜索隊が森を捜しても、足取りは途絶え、手がかりは何も見つからない。 そして失踪から10日後。 有沙は登山道から大きく外れた森の奥で、一本の木に縛りつけられた状態で発見される。奇跡的に息はあったが、彼女が意識を失う直前に残した言葉は、ただ一つ。 「マスク」 森の中で有沙に何が起きたのか。 彼女が語ったのは、白い歪んだマスクをつけた男、誰にも見つからない洞窟、そして10日間の恐怖だった。 だが、犯人の正体も、洞窟の場所も、最後まで分からなかった。 美しいはずの森に隠されていた、人間の最も暗い恐怖を描く未解決の物語。ミステリー|行方不明1.0萬字5 1137 -
完結第7話
母は沖縄へ消えた
65歳の桜井久子は、夫に先立たれてから、息子夫婦と孫のために人生を捧げてきた。 大学費用、結婚資金、マイホームの頭金、毎月の生活援助。元銀行員として働き続けて貯めたお金も、時間も、すべて息子家族の幸せのために使ってきた。 ところがある朝、息子・拓也は冷たい声で告げる。 「義両親と同居することになったから、母さんには出て行ってほしい」 しかも、久子を追い出した後も、毎月の援助だけは続けてほしいと言う息子夫婦。嫁の両親を迎えるため、久子の部屋まで勝手に決められていた。 その瞬間、久子の中で何かが静かに切れる。 38年間の銀行員生活で培った知識と人脈を使い、彼女は誰にも気づかれないまま準備を始めた。口座の解約、保険の受取人変更、重要書類の移動、そして新しい住まいの契約。 引っ越し当日、息子夫婦が最後に求めたのは、やはり金だった。 しかし久子が差し出した一枚の書類を見た瞬間、2人の顔色は一変する。 母を追い出せば、都合よく支配できると思っていた息子夫婦。 だが1週間後、沖縄の青い海を背景に現れた久子の姿を見て、彼らはようやく自分たちが何を失ったのかを知る――。行方不明1.0萬字5 605 -
完結第4話
リンゴ畑の骨
1987年、青森県津軽地方のりんご農園で、若い嫁・高橋じ子が突然姿を消した。 荷物も持たず、実家にも戻らず、まるで最初から存在しなかったかのように消えた彼女。村人たちは「嫁いびりに耐えられず逃げたのだろう」と噂し、警察も家出として処理しようとする。 しかし、兄の哲也だけは妹の失踪を信じなかった。 失踪前、じ子から届いていた一通の手紙。そこには「最近とても辛いの。もっと恐ろしいことが起きた時に必ず話すね」と書かれていた。 やがて捜査が進むにつれ、村人たちがひた隠しにする一人の男の存在が浮かび上がる。 村の区長・渡辺茂夫。 表向きは頼れる長老。だが、彼の名前が出た瞬間、村人たちは一斉に口を閉ざした。 そして12年後、りんご畑の土の下から見つかった人骨と、小さな金のイヤリング。 残された日記、消えた証拠、夜中に畑で揺れていた小さな光。 長く沈黙していた村の闇が、赤く実るりんごの木の下から、ついに掘り起こされる――。行方不明6.4千字5 578 -
完結第17話
壁の中の妻
2006年、長野県松本市で主婦・田中洋子が忽然と姿を消した。 最後に確認されたのは、夫との夜9時の電話。財布も荷物も家に残され、外へ出た形跡もない。夫の健一は東京勤務を辞め、妻がいつか帰ってくると信じて、10年間その家で待ち続けた。 しかし2016年、家のリフォーム工事中、作業員がリビングの壁に奇妙な違和感を覚える。 他の壁よりも厚い、二重構造の壁。 壊されたその奥から出てきたのは、白骨化した人骨と、古びた財布だった。 遺骨の身元は、10年前に失踪した洋子本人。つまり彼女は、夫が毎日座っていたリビングのすぐそばで、ずっと眠っていたことになる。 誰が、なぜ、彼女を壁の中に隠したのか。 捜査線上に浮かんだのは、夫を10年間支え続けた“親切な友人”だった。 妻を探し続けた夫。 善人の仮面をかぶった男。 そして、死の直前に残された一冊の日記。 10年もの間、壁の向こうに封じられていた真実が、ついに崩れ落ちる――。行方不明2.6萬字5 555 -
