"900円の復活定食" 第5話
子に座った瞬、膝の力が抜ける。24分の疲れが、気に尻からへ落ちていくようだった。
カウンターの奥では、女将が揚げ物の準備をしている。い割烹着の袖をまくり、際よく材料を並べていた。
「うん。朝の堂のこの空気、じゃないけどっぽい」
わずので呟いた。
に帰るに、こういう所に寄るのも悪くない。
俺の線は壁のきメニューへがった。
さて、どうするか。
カツ丼。
朝から気だな。
でも、いい。
親子丼。
ふわふわの卵も捨てがたい。
姜焼き。
米と無限ループのやつ。
「うわあ、迷う。全部べたい」
24ほぼ空腹の胃は、メニューを見るだけで騒ぎす。ので料理の絵が勝に広がっていく。
線がメニューの段にりた。
料理の写真が貼ってある。
そので、俺の目が止まった。
チキン蛮。
写真でも分かるくらい、鶏肉のにタルタルがどっさり乗っている。皿の横にはキャベツの千切り。噌汁と漬物もついている。
「これはうまそうだ」
カロリー。
最じゃないか。
24飯抜きの胃に、軽いものはもったいない。
今の俺に必なのは、慮のない飯だ。体に燃料を戻すための飯だ。
「これだ。決めた」
メニューのに、赤い文字でさくいてあった。
盛りプラス200円。
「盛りできるのか」
じゃあ今は盛りでいい。
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昨えなかった分のカロリーを、全部取り返す。
女将がお茶をしてくれた。
「ご注文は?」
俺は姿勢をし正した。
「チキン蛮定、盛りで」
女将は俺の顔を見て、しだけ目を細めた。
「ご飯、盛り結構あるけど丈夫?」
「24何もってないので、丈夫です」
「あら。そりゃ腹減ったっしょ。ちゃんとべてって」
「ありがとうございます」
腹減ったっしょ。
久しぶりに聞いたな、このじ。
うちのお袋みたいな言い方だった。
定700円。
盛りで900円。
初めての、初めての注文。
この初めてが、俺は結構好きだ。
されたお茶をすする。
「うまい」
ほうじ茶だろうか。ばしくて温かい。24ぶりの胃に、温かいものが流れ込んでいく。
胃の奥の蛇が、ゆっくりいていくじがする。
厨から、揚げ物の音が聞こえてきた。
じゅわっ、という油の音。
「あ、揚げ始めた」
この音がたまらない。
腹の音が止まらない。
待っているも、ご褒美のうちなのだ。
俺はカウンターに肘をつかないように気をつけながら、内をぼんやり眺めた。常連のおじさんは聞を折り、スーツの若い男はスマホを見ながら噌汁をんでいる。がりの作業着グループは、これから現へ向かうのか、それとも夜勤けなのか、い声で笑っていた。
ここにいるたちは、それぞれの朝を持っている。
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仕事の。
仕事終わりの。
これから帰る。
これから向かう。
俺はそのに座って、チキン蛮を待っている。
それだけで、し満たされていた。
「お待たせ」
女将の声と同に、カウンターのにトレイが置かれた。
俺の目が瞬見かれる。
「え」
線がトレーので固まった。
ご飯が丼の縁を超えて、になっていた。
箸で触ったら崩れるやつだ。
チキン蛮は皿からしはみしている。鶏肉のにはタルタルがこれでもかと乗っていた。乗っているというより、もう浸っている。
俺はわず笑った。
「いや、笑うわ、これ」
24何もっていない男のに、これは反則だろう。
これで900円。
町の居酒なら、唐揚げ単品で1500円取られるぞ。
俺は両をわせた。
「いただきます」
箸を取った。
まずはチキン蛮を切れ。
箸で持ちげると、に甘酢が染みているのが分かった。そのにタルタルをしめに乗せる。箸の先がい。
に運ぶ。
噛んだ瞬、俺のきが止まった。
目をゆっくり閉じる。眉がわずかにがる。
「あ、うま」
これだ。
これを待っていた。
24、体がこれを待っていた。
まず甘酢がので先に来る。酸っぱすぎず、甘すぎず、疲れた体にちょうどいい。次にのサクッとしたが来て、その奥から鶏肉がほろっとほどける。
噛むと、肉のうまみがじわっとから押し寄せてくる。
甘酢とタルタルが、それを丸ごと包む。
しかも、タルタルのにしょうがが刻んで入っていた。しだけピリッとして、油と卵のさを軽くしてくれる。
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