"75歳の老婆をと20キロのヒラメ" 第4話
けれど、見つかる危険を考え、そのをれた。
へ戻る、賢治ののは疑問で埋め尽くされていた。
違法な転売なのか。
誰かの指示でいているのか。
資洗浄なのか。
それとも、まったく別の理由があるのか。
に戻ると、健太がすぐに駆け寄ってきた。
「社、どうでした」
賢治は見たことを話した。
坂ののバラック。
庭に置かれた業務用蔵庫2台。
そのが空だったこと。
健太は目を丸くした。
「業務用蔵庫が2台もですか。あんなおばあさんのに?」
「ああ。しかも品みたいだった」
「社、それ本当に怪しいですよ。刺や肉をどこかに流してるんじゃないですか」
賢治はすぐには否定できなかった。
札だけを使うこと。
毎正確なに来ること。
ろを警戒すること。
そして、業務用蔵庫。
すべてが、普通ではなかった。
「、森田精肉へってみる」
賢治はい声で言った。
「たしかリアカーに、森田精肉の箱も載っていた」
健太は頷いた。
「のでも、何か買ってるってことですね」
賢治はの奥へ戻りながら、く息を吐いた。
もう、ただの奇妙な客では済まなくなっていた。
翌朝、賢治はに森田精肉を訪ねた。
主の森田拓哉は、賢治の顔を見るなり、すぐに事を察したようだった。
「あれ、賢治さん。もしかして、あのおばあさんのことで来たのか」
広告
賢治は驚いた。
「なんで分かったんだ」
拓哉は苦い顔で腕を組んだ。
「俺も最、あのおばあさんのことで眠れないんだよ。毎、肉を90キロずつ買っていくんだ。8万円を現でな」
「90キロ?」
賢治はわず声をげた。
拓哉は頷いた。
「しかも、全部札だ。汚れも折り目もない、からろしたばかりみたいな札だよ」
賢治は昨見たバラックと業務用蔵庫の話をした。
拓哉の顔が変わった。
「バラックに業務用蔵庫だって?あれ1台50万円はくだらないだろ」
「そうなんだ。は崩れそうなのに、蔵庫だけぴかぴかだった」
2は顔を見わせた。
疑いは、さらにまっていった。
「のも回ってみよう」
拓哉が言った。
「に、あのおばあさんをっているがにもいるかもしれない」
そのの午、賢治と拓哉はのを回った。
すると、驚くことが分かった。
老婆は惣菜の林さんので、毎5万円分の惣菜を買っていた。
果物の渡辺さんのでは、毎3万円分の果物を買っていた。
魚、肉、惣菜、果物。
計すると、1に30万円く使っている計算になった。
10で300万円。
普通ではない。
ましてや、その老婆は、数かまで古を拾って暮らしていたという話までてきた。
「朝くから夜遅くまで、リアカーを引いて段ボールを集めていたよ」
林さんがそうに言った。
広告
「うちののもよく通っていたわ。段ボールがあったら分けてくださいって、いつもをげていたの」
渡辺さんも頷いた。
「活保護を受けながら、それでもりなくて古を拾っていたって聞いたことがある。1かにやっと3万円くらい稼いでいたって」
賢治は黙り込んだ。
1かに3万円をやっと稼いでいた老婆が、今は1に30万円を使っている。
辻褄がわない。
あまりにもわなかった。
「これは見過ごせる話じゃないとう」
拓哉がい声で言った。
「もし犯罪に巻き込まれてるなら、俺たちもで問題になりかねない」
林さんはを胸ので握った。
「誰かに利用されているんじゃないかしら。お寄りを狙う詐欺もいって聞くし」
渡辺さんは首を傾げた。
「でも、詐欺に遭っているが、毎こんなふうに買い物に来るかしら」
その言葉に、みんなが黙った。
たしかに違はあった。
老婆は怯えているようにも見える。けれど、注文するときの声ははっきりしている。の数え方も正確だ。
誰かに脅されているなら、なぜ毎1で来るのか。
逆に自分のでいているなら、何のために。
林さんがふといしたように言った。
「そういえば、に聞いたことがあるの。こんなにたくさん買って、どこに使うんですかって」
