「実家へ帰りたいなら、籍を抜いてから行きなさい」 母を亡くしてわずか1か月。初盆のため3日間だけ帰省したいと頼んだ里見に、姑は離婚を迫った。夫の浩司も妻を守らず、「少しは空気を読め」と目をそらす。 結婚して20年、家事と義父の会社の経理を無償で支えてきた里見は、静かに「分かりました」と答え、その日のうちに家を出た。 彼女が持ち出したのは、亡くなる直前の母から託された茶色い封筒だった。中には、吉沢家が暮らす家の土地が、実は母の名義であることを示す書類が入っていた。 さらに不動産会社を訪ねた里見は、母が入院していた間に、その土地を売ろうとした人物がいたことを知る。偽造された委任状には姑の筆跡。そして売却代金の入金先には、妻へ何も知らないふりをしていた夫・浩司の名前が記されていた――。