"孫放置の報い" 第4話
守れてよかった。
本当に、そういました。
ある夜、夕のあとに博がぽつりと言いました。
「稽古」
「なに?」
「俺たち、違ってなかったな」
私はしだけ目を伏せ、それから静かにうなずきました。
「ええ」
に流されたわけではありません。
復讐がしたかったわけでもありません。
ただ、子供を守らなければならなかった。
それだけです。
そして、その結果として、今ここに蓮の笑顔がある。
それが全てでした。
窓のでは、柔らかな夜が揺れていました。
蓮はリビングのソファで、しきった顔で眠っています。
その寝顔を見つめながら、私は静かにいました。
親だから許される、などということはありません。
血の繋がりよりも切なのは、その子を本気で守れるかどうかです。
違ったことをしたなら、たとえ自分の子供でも止めなければならない。
それが親としての最の責任なのだと、私は今でも信じています。
方で、誠と美の活は完全に崩壊していました。
誠は懲戒解雇の、何社も面接を受けたそうです。
しかし、虐待の噂は像以に広がっていました。
履歴を送っても返事すら来ない。
ようやく採用されたのは、さな派遣会社でした。
料は以の分の以。
級も、ブランド品も、旅も、全て消えました。
美ものパートで働いていると聞きました。
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派だった髪は黒く染まり、ブランドバッグも消えたそうです。
は古いアパートで、ぎりぎりの活を送っていました。
所のの話では、毎のように論しているそうです。
「あんたのせいで終わった!」
「おだって同罪だろ!」
互いに責任を押し付けいながらきているのでしょう。
しかし、それでも失ったものは戻りません。
会社での信用。
域での評判。
親としての資格。
全て、自分たちで壊したのです。
に度だけ認められている面会も、厳しい監付きでした。
最初、蓮はを見るだけで怯えていました。
私のろへ隠れ、さく震えていたのです。
しかし最は、しだけ話せるようになりました。
ただし、それは親子の再ではありません。
距を保ったままの、静かな会話です。
ある、面会の帰りで、蓮がさな声で聞きました。
「ばあば」
「なあに?」
「パパとママ、なんでぼく置いていったの?」
私は瞬、言葉に詰まりました。
しかし、ごまかしてはいけないといました。
私はしゃがみ込み、蓮と目線をわせました。
「でも、違えることがあるの」
「……ぼく、悪い子だった?」
その言葉に、胸が締め付けられました。
私はすぐに首を横に振りました。
「違う」
く、はっきりと言いました。
「蓮ちゃんは何も悪くない」
「本当に?」
「本当よ」
私は蓮を抱きしめました。
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「悪かったのは、の方」
蓮はしばらく黙っていました。
やがて、さくうなずきました。
私はそのさなを撫でながら、改めていました。
虐待とは、暴力だけではありません。
放置も、無関も、子供のをく傷つけます。
そして、その傷は何も残るのです。
だからこそ、守らなければならない。
が、絶対に。
になりました。
桜が咲き始めた頃、蓮の入学式がありました。
さなランドセルを背負い、し緊張した顔で歩く蓮。
私は隣を歩きながら、何度も涙をこらえました。
もし、あの。
私が偶然ここへ来なかったら。
もし、見て見ぬふりをしていたら。
この笑顔は失われていたかもしれない。
そううだけで、背筋がたくなります。
式が終わった帰り、蓮が突然私のを握りました。
「ばあば」
「なあに?」
「ぼくね、きくなったら、ばあばみたいなになる」
私は驚いてち止まりました。
「どうして?」
蓮は真っ直ぐを向いたまま言いました。
「だって、ばあば、ぼく守ってくれたから」
私はわず顔を伏せました。
涙が溢れそうになったのです。
博が隣で静かに笑いました。
「よかったな、稽古」
私はさくうなずきました。
守れて、本当によかった。
夕暮れの帰り。
蓮はランドセルを揺らしながら、楽しそうに学の話を続けています。
その声を聞きながら、私は静かにいました。
には、取り返しのつかない瞬があります。
しかし同に、勇気をして踏みせば、守れる未来もあるのです。
たとえ相が自分の息子でも。
違ったことをしたなら、止めなければならない。
それが親としての責任であり、としての義務なのだと、私は最まで信じ続けました。
そして今。
このには、確かな幸せがあります。
豪華なでも、でもありません。
ただ、して笑える常。
それこそが、本当に守るべきものだったのです。
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