「何て答えたんだ」
賢治がを乗りした。
「子どもたちがたくさんべるの、って」
「子どもたち?」
賢治は聞き返した。
老婆は暮らしのはずだった。
子どもたちとは、誰のことなのか。
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
勘違い常連の末路
51歳独身の佐々木博行は、結婚相談所を使うことに強い抵抗を持っていた。 「出会いは自然であるべきだ」 そう信じる彼は、自分から女性に近づくことはせず、いつか相手の方から気づいてくれるのを待ち続けていた。 そんなある日、駅前の書店で、女性店員・水野佳奈に声をかけられる。 探していた本を案内され、会計で笑顔を向けられ、前に買った本のことまで覚えていてくれた。佐々木にとって、それはただの接客ではなく、“自分だけに向けられた特別な好意”に思えた。 やがて彼は、何度も書店へ通い、佳奈だけを探すようになる。 しかし、彼女が伝えた「夫がいる」という一言さえ、佐々木の中では別の意味に変わっていく。 親切な接客。 覚えられていた注文。 何気ない笑顔。 それらを恋愛の始まりだと信じた男が、最後に見つけた“次の自然な出会い”とは――。真実|修羅場1.5萬字5 1153 -
完結第10話
21年目の誤公式
アメリカの名門大学を訪れた8歳の日本人少女・桜井ひなは、ロビーに掲示されていた有名な物理公式の前で、ふと足を止めた。 21年前から大学の象徴として飾られ、多くの教授や学生が見過ごしてきたその数式。だが、ひなには右下の一部だけが、どうしても「変な音」に聞こえた。 「ここ、間違っているかもしれません」 勇気を出して指摘した少女に返ってきたのは、困ったような笑顔と小さな笑い声だった。子どもだから、外国から来た見学者だから――誰も本気で耳を傾けようとはしなかった。 それでもひなは、亡き祖父から教わった“数字の音”を信じ、ホテルの小さな机で1枚の紙を書き上げる。 翌日、その紙が教授室へ届いた時、大学の空気は一変した。 21年間、誰も気づかなかった誤り。教授たちが凍りついた真実。そして、大人たちの思い込みを静かに揺さぶった少女の小さな声。 これは、笑われても自分の違和感を手放さなかった8歳の少女が、名門大学に残された“21年ぶりの真実”を動かす物語。真実|真相1.4萬字5 732 -
完結第8話
藤蔵は二度生きた
1815年、武蔵国多摩郡中野村に生まれた8歳の少年・小谷田勝五郎は、ある日、兄と姉に不思議な問いを投げかけた。 「生まれる前に、どこにいたか覚えている?」 勝五郎は、自分が以前は山の向こうの程久保村で暮らす「藤蔵」という少年だったと語り始める。前の両親の名前、家の場所、亡くなった時の記憶、そして死後に見たという白い髭の老人――。 最初は家族だけの秘密だったその話は、やがて実際の村や家族の記録と重なり始める。 初めて訪れたはずの程久保村で、勝五郎は迷わず“前世の家”へ向かった。さらに、家族しか知らない出来事や、土の中に隠された小刀の場所まで言い当てていく。 これは本当に生まれ変わりなのか。 それとも、江戸時代の村に残された不思議な偶然なのか。 8歳の少年が語った記憶は、学者や文人たちの手によって記録され、やがて日本で最も有名な生まれ変わりの物語として語り継がれていく。人生逆転|真実1.2萬字5 684 -
完結第12話
母を捨てた凍夜
