2004年、京都の観光ホテルに宿泊した田中一家3人が、荷物を残したまま忽然と姿を消した。 父・健二は経営する中古車店の資金繰りに苦しみ、京都のホテル経営者・鈴木太郎から借金をしていた。連休を利用した家族旅行のはずだったが、ホテルの305号室に入った夜を境に、健二、妻の吉江、娘の美希の足取りは完全に途絶える。 宿泊記録は残っていない。監視カメラにも姿は映っていない。従業員たちは口をそろえて「見ていない」と証言し、事件は手がかりのないまま迷宮入りしていく。 それから7年後。 老朽化したホテルのリフォーム工事中、305号室の天井裏から黒いバッグが見つかる。中に入っていたのは、失踪した一家の身分証、家族写真、そして娘・美希の持ち物だった。 なぜ一家の荷物が、天井裏に隠されていたのか。 あの夜、305号室で本当は何が起きたのか。 7年間沈黙していたホテルの秘密が、ついに崩れ始める。