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完結第16話
十年前消えた妹の耳たぶ
十年前、二十三歳で忽然と姿を消した妹。父は帰りを待ちわびて病死し、母は今も毎年、四人分の誕生日ケーキを予約し続けている。ある日、地方ニュースに映った妹の姿を追い甲府へ向かった私は、彼女が見知らぬ男と結婚し、中学生の娘の母親になっている姿を目撃する。事故でも事件でもなく、ただ「息苦しかった」と家族を切り捨てた妹。母の七十七歳の誕生日が迫る中、妹は「生きているとだけ手紙で伝えたい」と懇願してきた。その身勝手な妥協を前に、私は受話器を握りしめる。兄弟姉妹|親不孝|行方不明2.1万字5 0 -
完結第15話
失踪した兄へ父が送り続けた金
父が亡くなり実家の遺品を整理していた私は、机の奥から古い振込用紙の束を見つけた。十五年前に家族を捨てて失踪した兄の誕生日の翌日に、毎年三十万円が送られていた。摘要欄には「生活」の二文字。ずっと兄を捜していたはずの父は、北の工場の口座へ密かに金を送り続けていたのだ。私がその紙を弟に見せた瞬間、弟の顔から一気に血の気が引いた。弟は私の手から用紙を乱暴に奪い取ると、震える手でシュレッダーへ突っ込もうとした。兄弟姉妹|相続|行方不明|親子関係|金銭問題2.3万字5 6 -
完結第20話
廃墟旅館の双子と初恋の再会
離婚を機に6歳の娘・千尋を連れ、倒産した実家の温泉旅館へ逃げ帰ってきた32歳の竹谷虎次郎。ある夕暮れ、千尋が崩壊寸前の廃墟旅館へ駆け込んでしまう。後を追った虎次郎が埃まみれの古畳の上で目にしたのは、寄り添って震える1歳半の双子の赤ん坊と、ボロボロの服をまとい幽霊のように現れた衰弱女性――12歳で姿を消した初恋の幼馴染・水野絵里だった。元夫と義母から「夜泣きを止められない母親失格の役立たず」と罵倒され、養育費も拒絶されて追いつめられた絵里。虎次郎は幼馴染の大工・守を巻き込み、無謀にも廃墟旅館の再生を決意する。しかし再起を賭けたある雪の夜、思わぬ一枚の写真が世界を揺るがし――。兄弟姉妹|親子関係3.0万字5 188 -
完結第20話
長女にだけ渡された鍵
父の四十九日。「お前が一番しっかりしている」と病床の父から金庫の鍵を託された長女の私は、弟と妹の前で鉄の扉を開けた。だが中にあった私の通帳は残高一万円で、二百八十万円あった預金は弟の名義で全額引き出されていた。問い詰める私に弟は「親父に頼まれた」と父の直筆の手紙を突きつけ、妹も父と交わした別の密約を叫び始める。そこへ男が現れ、父が実家を担保に借りた五百万円の借用書を突きつけてきた。裡切られた|兄弟姉妹|相続|金銭問題|修羅場3.0万字5 90 -
完結第21話
母がナイフで砕いた自分の名前
母の七十歳の祝いで、私は家族に尽くし続けた母に自分の人生を取り戻してほしい一心から、ケーキのプレートに書かれた夫の姓を削り落とし、母の旧姓を書き直した。これで母は喜んでくれるはずだった。しかし母は青ざめ、「誰が戻りたいなんて言ったの」と私を睨みつけると、ナイフを掴んで自分の名前を何度も突き刺し粉々に叩き割った。家族全員から責め立てられた私は、母の部屋で底面を無残に削り取られた大量の人形を見つける。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係|修羅場3.1万字5 13 -
完結第23話
父の逝った夜の車
父が亡くなって十八年、独身の伯父は私達三兄妹を支え続け、兄の就職も姉の結婚資金も工面してくれた。家族全員が恩人と慕う中、末っ子の私だけが幼い頃から伯父と二人きりを拒み、性格のせいだと呆れられていた。二十八歳のある日、会食の席で伯父が私の椅子を引いてくれた瞬間、鍵のかかっていた記憶が甦る。十八年前の嵐の深夜、泥まみれの母が一度だけ家に戻った時、街灯もない門前の暗闇で消灯したまま待っていたのは、伯父の車だった。兄弟姉妹|真実|親子関係|修羅場3.4万字5 97 -
完結第19話
席次表から消された姉
