"青いハンカチの花嫁" 第16話
俺は息を止めた。
健は俺に対して、由美が負担にうからを引けと嘘をついた。
同に由美に対しても、浩司が憎んでいるからづくなと嘘をついていたのだ。
俺と由美が直接会ってしまえば、互いの本当の気持ちが伝わり、自分の嘘がすぐにばれてしまう。
だから健は、互いのいやりを利用して、2のを完全に引き裂いたのだ。
「あなたは私の謝の気持ちも、浩司さんの自己犠牲も、すべて踏みにじりました」
由美のややかな線に見ろされ、健は完全に言葉を失った。
そこには、かつて俺を見していた傲な男の姿はなかった。
ただの惨めで孤独な敗者が、にうずくまっているだけだった。
その、披宴会のな扉が再びいた。
制を着た数の警察官が、静かに会へ入ってくる。
渡辺弁護士が事に配していた通り、健たちの横領と詐欺について事聴取をうために到着したのだ。
「健君、そして夫さん、慶子さん」
渡辺弁護士が徹な声で告げた。
「警察の方々がお待ちです。これまでの嘘の代償を、法のでしっかり払っていただきます」
夫と慶子はもうちがる力もなく、警察官に両脇を抱えられて引きずられるように歩きした。
健もまた、虚ろな目でゆっくりとちがらされた。
彼が俺の横を通り過ぎようとした、その瞬。
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「浩司……」
かすれた声が、静まり返った会に落ちた。
「俺はただ……おみたいに、誰かに本気で必とされたかっただけなんだ」
それは、10の嘘の果てに彼が漏らした、あまりにも勝で惨めな本音だった。
健は、俺が命をかけて由美を守った事実そのものに嫉妬していたのだろう。
だからこそ、俺から柄を奪い、偽物のヒーローになりすますことで、自分の空虚なを埋めようとした。
俺は健の目から線をさず、静かに答えた。
「を騙して奪い取った所には、おをから必とするなんて、最初から誰もいないんだよ」
その言に、健は肩を震わせた。
そして今度こそ完全に言葉を失い、警察官に連れられて会の扉の向こうへ消えていった。
な扉が閉まる鈍い音が会に響く。
それが、健たちが10かけて築きげた偽りのが、完全に崩れった図だった。
扉が閉まると同に、会を包んでいた苦しい空気が、しずつれていくのをじた。
誰もいなくなった郎側の親族席だけが、ぽつんと空席になっている。
そこにあったのは、虚栄と嘘だけで飾られた、のないテーブルだった。
渡辺弁護士が静かに息を吐き、正社に向かってさく頷いた。
正社はゆっくりと歩みて、司会者のマイクをに取った。
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「皆さま。本は娘の結婚式にお集まりいただいたにもかかわらず、このようなお見苦しい事態となり、誠に申し訳ありませんでした」
正社がくをげると、由美もその横で静かに礼した。
「しかし、娘のを壊す恐ろしい嘘が今ここで暴かれたこと。そして何より、10に娘の命を救ってくれた本当の恩に再び巡り会えたこと。父親として、これ以のびはありません」
正社の声には、堵とい謝が満ちていた。
親族席から、誰からともなく拍が湧き起こった。
それは次第にきくなり、会全体を包み込む優しい音に変わっていく。
誰も俺を、れな子の男として見てはいなかった。
そこにあるのは、10の真実を守り抜いたに対する、静かで確かな敬だった。
佐藤先も、俺の肩を優しく叩いてくれた。
「浩司君の命がけの優しさが、ようやく報われたね。医者として、君のを見守ってきて本当に良かった」
その温かい言葉に、俺はくをげた。
この結婚は、もちろんに戻された。
正社の言葉で招待客たちは堵の表を浮かべ、しずつ帰り支度を始めた。
がなくなっていく、俺の子のに1の女性が駆け寄ってきた。
俺の母だった。
母は涙で顔をくしゃくしゃにしながら、俺の子のに崩れ落ちるように座り込んだ。
「浩司、ごめんね。ごめんね。お母さん、あなたがそんないものを背負って10も1で耐えていたなんて、ちっとも気づかなくて……」
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