完結第6話
十七年目の「ただいま」
1974年12月、雪に覆われた金沢で、11歳の少女・水島静香が学校帰りに姿を消した。 川の近くで見つかったのは、泥に濡れた通学カバンだけ。 そこには、母へ向けて書きかけた一文が残されていた。 「お母さん、今日、私、お母さんに一つ言うことがあるの」 三週間後、川岸で少女と似た小さな遺体が発見される。 周囲は静香だと決めつけたが、母・柿江だけは首を横に振った。 「この子は、うちの静香ではありません」 しかし誰も母の言葉を信じなかった。 夫にも町にも「現実を受け入れられない母」と見なされ、柿江はやがて家を追われるように孤独な年月を過ごすことになる。 それでも彼女は、毎年娘へ手紙を書き続けた。 静香はきっと生きている。 その確信だけを胸に抱いて。 そして17年後、柿江のもとへ一通の手紙が届く。 そこに書かれていたのは、誰よりも忘れられなかった娘の文字だった。 「お母さん。私は幽霊じゃないよ」 雪の日に止まった母の時間が、沈黙を破るその一文から再び動き出す――。真実|真相|行方不明8.8千字5 415 -
完結第7話
消えた子役の日記帳
昭和60年、京都郊外の人気時代劇撮影所で、7歳の子役・中村翔太が突然姿を消した。 撮影直前、「トイレに行ってくるね」と母の手を離れた翔太。だが数分後、トイレ前に残されていたのは、片方だけの白いズック靴だった。大勢のスタッフや俳優がいる撮影所の中で、子どもは煙のように消えた。 母・道子は息子の名を叫び続けたが、翔太は見つからない。現場では人気監督の黒木が誰よりも熱心に捜索を指揮し、世間からは“子役を思う温かい監督”として称賛された。 しかし、撮影所の片隅では、いくつもの小さな違和感が残されていた。 倉庫の方へ向かう黒木監督の姿。子どもの泣き声を聞いた新人照明係。夜中に土のついた作業着とスコップを隠す監督を見た警備員。 けれど証言は消され、関係者は口を閉ざし、事件は単なる失踪として扱われていく。 それから15年後。 亡き母の遺品整理中に見つかった、翔太の小さな絵日記帳。最後のページには、7歳の子どもが震える手で残した“ある一文”が書かれていた。 その日記帳が、15年間コンクリートの下に埋められていた真実を、ついに世の中へ引きずり出す――。ミステリー|行方不明10.0千字5 4316 -
完結第4話
40人前の逆襲
年末の親族会。 佐々木はるみは、四十人もの親族が見守る前で、息子夫婦から突然「出て行ってくれ」と告げられる。 長年、息子の事業資金、孫の学費、マイホーム購入費まで支えてきたはるみ。だが嫁の真奈美は、偽造された診断書や金銭トラブルの書類を並べ、はるみを“迷惑な母親”に仕立て上げていた。 親族たちの冷たい視線。 息子の非情な言葉。 追い詰められたはるみは、泣き崩れることなく静かに立ち上がる。 「わかりました。では、お望み通りに出て行きます」 誰もが、彼女が全てを失ったと思っていた。 しかし三日後、息子夫婦のもとに弁護士から一通の通知が届く。そこに記されていたのは、家の名義、過去の援助金、そして二人が隠していた嘘をすべて覆す決定的な事実だった。 親族四十人の前で追放された母が、静かに取り戻したものとは――。行方不明6.5千字5 2304 -
完結第5話
崖下で眠っていた三年