披露宴の席次表を確認していた時、婚約者は親族席にある私の姉の名前を赤ペンで乱暴に塗りつぶした。介護士の姉を親戚に見せるのは家の格に関わると吐き捨てる彼に、私は必死で抗議した。だが、両親のいない私を育ててくれた姉は、侮辱されても取り乱すことすらしなかった。ただ、赤線の引かれた名前を静かに見つめ、「彼のお父さんが去年入院した時、毎晩誰が付き添っていたか聞いてごらん」と私に告げた。裡切られた|兄弟姉妹|親不孝|介護|修羅場2.9万字5 275 -
完結第20話
十年介護と九千万円
十年間、右半身麻痺で寝たきりの兄を一人で介護してきた。 手はあかぎれで裂け、自分の人生も貯金もすべて兄の下の世話に消えた。 その日常が終わったのは、ある深夜二時。 誰もいないはずの台所で、カチリとライターの音がした。 暗闇の中、すっくと立ち上がった兄が吐き出した煙。 そして見つかった、私の名義でかけられた九千万円の死亡保険と、毎日の麦茶に混ぜられていた血圧を下げる白い粉。 「あの愚図、早く死なねえかな」 十年間、声すら出せなかったはずの兄が、電話の向こうで笑っていた。ミステリー|兄弟姉妹|介護|金銭問題3.0万字5 708 -
完結第29話
300億円が消えた結婚式
クロスも皿もない暗い宴会場で、タキシード姿の兄が一人ぽつんと座っていた。「お兄ちゃん、えりさんは来ないって。結婚も式も全部ドッキリだったって」――それが、私の43歳の兄・琢磨が味わった地獄の始まりだった。 東和中央銀行の会長である父親やその家族は、年収620万円の建材会社主任である兄を「庶民」と見下し、前日の夜に勝手に式をキャンセルした上に、その屈辱的な一部始終を動画に収めて嘲笑っていたのだ。しかし、彼らは知らなかった。兄を虫けらのように扱ったその銀行に、私の経営するグローバル企業「ミレイビューティグループ」の全資産である300億円が預けられているという事実を。10年前、無一文だった私に兄が差し出した1000万円の連帯保証人の借用書が、今、静かに引き出しの奥から取り出される。 人間を肩書きと金だけで測り続けた傲慢な一族に、私が下す「本当の審判」とは一体何なのか。すべてを奪われた男の背後に隠された巨大な逆転劇が、今、幕を開ける。兄弟姉妹|真実4.4万字5 7688 -
完結第16話
3年の介護と兄のタワマン頭金
母が骨折し、仕事終わりに病院へ通い詰めた二ヶ月。退院したその日、実家の庭には見知らぬ不動産業者が立っていた。東京で暮らすエリートの兄は「母を東京に引き取る」と親戚中に宣言し、実家の売却代金を自分のタワマン購入の頭金に横領しようと画策する。さらに母までもが「自慢の息子の邪魔をするな」と兄に肩入れし、献身してきた娘を召使い扱いした時、私の心の中で何かが静かに決裂した。裡切られた|兄弟姉妹|絶縁|金銭問題2.3万字5 1060 -
完結第10話
存在しない孫
祖母の遺品整理をしていた38歳の沙織は、存在しないはずの「藤原拓海」という名前宛てに、24年間届き続けた荷物を見つける。送り主は、祖母と古い約束を交わした小さな子ども服店の女性だった。調べるうちに明らかになるのは、隠された子どもの存在ではなく、母がかつて選ばなかった人生の可能性だった。家族が守り続けた名前の意味を知った時、沙織が向き合うことになるものとは。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係1.5万字5 456 -
完結第14話
身代わりの爪痕
結婚式前夜、姉の里帆が泥まみれのパンプスを残して失踪した。実家の借金のため、身代わりとして名家の御曹司・神谷拓真と結婚させられた妹の志乃。夫は完璧で優しいが、「入浴時間は30分、浴室の鍵は絶対に閉めない」という異様なルールを強要する。ある日、志乃は姉が残した古いスマホから、7年前に夫の自宅浴室で前婚約者が“溺死”していた事実を知る。姉が逃げた真の理由と、夫が毎晩差し出す温かいミルクに隠された戦慄の罠とは。兄弟姉妹|夫婦|真実|絶縁|金銭問題|修羅場2.1万字5 470
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