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破られた団地当選通知

破られた団地当選通知

縁側みかん 完結 14

「せっかく当たったのに、どうして破いたんですか!」 昭和35年、7人で暮らす古い長屋に、公団住宅の当選通知が届いた。 風呂も水洗便所もあり、3人の子どもには初めて自分たちの部屋ができる。 家族全員が喜んだ3日後、その通知は4つに裂かれてゴミ箱から見つかった。 破いたのは、同居する母だった。 「一生、私たちをこの長屋に閉じ込めるつもりですか」 嫁に責められても、母は理由を話そうとしない。 息子夫婦は、破れた通知を持って公団の案内所へ向かった。 当選はまだ取り消されておらず、案内された部屋は日当たりのよい3DK。 ところが建物の前で、嫁の足が止まった。 割り当てられた部屋は、エレベーターのない4階だった。 その細く長い階段を見上げた瞬間、家族は母が通知を破いた本当の理由に気づき始めた――。

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