1992年、群馬県の山奥にあるペンションで、2組の夫婦が夏休みを過ごしていた。 台風の豪雨が山道を塞ぎ、外界から切り離された夜。 酒を飲み、笑い合い、何事もなく眠ったはずの4人だったが、翌朝、妻・ユミと友人の夫・ケンジだけが姿を消していた。 残された夫・たかしと、ケンジの妻・稽古。 部屋には争った跡もなく、財布や荷物の一部も消えていたことから、警察は2人が不倫関係の末に駆け落ちした可能性を疑う。 世間の噂に傷つきながら、残された2人は“裏切られた被害者”として3年間を過ごした。 しかし1995年、ペンションから4キロ離れた崖の下で、錆びついた車が発見される。 車内には白骨化した2人の遺体。 さらにギアはニュートラル、エンジンは切られ、頭蓋骨には鈍器で殴られた痕跡が残っていた。 逃避行ではなかった。 2人は、あの台風の夜に殺されていた。 豪雨がすべてを隠したペンションで、本当は何が起きていたのか――。遺體発見|行方不明7.9千字5 206 -
完結第7話
奥日光の白い菊
1995年秋、東京の女子大学に通う4人の女子大生が、紅葉を見るため奥日光へ向かった。 中禅寺湖で笑い合い、民宿で一夜を過ごし、翌朝「竜頭ノ滝へ行く」と言って出発した4人。だがその後、彼女たちは誰一人として戻らなかった。 駐車場に残された車。岩の隙間に落ちていた片方のスニーカー。そして使い捨てカメラの最後の写真に写り込んでいた、ぼやけた男の影。 警察は捜索を続けるが、4人の行方も、写真に写った男の正体も分からないまま、事件は迷宮入りしていく。 しかし4年後、渓谷に白い菊を供えた一人の女性が、警察署を訪れる。 彼女は言った。 「私は、あの日失踪した4人のうちの1人です」 紅葉の山で何が起きたのか。 なぜ彼女だけが生き残ったのか。 そして、彼女たちの背後にいた男は何者だったのか。 30年経っても消えない、奥日光の渓谷に残された沈黙の真実。ミステリー|真相|行方不明1.0萬字5 109 -
完結第6話
水亀の下に消えた嫁
1993年春、東京・杉並の古い瓦屋根の家で、東京大学出身の若い嫁・斉藤さゆりが突然姿を消した。 妊娠中だった彼女のコートも財布も靴も、家には残されたまま。夫が出張から戻ると、姑のふみは静かにこう告げた。 「昨日の夜、荷物をまとめて出て行った」 だが、さゆりが家出をする理由はどこにもなかった。実家の母は「娘は絶対に自分から消えたりしない」と訴え、友人の手元には、さゆりが失踪前に残した不穏な手紙があった。 そこに書かれていたのは、妊娠をきっかけに変わっていった姑の態度、赤ん坊への異常な執着、そして「何かあったら」という言葉。 それでも決定的な証拠は見つからず、事件は長い間、失踪として処理されてしまう。 しかし13年後、杉並警察署に差出人不明の手紙が届く。 「古い水亀の下を掘ってみてください」 すでに取り壊された家の跡地。かつて庭だった場所から掘り起こされたものが、13年間隠されてきた家族の嘘を暴き出す。 嫁は本当に家を出たのか。 姑は何を守ろうとしたのか。 そして、匿名の手紙を送った人物は誰だったのか。 春の庭に埋められていたのは、遺骨だけではなかった――。行方不明8.6千字5 54 -
完結第7話
味噌かめの下に眠った七年
1997年、埼玉県川越市の高級住宅街で、不動産資産家の老人・鈴木製造が忽然と姿を消した。 家族は「認知症が悪化し、遠方の介護施設に入った」と説明し、警察も事件性は低いとして失踪処理を行った。 しかし、それから7年後。 川越税務署の職員が、ある不可解な記録に気づく。 失踪宣告を受けたはずの老人名義の固定資産税が、毎年きっちり納付されていたのだ。 しかも支払っていたのは、老人の嫁・両子。 さらに調べると、老人が失踪した後の日付で、不動産の名義変更書類に本人の実印が押されていた。 再捜査に動いた警察がたどり着いたのは、かつて鈴木家の庭に置かれていた不気味な味噌かめ。 その下から掘り起こされたものが、7年間守られてきた嫁の嘘を一瞬で崩していく。 財産、世間体、15年分の恨み。 静かな高級住宅街の塀の内側で、本当は何が起きていたのか――。行方不明|孤獨|第二の人生9.9千字5 191 -
完結第6話
90件の着信とハワイの海
