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排水路の腕時計

排水路の腕時計

秋野けいこ 完結 186

1998年10月、家族旅行の帰りに立ち寄った青日サービスエリアで、42歳の父・佐藤健一が突然姿を消した。 「ちょっとトイレに行ってくる」 そう言って席を立ったきり、健一は二度と家族の前に戻らなかった。車も財布も荷物も残されたまま。警察犬の臭いは、なぜかトイレの前で途切れていた。 防犯カメラの映像は、最も重要な25分間だけ欠落。目撃者もなく、手がかりもないまま、事件は未解決のまま年月だけが過ぎていく。 夫を待ち続ける妻。父の帰りを信じる子どもたち。だが15年後、サービスエリアの再開発工事中、排水路の奥から錆びた腕時計と革靴、そして泥にまみれた財布が見つかる。 そこに刻まれていたのは、失踪した父の名前だった。 あの日、トイレへ向かった健一に何が起きたのか。なぜ遺留品は排水路に隠されていたのか。 15年の沈黙を破って現れた証拠は、家族が待ち続けた真実の扉を、静かに開いていく――。

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