骨が覚えていた名前
2008年、茨城県稲敷市の利根川沿い。高速道路工事の最中、葦原の中から一体の白骨遺体が見つかった。
遺体は20代後半から30代前半の女性。そばには衣類と旅行用の鞄が残されていたが、身元を示すものは何もない。顔も指紋も失われ、死因さえ分からない状態だった。
警察は公開捜査に踏み切るが、800人の行方不明者名簿を調べても一致する女性は見つからない。さらに遺留品の下着から購入者を追っても、手がかりは1万9000人の中に埋もれていった。
捜査が行き詰まりかけた時、白骨化した頭蓋骨に、ある小さな痕跡が見つかる。
それは、美容整形手術の跡だった。
570か所の美容外科、2000人の患者記録。気の遠くなるような照合作業の末、警察はついに1人の女性へたどり着く。
なぜ彼女は誰にも探されなかったのか。
そして、彼女の死後も送られ続けた「元気にしている」というメッセージの正体とは――。
声を失った骨だけが、最後の真実を語り始める。
ミステリー|真実|遺體発見7.9千字
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