68歳の長沼クミは、息子夫婦に頼まれて始めた同居生活の中で、10年間、家事も育児も支え続けてきた。 孫の世話、食事の支度、掃除、洗濯。感謝されることは少なくなっても、「家族のため」と思い、黙って尽くしてきた。だがある夜、夕食後のリビングで息子夫婦は静かに告げる。 「これまで10年間、お疲れ様でした」 そして、来月末までに家を出てほしいと言い渡された。 息子夫婦は知らなかった。クミがすでに3年前から、自分が邪魔者扱いされていることに気づいていたことを。そして、その日のために密かに準備を進めていたことを。 翌朝、家に現れたのは引っ越し業者。驚く息子夫婦を前に、クミはわずかな荷物だけを運び出し、何も求めず、何も残さず、家を去っていく。 行き先は、誰にも教えなかった。 それから1ヶ月後。 青い海を望むハワイで新しい人生を楽しむクミのスマートフォンに、息子からの着信が鳴り続ける。 その数、90件。 家事も育児も仕事も回らなくなった息子夫婦が、ようやく気づいたものとは何だったのか。 そしてクミが最後に告げた、静かな決別の言葉とは――。行方不明9.4千字5 1327 -
完結第10話
海底の防水バッグ
1988年、鹿児島から屋久島へ向かう旅客船で、24歳の女性乗務員・佐藤エミが突然姿を消した。 当時の警察は、甲板からの転落、あるいは自殺として早々に捜査を終える。けれど、兄の健二だけはその結論を信じなかった。泳ぎが得意で、未来を語っていた妹が、自ら海へ消えるはずがない――そう信じ、彼は22年間、毎年失踪届を出し続けた。 そして2010年。 屋久島沖の海底から、1つの防水バッグが引き上げられる。中に入っていたのは、エミの名札、1988年のカレンダー、そして暗号のような数字が書き込まれた手帳だった。 復元された手帳には、「船長」「客室」、そしてある同僚の名前が残されていた。 消えた女性乗務員。 口を閉ざした元船長。 毎年命日に怯える同僚。 そして、失踪直後に姿を消した幼馴染みの男。 22年間、海の底に沈められていた防水バッグが、旅客船の夜に隠された欲望と裏切りを暴き出す――。行方不明1.5萬字5 5057 -
完結第6話
海が隠した最後の写真
1989年夏、小笠原諸島を訪れた大学生カップル、桜と健太が観光中に忽然と姿を消した。 当時、警察は海難事故として処理し、二人の行方は分からないまま事件は終わったかに見えた。だが十五年後、父島近くの無人島の洞窟で、二人の遺骨と古いフィルムカメラが発見される。 カメラに残されていたのは、幸せそうに笑う二人の写真。そして、失踪直前に撮られた不気味な一枚だった。 健太の日記に記されていた「桜の秘密」。証言を変える漁師。何かを隠している民宿の主人。さらに、桜の口座には失踪前から不自然な大金が振り込まれていた。 二人は本当に事故で消えたのか。 それとも、誰かに無人島へ連れて行かれたのか。 十五年間、海の底に沈んでいた真実が、一台の古いカメラによって静かに暴かれていく。ミステリー|行方不明9.0千字5 489 -
完結第6話
秋田の消えた双子
1977年、秋田の小さな村で、3歳の双子の姉妹・サクラともも子が春祭りの日に突然姿を消した。 手がかりは、隣人が目撃したという一台の白いバンだけ。両親の健二とさち子は、娘たちの写真を手に全国を探し続けたが、何年経っても行方は分からなかった。 やがて38年の歳月が流れ、事件は人々の記憶から消えかけていた。 そんな時、末期がんで余命わずかとなった一人の女性医師が、病床で警察に衝撃の告白をする。 「1977年に秋田で消えた双子のことを、私は知っています」 彼女が長年隠し続けていた秘密とは何だったのか。 誘拐された双子は、本当に生きているのか。 そして、38年間娘を探し続けた両親を待っていた真実とは――。ミステリー|行方不明8.5千字5 86