1996年、兵庫県北部の山間にある小さな介護施設で、78歳の中村はる子が忽然と姿を消した。 家族のために働き続け、厳しい姑に仕え、息子の学費のために娘の人生まで犠牲にしてきたはる子。だが夫の死後、財産はすべて長男夫婦のものとなり、認知症が始まった彼女は、やがて山奥の施設へ送られる。 面会に来ない息子夫婦。滞納される施設費。寂しさの中で、はる子が待ち続けていたのは、たった一人、娘の由紀子だけだった。 そして12月15日の夜。 「娘さんが迎えに来ていますよ」 職員のその一言を信じ、はる子は真冬の闇の中へ歩き出す。 翌朝、彼女の姿は施設から消えていた。警察の捜索もむなしく、事件は未解決のまま時だけが過ぎていく。 しかし1年後、施設の古い倉庫から見つかった“白いもの”が、家族と職員たちが隠していた真実を暴き始める。 はる子は本当に自分で出て行ったのか。 そして、最後の夜に何が起きていたのか――。ミステリー|真実|行方不明|介護1.9萬字5 626 -
完結第7話
古家を見下した嫁の豹変、後悔だけが残る
「田舎のボロ家なんて無理!こんな古臭い環境で子育てできない」 38年間大切に守り抜いた私の実家を、一言でゴミ扱いした息子嫁。 都会暮らしが自慢の彼女は、SNSで私の家を馬鹿にし、友達と笑い合った。 自分たちの狭いマンションから逃げたくて、田舎の実家を見下げ、私たち夫婦の優しさを踏みにじった。 息子まで妻に同調し、「古すぎて住めない」「昭和の価値観は時代遅れ」と、生まれ育った故郷を否定した。 援助950万、結婚資金、マンション頭金、毎月の孫養育費… 全身全霊で支えてきた息子家族に、最後に残されたのは屈辱だけだった。 ならば、証明してやる。 私たち夫婦は退職金を全てかけ、1850万円を投じて実家を全面リフォーム。 ボロ屋だった古家は、高級旅館のようなモダン和風邸宅に生まれ変わった。 30畳の吹き抜けリビング、最新アイランドキッチン、檜風呂&ジェットバス、職人仕立ての日本庭園。 資産価値4500万円の豪邸に、生まれ変わった我が家。 SNSの投稿を見た途端、態度を180度変えた息子嫁。 見学に来て絶句し、驚き、羨み、すぐに身勝手な要求を突きつけた。 「お母さん、家を交換しましょう!」 「私たちのマンションと替えて、この家を孫のために譲ってよ!」 数ヶ月前にボロ屋と侮辱したくせに、価値が上がった途端、強欲をむき出しにする。 都合のいい時だけ家族を語り、孫を盾に自分の欲を満たそうとする。 だが、そんな身勝手な願い、叶えるはずもない。 私たちは弁護士と相談し、法的に完全な準備を整え、毅然と反撃した。 過去の侮辱、SNSでの悪口、身勝手な言い分を全て突き返し、完全拒否。 「この家は私たちの財産。他人に譲るつもりは一切ない」 家族だからといって、理不尽な要求を受け入れる必要はない。 尊厳を踏みにじられた私たちが、守るべきものを守っただけ。 欲をかき、人を見下し、恩を忘れた強欲な息子嫁。 高級邸宅を前に叶わぬ夢を見て、面目を完全に失い、後悔と屈辱の地獄が始まった。 人を見下す者は、必ず自分が見下される。 恩を知らぬ強欲者に待つのは、自業自得の結末だけだ。 私たちは愛する夫と、思い出と価値に満ちた我が家で、幸せな老後を手に入れた。 自分の尊厳は、自分で守る。 理不尽な家族に、我慢する必要はない。嫁姑|夫婦|真実|金銭問題9.9千字5 525 -
完結第12話
十年の悪夢 洞窟から届いた母の遺骨
1987 年元旦、千葉犬吠埼へ初日の出を見に出かけた平凡な 3 人家族。 「すぐ戻る」と残した言葉を最後に、一家は忽然と姿を消した。 当時の警察は借金苦の夫による一家心中と断定、事件は 10 年間闇に埋もれた。 だが千葉大サークルの学生が崖下の洞窟で人骨を発見した瞬間、全ての判断が覆る。 防水ポーチに残された謎の数字手帳、陸地に残された母だけの遺骨、上層部にもみ消された密輸の証拠… 10 年ぶりに鳴った一本の電話が、生き残った少女の声を届ける。 財閥の欲望、鉄パイプの悲劇、隠蔽された殺人現場。 洞窟に眠る骨が語る、あの元旦夜の衝撃真実を今、紐解く。真実|裡の顔|真相|行方不明1.7萬字5 1915 -
完結第13話
