"桜袴の女組長" 第4話
細くなったで、それでも針針、丁寧に布を縫っていた。
「美咲、どんなを歩んでも、としての筋だけは通しなさい」
それが母の最の言葉だった。
母は堅気のだった。
私が裏のに入ることを、最まで反対していた。
けれど、私には選択肢がなかった。
18歳の、私は同然で町にた。く当てもなく、の夜、裏で倒れていた。腹は空き、は濡れ、はえきっていた。誰も私に目を向けなかった。
その、私を拾ってくれたのが、竜崎組先代組、竜崎徹也だった。
黒い傘のから、徹也さんは私を見ろした。
「お、目がきてるな。この世界できる覚悟はあるか?」
い声だった。
その声が、今もに残っている。
私は頷いた。
それが、私のを変えた瞬だった。
竜崎組は、関円に名を轟かせる広域指定暴力団の直系組織だった。私は組織ので懸命にきた。
誰よりもく起き、誰よりも遅くまで働いた。雑用も、帳簿も、交渉も、現の空気も、すべて覚えた。男たちので女だからと舐められないように、を顔にさないことも覚えた。
25歳で若補佐に昇格した。
組織の資運用を任されるようになり、私はしずつ組織を変えていった。
暴力ではなく、恵と戦略で勝負する。
それが私のやり方だった。
産、建設、警備、融、産業廃棄物処理。
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複数の企業をちげ、組織を代化していった。違法為はできる限り排除し、表向きは法なビジネスへと転換をめた。
それでも、裏社会は裏社会だ。
きれいごとだけではきられない。
だからこそ、私はとしての筋だけは通すと決めていた。
28歳の、徹也さんから組織を継いだ。
竜崎組直系、島組の3代目組。
裏社会では、いつしか私はこう呼ばれるようになった。
氷の美咲。
関の女帝。
私の言で、数億円がく。私の指示で、数百の組員がく。表向きには複数の企業を束ねる企業グループのトップ。その内実は、総額300億円規模の資をかす組織のだった。
けれど、私は5にき方を変える決断をした。
夫、島健太との会いだった。
健太は堅気の教師で、組織とはまったく無関係のだった。偶然会った彼は、私の過も、今のも、すべてったで受け入れてくれた。
「美咲、俺は君の過も、今のも全部受け入れる。でも、子どもには普通のを歩ませてやってくれ」
それが健太の願いだった。
私たちは結婚し、娘の結がまれた。
あの頃は、私にも普通の幸せがあった。
朝、健太が学へ向かうに結を抱きげる。夜、3で卓を囲む。結が初めて歩いた、健太は涙をこらえながら何度も拍した。
幸せな々だった。
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けれど、その幸せはく続かなかった。
5、健太は交通事故でくなった。
あまりにも突然の別れだった。
病院のい廊で、私は医師の言葉を聞いた。目のが真っ暗になった。裏の世界でどれだけ修羅をくぐってきても、するを失う痛みだけは、どうにもならなかった。
最に健太が言った言葉が、今でもに残っている。
「美咲、結を頼む。普通の子として育ててやってくれ」
私は健太の遺言を守ることを決めた。
組織の実務は、信頼できる若の黒に任せた。
黒は、私が若のからの部で、絶対な忠誠を誓っている男だった。190cmい巨体で、鋭いを放つ。裏社会では「竜崎の黒豹」と恐れられている。
私は表向き、専業主婦として活することにした。
娘には、組織のことは切話していない。
普通の母親として娘を育てる。
それが、私のしいき方だった。
代紋を背負うみより、今の私には、娘のの温もりの方がかった。
そうに決めていた。
でも、今、その決が揺らいだ。
礼子。
あの女は、私の母を侮辱し、娘を傷つけた。
許せない。
実は、建設は、私の組織が資している企業の1つだった。
3、建設は経営危に陥った。倒産寸だった。からの融資も断られ、資繰りは限界にかった。
その、私の組織が5億円の融資をした。
表向きは別会社からの融資だが、実質には私の組織の支配にある。返済は滞りがちで、毎の利息すらまともに払えていない。