"桜袴の女組長" 第5話
さらに、建設が受注している公共事の8割は、私の組織が裏で調したものだった。
政治への根回し。
役への接待。
競社への圧力。
すべて、私の組織がいた結果だった。
夫妻は、そのことをらない。
自分たちの実力で会社をて直したとっている。
でも真実は違う。
彼らは、私ののひらので踊っているだけだった。
そして礼子は、今、線を越えた。
私の母を侮辱し、娘を傷つけた。
これは許せない。
裏のにきる私だが、堅気の母が残したものまで踏みにじられる筋いはない。
としての筋だけは、私は通してきたつもりだ。
でもこの女は、をれた。
ならば私も、筋を通させてもらう。
私はポケットののスマートフォンを取りした。
画面を見つめる。
連絡先には、黒の名がある。
指が、通話ボタンに触れた。
もうする必はない。
この女に本当の恐怖を教えてやる。
私が何者なのか、いらせてやる。
建設が今まで続できたのは誰のおかげなのか。
礼子が今の活を送れているのは誰のおかげなのか。
すべて教えてやる。
そして、2度と私の娘にづけないようにしてやる。
私は通話ボタンを押した。
コール音が鳴る。
1回、2回。
そして話がつながった。
「もしもし、姉さん」
黒のい声が聞こえた。
私は静かに言った。
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「黒か。今から5分以内に、娘の学に来てくれ」
しを置いて、続ける。
「正装でな。若い者も10ほど連れてきてくれ」
話の向こうで、瞬だけ沈黙があった。
すぐに、黒は答えた。
「承しました。すぐに参ります」
私は話を切った。
礼子が審そうに私を見ている。
「ねえ、誰に話してたの?」
私は答えなかった。
ただ、静かに微笑んだ。
5分、すべてが変わる。
この女のが、完全に変わる。
私は結のを握った。
「結、もうしだけしてね」
優しく囁くと、結はそうに頷いた。
私はの方を見つめた。
もうすぐ黒たちが来る。
そして、この女の獄が始まる。
裏のにきる者として、筋を通させてもらう。
話を切った私を、礼子が審そうに見ていた。
「ねえ、誰に話してたの?」
私は答えなかった。
ただ静かにっている。
礼子は私の沈黙を、無されたと受け取ったようだった。表を歪め、さらに調子に乗る。
「まあいいわ。どうせ誰かに愚痴でも言ってたんでしょう」
取り巻きたちがまた笑い始めた。
礼子は私のにち、見ろすように言った。
「あなたみたいな、本当に迷惑なのよ。この学には、あなたたちみたいなは似わないの」
私は何も言わなかった。
ただ、礼子を見つめた。
礼子はさらに言葉をねる。
「娘さんも、お父さんがいないなんてかわいそう。
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きっと将来もろくなにならないわ。母親がこんなだもの。子どもも駄目に決まってるわよね」
結の目から涙がこぼれ落ちた。
さな体が震えている。
私は娘を抱き寄せた。
「結、丈夫よ」
優しく囁く。
それでも礼子は止まらない。
「それに、あの袴」
礼子は私の袴を指さした。
「くなったお母様の形見なんでしょう? でも正直、そんな古臭いボロを着てこられても迷惑なのよね」
私の胸の奥で、何かが音もなく砕けた。
「お母様も国で恥ずかしがってるんじゃない? もっとまともな娘に育てればよかったって泣いてるわよ。きっと、こんな貧乏でみすぼらしい娘に育つなんて、お母様も幸ね」
周囲から、また笑い声が聞こえた。
その瞬、私の瞳からが完全に消えた。
極寒の威圧が、私の体から漏れす。
空気が凍りついた。
周囲の温度が気にがったような覚が、庭に広がった。くのにいた鳥が、恐怖に押しされるように斉にびった。
ばたばたという羽音が響き渡る。
礼子が本能な恐怖でをすくめた。顔が青ざめる。
「な、何よ……」
震える声で言う。
でも私は、静かにっていた。
拳を握りしめ、爪がのひらにい込む。涙をこらえながら、ので母に誓った。
お母さん、ごめんなさい。
私はあなたの言いつけを破ります。
でも、あなたを侮辱した者をこのまま許すわけにはいきません。
そして夫に誓う。
健太、ごめん。
普通の母親でいるって約束したけれど、今だけは許して。
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