隠された十五年の物語
2005年、日本で誰も深く探ろうとしなかった不気味な過去がある。 生涯質素に暮らし、一文無しに近い老夫婦がいた。 一生懸命働き、大金とは無縁の日々を過ごしてきた二人に、思いがけない幸運が舞い込んだ。 閑古鳥が鳴くパチンコ店で、前代未聞の大当たりを出し、一夜にして大金を手に入れ、念願の一戸建てを購入したのだ。 苦労の末に手にした新居で、穏やかな老後が待っているはずだった。 だが誰も予想しなかった——引っ越してたった3日、老夫婦は新居ごと跡形もなく消え失せた。 庭の草木は新しく植えたばかりの瑞々しさを残し、部屋のお茶はまだ温かく、布団も整えられたまま。 主人だけが、この世から忽然と姿を消したのだ。 警察が数日間捜索したものの、手がかりは一切なく、最終的に不可解な失踪事件として処理された。 だが地元の古株の住民は皆知っている。この予期せぬ大当たりは、贈り物ではなく、命を懸けた交換取引だったと。 大金を手にした直後に消えた理由とは?空き家の下に隠された真実とは? 当時誰も口にできなかった封印された真相を、今こそ完全に解き明かす。真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.9萬字5 365 -
完結第14話
古道具屋の制服
2001年春、北海道小樽市で、卒業式を3日後に控えた女子高生・佐藤美咲が突然姿を消した。 最後に目撃されたのは、運河へ続く古い倉庫街。部屋には家出を示すものはなく、家族は15年間、帰らない娘を待ち続けていた。 そんなある日、古道具屋に持ち込まれた桐箪笥の中から、1着のセーラー服が見つかる。胸ポケットに残されていたのは、青いガラスのイルカと、涙で滲んだ一通の手紙。 そこには、同級生の名前、教師との秘密、そして「天狗山の誓い」という謎の言葉が記されていた。 美咲はなぜ消えたのか。 彼女が最後まで守ろうとしたものは何だったのか。 15年間眠っていた学生服が、小樽の町に隠された真実を静かに暴き始める――。ミステリー|真実2.1萬字5 1545 -
完結第18話
槍ヶ岳の残響 消えた登山家の真実
1998年、北アルプス槍ヶ岳で忽然と姿を消した女性登山家・伊藤さゆり。 警察は長年、遭難事故として処理した。 だが9年後、絶壁の岩隙間に眠っていた一台のカメラが、誰も知らなかった戦慄の真実を暴き出す―― 岩壁に刻まれた山岳会のロゴ、隠された証拠、裏切りと殺意。 埋もれた十年の沈黙が、今、崩れ落ちる。 山岳失踪事件の裏に隠された悪意、決定的な証拠がついに判明!真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明2.7萬字5 10649 -
完結第6話
十三年目の灯火
2002年、冷たい雨の降る神戸の夜。 港交通のベテラン運転手・田村茂は、1人の乗客を乗せたまま、町から忽然と姿を消した。最後に会社へ入った無線は、「西区の方へ、長距離になりそうです」という短い言葉だけ。 車も、運転手も、乗客も見つからないまま、事件は迷宮入りした。 家族を捨てたのではないか。金を持って逃げたのではないか。心ない噂に苦しめられながらも、妻は13年間、玄関の灯火を消さずに夫の帰りを待ち続けた。 そして2015年春。 神戸の町外れにある廃車場の取り壊し中、何台もの車の下から、潰れた古いタクシーが発見される。車体に残っていたのは、すでに消えた会社「港交通」の文字。 中から見つかったのは、2人分の白骨だった。 あの夜、田村のタクシーに何が起きたのか。後部座席にいたもう1人は誰だったのか。そして、13年前に目撃された“ライトを消した黒い車”の正体とは――。 雨の夜に消えた1台のタクシーが、長い沈黙の底から真実を語り始める。ミステリー|真実9.5千字5 277